【漢方】呉茱萸湯の効果・副作用を医師が解説【吐き気を伴う片頭痛に】

五苓散

「ズキンズキンと、こめかみがえぐられるように痛い…」「頭痛がひどくて、吐き気がして何も食べられない」

そんな、吐き気を伴う、つらい片頭痛(偏頭痛)の発作にお悩みではありませんか? 「呉茱萸湯(ゴシュユトウ)」は、体を芯から温めることで、冷えが原因で起こる激しい頭痛や嘔吐を鎮める、専門的な漢方薬です。

この記事では、そんな呉茱萸湯について、漢方ならではの効果の仕組みや副作用、そして正しい飲み方を、医師が分かりやすく解説していきます。

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呉茱萸湯とは?効果は?

呉茱萸湯(ゴシュユトウ)は、胃腸や体を内側から強力に温め、上へと突き上げてくる「気」の逆流を鎮めることで、激しい頭痛や吐き気を改善する漢方薬です。特に、片頭痛(偏頭痛)の治療薬として、西洋薬のトリプタン製剤などと並んで重要な選択肢の一つとされています。

片頭痛の薬についての解説はこちらの記事をチェック!

 

医療用では、主に「ツムラ呉茱萸湯エキス顆粒(医療用)」のように、製薬会社名がついたエキス剤(粉薬)が処方されます。

呉茱萸湯の成分

呉茱萸湯は、以下の4種類の生薬(しょうやく)で構成されています。

  • 呉茱萸(ゴシュユ)
     →主役となる生薬。非常に体を温める作用が強く、肝臓や胃腸の冷えを取り除き、頭痛や吐き気を鎮める。
  • 人参(ニンジン)
     →朝鮮人参。胃腸の働きを助け、エネルギーを補う。
  • 大棗(タイソウ)
     →ナツメの実。体を滋養し、呉茱萸などの強い生薬から胃腸を保護する。
  • 生姜(ショウキョウ)
     →胃を温め、吐き気を抑える代表的な生薬。

漢方では、体が冷え、特に胃腸が冷え切ってしまうと、エネルギー(気)の流れが滞り、上へと逆流して、激しい頭痛や吐き気を引き起こすと考えます。
呉茱萸湯は、体を芯から温めてこの「冷え」と「気の逆流」を鎮めることで、つらい症状を根本から抑え込みます。

呉茱萸湯効果

体を温め、気の逆流を鎮めることで、様々な症状を改善します。

  • 片頭痛(偏頭痛)
  • 吐き気、嘔吐(特に食べたものをすぐ吐いてしまう場合)
  • しゃっくり
  • 頭頂部の痛み

どんなときに使う?(適応疾患・部位)

  • 手足が冷え、肩がこり、ときにみぞおちが膨満するものの次の諸症
    • 習慣性頭痛、片頭痛、神経症、しゃっくり、嘔吐

呉茱萸湯はオンライン診療で出せる?

「片頭痛が酷い」「急に症状が出たけど、病院に行く時間がない…」

そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。

呉茱萸湯のような漢方も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。

ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。

ウチカラクリニックでも、
呉茱萸湯に関するご相談や継続的な処方をオンライン診療にて承っております。

特に、症状が安定している場合の継続処方や、お薬への切り替え相談などに、オンライン診療は便利です。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。

呉茱萸湯の使い方(用法・用量

1日2〜3回、1回1包(2.5g)を食前または食間(食事と食事の間)の空腹時に服用するのが基本です。頭痛発作の時に頓服として使うこともあります。

通常、そのまま水や白湯で服用しますが、お湯に溶かして、香りや温かさを感じながら飲むと、より効果的とされることもあります。

呉茱萸湯の副作用

漢方薬は作用が穏やかですが、副作用が全くないわけではありません。

主な副作用

  • 発疹、かゆみなどの皮膚症状
  • 肝機能の異常(体がだるい、皮膚や白目が黄色くなるなど)

副作用が出たときの対処法

何か異常を感じた場合は、服用を中止し、速やかに医師や薬剤師に相談してください。

※多くの漢方薬で注意が必要な「偽アルドステロン症」の原因となる甘草(カンゾウ)は、半夏厚朴湯には含まれていません。

呉茱萸湯の注意事項(禁忌)

