【漢方】防已黄耆湯の効果・副作用を医師が解説【痩せるの?水太りの解消に!】

防已黄耆湯

「夕方になると足がパンパンにむくむ」「疲れやすく、少し動いただけでも汗をかく」「雨の日になると膝が痛む…」

そんな、体内の水分代謝の低下と、エネルギー不足からくる不調にお悩みではありませんか? 「防已黄耆湯(ボウイオウギトウ)」は、余分な水分を排出し、同時に「気(エネルギー)」を補うことで、むくみや関節の痛み、いわゆる“水太り”を改善する、代表的な漢方薬です。

この記事では、そんな防已黄耆湯について、漢方ならではの効果の仕組みや副作用、そして正しい飲み方を、医師が分かりやすく解説していきます。

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防已黄耆湯とは?効果は?

防已黄耆湯(ボウイオウギトウ)は、体のエネルギー(気)を補いながら、水分代謝を改善する漢方薬です。特に、体力がなく疲れやすい、色白で筋肉がやわらかい(水太りタイプ)、汗をかきやすい、といった体質の方の、むくみや多汗症、関節の痛みに用いられます。

医療用では、主に「ツムラ防已黄耆湯エキス顆粒(医療用)」のように、製薬会社名がついたエキス剤(粉薬)が処方されます。錠剤タイプも存在しています。

防已黄耆湯の成分

防已黄耆湯は、以下の6種類の生薬(しょうやく)で構成されています。

  • 防已(ボウイ)、白朮(ビャクジュツ)
     →体内の余分な水分を取り除き(利水作用)、関節の痛みや腫れを和らげる。
  • 黄耆(オウギ)
     →主役となる生薬の一つ。エネルギー(気)を強力に補い、体のバリア機能を高めて、汗が出過ぎるのを防ぐ。
  • 生姜(ショウキョウ)、大棗(タイソウ)
     →胃腸の働きを助け、血行を促進する。
  • 甘草(カンゾウ)
     →全体の働きを調和させる。

漢方では、エネルギー(気)が不足すると(「気虚」)、水分を巡らせる力が弱まり、体内に水が溜まってしまう(「水滞」)と考えます。この溜まった水が、むくみや冷え、関節の痛みを引き起こします。
防已黄耆湯は、気を補って「エンジンの力」を高めつつ、利水作用で「溜まった水」を排出するという、ダブルのアプローチで症状を改善します。

防已黄耆湯効果

気の補充と水分代謝の改善により、様々な症状を和らげます。

  • むくみ(浮腫)
  • 関節の痛み、腫れ(特に膝)
  • 汗のかきやすい状態(多汗症)
  • いわゆる水太りタイプの肥満症

どんなときに使う?(適応疾患・部位)

  • 疲れやすく、汗のかきやすい傾向があるものの次の諸症
    • 肥満症(筋肉にしまりのない、いわゆる水ぶとり)、関節痛、むくみ、多汗症

防已黄耆湯はオンライン診療で出せる?

「むくみが酷い」「急に症状が出たけど、病院に行く時間がない…」

そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。

防已黄耆湯のような漢方も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。

ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。

ウチカラクリニックでも、
防已黄耆湯に関するご相談や継続的な処方をオンライン診療にて承っております。

特に、症状が安定している場合の継続処方や、お薬への切り替え相談などに、オンライン診療は便利です。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。

防已黄耆湯の使い方(用法・用量

1日2〜3回、1回1包(2.5g)を食前または食間(食事と食事の間)の空腹時に服用するのが基本です。年齢や体重、症状により調整されるので、必ず医師の指示通りに使用してください。

通常、そのまま水や白湯で服用しますが、お湯に溶かして、香りや温かさを感じながら飲むと、より効果的とされることもあります。

防已黄耆湯の副作用

漢方薬は作用が穏やかですが、副作用が全くないわけではありません。

主な副作用

  • 発疹、かゆみなどの皮膚症状
  • 胃の不快感、食欲不振、吐き気などの消化器症状
  • 口渇・頻尿

構成生薬の「甘草(カンゾウ)」の長期・大量服用により、偽アルドステロン症がまれに起こることがあります。主な症状は、むくみ、血圧の上昇、手足の脱力感・しびれ、筋肉痛などです。

頻度は極めてまれですが、肝機能障害、間質性肺炎の報告もあります。

副作用が出たときの対処法

何か異常を感じた場合は、服用を中止し、速やかに医師や薬剤師に相談してください。

防已黄耆湯の注意事項(禁忌)

