足がつる(こむら返り)原因と対処法を医師が完全解説

朝かならず足がつって起きてしまう。足がつって痛くてしばらく動けなくなる。

あなたはこんな経験はないでしょうか?

年齢を重ねるとだんだん起きやすくなるのがこのこむら返り。実は高齢者の半分以上が、夜間の足のつりを経験しているというデータもあるんですね。しかし、なぜ中高年になると足がつりやすくなるのでしょうか?

足のつりをなめてかかると痛い目に合います。不眠の原因になったり、思わぬ恐ろしい病気が隠れていて、足のつりが起きている場合も。

今回は多くの中高年を悩まさせているこの足のつりについて、足のつりが起きる原理から隠れているかもしれない怖い怖い病気や、そして改善させるために自分でできる方法など、絶対に知っておいて欲しい知識をまとめました。

是非あなたも適切な足のつり対策をして、スッキリ快適な睡眠を手に入れていきましょう!

ウチカラクリニックではオンライン診療に完全対応し、忙しい方向けに夜間や土日も診療を行っております。

(全国からご自宅で受診可能です。)

足のつり・こむら返りに関するご相談、通院中の薬をご希望の方はお気軽にオンライン診療でご相談ください。

診療時間:09:00 – 22:00
予約は24時間可能!

足がつる原因とメカニズム

まずなぜ年を取ると足がつりやすくなるのか、そのメカニズムについて知っておきましょう。

足のつりというのは医学用語で「有痛性筋けいれん」と呼びます。もっと簡単な呼び方をすれば「こむら返り」ですね。この言葉はご存じの方も多いでしょう。

ちなみに豆知識ですが、このこむら返りの「こむら(腓)」とはふくらはぎの意味です。

大阪の方ではコブラ返り、なんていう人もいますね。

ただふくらはぎだけではなく、実は太ももや足の裏でも起きるのも特徴なんですよね。

医学用語の方の文字を見てもらえば分かる通り、痛みをともなう筋肉のけいれん、という意味なのですが、なぜこのような現象が起きてしまうのでしょうか。

私たちの筋肉が普段バランスをとっている仕組みを学んだ上で説明していきましょう。

まず、ふくらはぎの筋肉は伸びすぎても、縮みすぎても傷ついてしまう恐れがあるので、2つのセンサーがついてます。

そのセンサーのうちの1つが「筋紡錘(きんぼうすい)」という場所。

「筋紡錘」では、例えばふくらはぎの筋肉が伸びすぎてしまった時、一定の所までいくとセンサーが発動し、筋肉を元に戻す、縮ませる指令を送る、といったような筋肉が痛まないためのストッパーのような仕事をしています。

そしてもう一つのセンサーが「腱紡錘(けんぼうすい)」。

腱紡錘では、逆のはたらきをしていて、筋肉が縮み過ぎた時にセンサーを発動させ、その収縮を元に戻してあげる仕事をしているんです。

この筋肉の伸び縮みに反応する2つのセンサーによって、実はこのように私たちの知らない所で、筋肉がしなやかに動けるようにバランスを保ってくれている、こういう仕組みになっているんですね。

そして、この筋肉が縮みすぎるのを防いでくれる方のセンサー、腱紡錘の機能が狂ってしまうと、筋肉が縮んだ状態で戻らなくなり、いわゆるこむら返り、足がつる症状が起きてしまう、こういうことだったんですね。

そしてこの機能を狂わせる要因がいくつかあります。一体、その諸悪の根源とは何なのでしょうか。

足のつりの原因

足がつる原因について見ていきましょう。

まず、足が頻繁につる場合に隠れているかもしれない、足のつりを引き起こす怖い病気について解説していきます。

実は知られていないだけで足がつる症状が起きる病気はかなりいっぱいあるんですが、今回は代表的なものを紹介していきます。

足のつりの原因①糖尿病

まず紹介するのが糖尿病です。ご存じでしたか?

糖尿病には様々な合併症があるのですが、その中に神経にダメージを与えるというものがあり、糖尿病によって神経の回路に影響が及び、足がつりやすくなってしまうわけなんです。

糖尿病の患者さんの中にはなんと毎日足がつる症状が起きている人もいまして、こうなると生活に支障がでてもおかしくないですよね。

健康診断に行っていない人で、最近やたら足がつるなあ、、と感じている人、血液検査をしてみると血糖値がもしかしたら高くなっているかもしれませんよ。

足のつりの原因②脊髄の病気

そして次に紹介するのが、腰の病気。腰といっても、脊髄の病気のことです。

先ほど説明したように、ふくらはぎには脊髄から指令が送られ、ふくらはぎの筋肉はのびすぎたり、縮みすぎたりしないようにコントロールされています。

しかし、この指令を送っている脊髄の部分に障害が起きると、本来の指示通りにいかず間違って筋肉を縮めてしまったり、エラーが起きやすくなってしまうんですね。

例えば有名な病気でいえば腰椎腰のヘルニアや高齢者の天敵、脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)といった病気は脊髄を圧迫し、間違えてふくらはぎの筋肉を縮めてしまうことが足のつりの原因になる場合があります。