使ってはいけない方

  • 過去にこの薬の成分でアレルギー症状を起こしたことがある方(禁忌)
  • のぼせが強く、体力充実している方(この薬は体を温める作用が強いため、熱タイプの体質には合いません)
  • 妊婦または妊娠している可能性のある女性→動物データで流産リスク示唆
  • 高血圧・心疾患→呉茱萸の交感刺激で血圧上昇例

併用に注意が必要な薬

絶対に使ってはいけないお薬(併用禁忌)はありませんが、以下のような薬には注意が必要です。

  • カフェイン・エフェドリン系鎮痛薬 → のぼせ・動悸増強
  • 小青竜湯・麻黄湯など麻黄含む処方 → 血圧上昇
  • トリプタン系片頭痛薬 → 併用はOKだが重ね飲み時間に注意

使用上の注意

漢方薬は、症状だけでなく、その人の体質(「証」といいます)に合わせて選ばれます。

呉茱萸湯が適しているのは、「冷え」が原因の頭痛です。ズキンズキンと痛む、温めると楽になる、吐き気を伴う、手足が冷える、といった特徴があります。

1日3回きちんと続け、2週間経っても変化がなければ医師へ相談しましょう。

保管方法

  • 直射日光・高温多湿を避け、室温で保管してください。
  • 子どもの手の届かない場所へ。

飲み忘れたら?

気づいた時点で、できるだけ早く1回分を服用してください。

ただし、次に飲む時間が近い場合は、忘れた分はとばして、次の時間に1回分だけ飲みましょう。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。

ウチカラクリニックのオンライン診療でも、呉茱萸湯をはじめとした漢方の処方なども行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

呉茱萸湯に市販薬はある?値段は?

市販薬

片頭痛向けの漢方薬として、「「クラシエ」漢方呉茱萸湯エキス顆粒」などの名前で様々な製薬会社から市販されています。

ジェネリック

漢方薬には、西洋薬のような「ジェネリック医薬品」という概念は厳密にはありません。

しかし、ツムラ以外にも、クラシエなど、複数のメーカーが同じ「呉茱萸湯」という名称で医療用エキス製剤を製造しており、薬価もそれぞれ異なります。

薬価

時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。

  • ツムラ呉茱萸湯エキス顆粒(医療用):約24.8円/包(3割負担の場合:約7円)
  • クラシエ呉茱萸湯エキス細粒(医療用):約13.2円/包(3割負担の場合:約4円)

※2025年6月4日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。

添付文書

ツムラ呉茱萸湯エキス顆粒(医療用)

よくある質問(FAQ)

Q. 妊婦や授乳中でも使えますか?
非常に体を温める作用の強い生薬が含まれているため、原則使用しません。自己判断での服用は絶対にやめてください。授乳中は短期少量なら使用することもありますが、必ず医師に相談し、慎重な判断のもとで使用されます。

Q. 子供でも使えますか?
はい、お子様の頭痛・吐き気などにも使われることがあります。 ただし、お子様の場合は、体重や年齢に応じて服用量を細かく調整する必要がありますので、必ず医師の指示に従ってください。

Q. いつから効きますか?
片頭痛の発作を抑える目的で使う場合、漢方薬としては効果が比較的早いのが特徴です。個人差はありますが、服用後、30分〜1時間程度で、吐き気や頭痛が和らいでくるのを感じられることが多いです。

Q. 西洋薬の片頭痛薬(トリプタン製剤など)との違いは何ですか?
作用の仕組みが全く違います。 トリプタン製剤などが脳の血管に直接作用するのに対し、呉茱萸湯は、頭痛の原因となる体全体の「冷え」と「気の逆流」を、内側から温めて改善することで症状を和らげます。トリプタンが効かないタイプの片頭痛に、呉茱萸湯が著効することもあります。

まとめ

呉茱萸湯は、体を芯から温めることで、吐き気や嘔吐を伴う、つらい片頭痛の発作を鎮める、専門的でシャープな漢方薬です。

一般的な痛み止めが効きにくい、「冷え」が根本にあるタイプの頭痛に、優れた効果を発揮することがあります。 ただし、体質を選ぶ薬でもあるため、自己判断で使わず、必ず漢方に詳しい医師や薬剤師に相談しましょう。

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ウチカラクリニック代表医師

経歴

東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。