使ってはいけない方

  • 過去にこの薬の成分でアレルギー症状を起こしたことがある方(禁忌)
  • ご高齢の方
  • 高血圧、心臓病、腎臓病の診断を受けている方

併用に注意が必要な薬

絶対に使ってはいけないお薬(併用禁忌)はありませんが、以下のような薬には注意が必要です。

  • 他の漢方薬(特に「甘草」)、ステロイド・グリチルリチン製剤→偽アルドステロン症リスク
  • ループ/チアジド利尿薬→低K血症リスク
  • ACE阻害薬/ARB→高K血症に要注意

使用上の注意

漢方薬は、症状だけでなく、その人の体質(「証」といいます)に合わせて選ばれます。

防已黄耆湯は、体力がなく、疲れやすく、汗かきで、むくみやすい「気虚」「水滞」タイプの方に適した漢方薬です。

1日3回きちんと続け、2週間経っても変化がなければ医師へ相談しましょう。

保管方法

  • 直射日光・高温多湿を避け、室温で保管してください。
  • 子どもの手の届かない場所へ。

飲み忘れたら?

気づいた時点で、できるだけ早く1回分を服用してください。

ただし、次に飲む時間が近い場合は、忘れた分はとばして、次の時間に1回分だけ飲みましょう。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。

ウチカラクリニックのオンライン診療でも、防已黄耆湯をはじめとした漢方の処方なども行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

防已黄耆湯に市販薬はある?値段は?

市販薬

「むくみ」や「水太り」、「膝の痛み」向けの漢方薬として、「クラシエ」漢方防已黄耆湯エキス錠などの名前で、多くのメーカーから市販されています。

ジェネリック

漢方薬には、西洋薬のような「ジェネリック医薬品」という概念は厳密にはありません。

しかし、ツムラ以外にも、クラシエなど、複数のメーカーが同じ「防已黄耆湯」という名称で医療用エキス製剤を製造しており、薬価もそれぞれ異なります。

薬価

時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。

  • ツムラ防已黄耆湯エキス顆粒(医療用):約24.8円/包(3割負担の場合:約7円)
  • クラシエ防已黄耆湯エキス細粒(医療用):約13.2円/包(3割負担の場合:約4円)

※2025年6月4日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。

添付文書

ツムラ防已黄耆湯エキス顆粒(医療用)

よくある質問(FAQ)

Q. 妊婦や授乳中でも使えますか?
漢方薬も薬ですので、自己判断で使用せず、必ず医師に相談してください。妊娠中は特にむくみやすいですが、体の状態が特殊なため、慎重な判断が必要です。

Q. 子供でも使えますか?
はい、色白で水太り気味のお子様の肥満症や、夜尿症(おねしょ)などに使われることがあります。 ただし、お子様の場合は、体重や年齢に応じて服用量を細かく調整する必要がありますので、必ず医師の指示に従ってください。

Q. いつから効きますか?
漢方薬は、体質をじっくりと改善していくお薬です。即効性は期待できません。個人差はありますが、まずは1ヶ月程度、毎日きちんと飲み続けることで、むくみや体の重だるさ、関節の痛みなどに少しずつ変化が現れてくることが多いです。むくみは1〜2週、体脂肪の変化は1〜1.5か月が目安です。

Q. 飲むだけで痩せますか?
いいえ、脂肪を燃焼させるようなダイエット薬ではありません。 防已黄耆湯が効果を発揮するのは、筋肉が柔らかく、疲れやすい「水太り」タイプの方です。体に溜まった余分な水分を排出することで、体重が減少したり、むくみが取れてスッキリしたりする効果は期待できますが、体質に合わない方が飲んでも効果はありません。

Q.五苓散との違いは何ですか?
どちらも「水」をさばく薬ですが、対象となる体質が違います。五苓散は体力に関わらず、口の渇きがあるような急な水分バランスの乱れ(二日酔いなど)に使います。一方、防已黄耆湯は、根本的に「気(エネルギー)」が不足していて、疲れやすく、汗かきな方の慢性的なむくみに使います。

まとめ

防已黄耆湯は、エネルギーを補いながら、体の余分な「水」を排出することで、疲れやすく汗かきな方の、つらい「むくみ」や「膝の痛み」、「水太り」を改善する漢方薬です。

効果を実感するには、毎日コツコツと飲み続けることが大切です。「自分は水太りかも…」と感じる方は、一度、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談してみてはいかがでしょうか。

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ウチカラクリニック代表医師

経歴

東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。