腰の痛みや足のしびれを伴う場合は可能性が上がるので、整形外科で相談してみましょう。

足のつりの原因③足の血管の病気

そして非常に怖いのが、足の血管の病気。

足の動脈に起こる動脈硬化や、静脈に起こる静脈瘤によって足の血液のめぐりがわるくなり、ふくらはぎに血液が行き届かなくなると足のつりが起こることがあります。

他にも、腎臓の病気や、肝臓の病気を抱えている人にもこむら返りは起きやすく、特に透析中の人に起きやすいとされていたりと、本当に様々な病気で足がつることがあるんですね。

では、どういう時に病院に行けばいいのか?という部分がわかり辛いかと思いますが、毎日のように頻繁にこむら返りが起こるようなら一度病院で診て貰った方が良いと思いますし、または他の症状も一緒に起きている場合は要注意です。

例えば歩いたり走ったりしていたら、急にふくらはぎが痛くなる症状。これは医学用語で「間欠性は行」といって、ふくらはぎの酸素不足や神経の問題で起きる症状で、脊柱管狭窄症やASO、と呼ばれる足の動脈硬化の可能性が高い状態なんです。

このように足がつる以外に気になる症状がある場合は一度病院に行きましょう。

様々な原因がありうるので、まずは一般内科の受診で良いと思います。

足のつりの原因と加齢

そして、年をとると足がつりやすくなる、こういう話をしましたが、一体なぜ足がつりやすくなってしまうのでしょうか?

勿論、今説明した病気になりやすくなることも関係はしているのですが、最も関係があるのが筋肉量が減ってしまうことです。

例えば、筋肉量が充実している若者であれば、足のつりはサッカーやランニングなど激しい運動をしなければ起こりません。しかしだんだん筋肉の量が減ってきた高齢者にとっては、以前よりもささいな事がきっかけでバランスが崩れ、こむら返りが起きてしまうことがあります。

他にも、水分やミネラルの量の調節ができなくなることも関係しているんですね。

熱中症の症状として足がつる、という症状が出ることがありますが、これは脱水や汗が出ることによるナトリウム不足が関係していると言われています。

年をとってくると、だんだん水分などの調節能力も落ちてきて、熱中症までいかなくても、例えば睡眠中の終わりがけにやや脱水気味になることで足がつってしまうこともあるんですね。

これが明け方に足がつりやすい原因なのです。

さて、では足がつりやすくなってしまった人はどういった対策をとれば良いのでしょうか?

足のつりの対処法について

まず、最も重要なのは、先ほど説明したように、筋肉量がだんだんと減っていくことが足のつりに繋がりやすいので、何歳になっても普段からウォーキング、ランニング、水泳、なんでも良いのでふくらはぎを中心とした足の運動をしておくことです。

年をとっても運動や筋トレをすれば筋肉はついてきますから、全く諦める必要なんてありません。しっかりとふくらはぎを動かす習慣をつけていきましょう。

また寝ている時の足のつりに関しては、先ほど説明したように水分量が減ると起きやすいので、寝る前には水分補給を適度にしておきましょう。

寝る前に飲み過ぎると今度はトイレが近くなってしまうので難しい所ではありますが、足がつりやすい人はあまりカラカラな状態で寝るのは避けた方が良い、ということは覚えて置いてください。

また冷えると足の筋肉は縮みやすいので、足を冷やさないようにする、温めておくという対策も悪くないですね。

寝る前にストレッチをしておくことも大事なことですね。

そして、もしそれでも足のつりが治らない!

こういう人は薬に頼っても良いでしょう。

具体的には芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)という漢方が非常に有名です。

こちらの漢方を内服することで足のつりがスッキリなくなる人もいますし、エビデンスとしても効果が示されているものなんですね。

また万人にはっきりと効果が証明されているわけではないものの、タウリンの摂取というのも足のつりに効果的な

特に肝臓の機能が落ちている人にとっては、肝臓でタウリンを作る能力が下がっていて、それが体内のバランスを崩し足がつることに繋がっている場合もあるのではないかとされているので、お手軽に購入できるものですし試してみる価値はあるでしょう。

是非今回の動画の内容は自分の症状に照らし合わせてみて、病院に行く必要はないか、あるいは実践していない対策があれば今日から実践をして、つらい足のつりから解放されたスッキリ睡眠を目指していきましょう。 

ウチカラクリニックではオンライン診療に完全対応し、忙しい方向けに夜間や土日も診療を行っております。

(全国からご自宅で受診可能です。)

足のつり・こむら返りに関するご相談、通院中の薬をご希望の方はお気軽にオンライン診療でご相談ください。

診療時間:09:00 – 22:00
予約は24時間可能!

ウチカラクリニック代表医師

経歴

東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。