「なんだか、ずっと疲れが取れない…」「夏バテで食欲がなく、気力もわかない」
そんな、元気と食欲が落ち込んでいる状態に、漢方薬の「補中益気湯（ホチュウエッキトウ）」が使われることがあります。「元気を取り戻す漢方薬」の代表格として、広く知られています。
この記事では、そんな補中益気湯について、漢方ならではの効果の仕組みや副作用、そして正しい飲み方を、医師が分かりやすく解説していきます。
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補中益気湯とは？効果は？
補中益気湯（ホチュウエッキトウ）は、胃腸の働きを高め、エネルギー（漢方でいう「気」）を補うことで、体の内外から元気を呼び起こす、代表的な「補剤（ほざい）」です。弱った体を回復させ、気力・体力の両方をサポートします。
医療用では、主に「ツムラ補中益気湯エキス顆粒（医療用）」のように、製薬会社名がついたエキス剤（粉薬）が処方されます。
補中益気湯の成分
補中益気湯は、以下の10種類の生薬（しょうやく）で構成されています。
- 人参（ニンジン）、白朮（ビャクジュツ）、黄耆（オウギ）、甘草（カンゾウ）
→胃腸を元気にし、エネルギー（気）を強力に補う中心的な生薬。 - 当帰（トウキ）
→血（けつ）を補い、滋養を与える。 - 陳皮（チンピ）、大棗（タイソウ）、生姜（ショウキョウ）
→胃腸の働きを助け、気の巡りを良くする。 - 柴胡（サイコ）、升麻（ショウマ）
→下がってしまった気を、上に持ち上げる働きがある。
漢方では、消化器系（「脾胃（ひい）」）は、食べ物からエネルギー（気）を作り出す、元気の源と考えます。疲れや病気でこの働きが弱ると、「気」が不足（「気虚（ききょ）」）し、疲れや食欲不振につながります。
補中益気湯は、文字通り「中（＝胃腸）を補い、気を益す（増やす）」ことで、元気の源から立て直す働きをします。
補中益気湯の効果
胃腸を元気にし、気力を補うことで、様々な不調を改善します。
- 疲労倦怠感、元気がない
- 食欲不振
- 病後の体力低下、寝汗
- 夏バテ、虚弱体質
どんなときに使う？（適応疾患・部位）
- 元気がなく、胃腸の働きが衰えて、疲れやすいものの次の諸症状
- 虚弱体質、疲労倦怠、病後・術後の衰弱、食欲不振、ねあせ、感冒
補中益気湯はオンライン診療で出せる？
「最近元気が出ないことが続いてる…」「急に症状が出たけど、病院に行く時間がない…」
そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。
補中益気湯のような漢方も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。
ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。
ウチカラクリニックでも、
補中益気湯に関するご相談や継続的な処方をオンライン診療にて承っております。
特に、症状が安定している場合の継続処方や、お薬への切り替え相談などに、オンライン診療は便利です。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。
補中益気湯の使い方（用法・用量）
1日2〜3回、1回1包（2.5g）を食前または食間（食事と食事の間）の空腹時に服用するのが基本です。年齢や体重、症状により調整されるので、必ず医師の指示通りに使用してください。
通常、そのまま水や白湯で服用しますが、お湯に溶かして、香りや温かさを感じながら飲むと、より効果的とされることもあります。
補中益気湯の副作用
漢方薬は作用が穏やかですが、副作用が全くないわけではありません。
主な副作用
- 発疹、かゆみなどの皮膚症状
- 胃の不快感、食欲不振、吐き気などの消化器症状
構成生薬の「甘草（カンゾウ）」の長期・大量服用により、偽アルドステロン症がまれに起こることがあります。主な症状は、むくみ、血圧の上昇、手足の脱力感・しびれ、筋肉痛などです。
頻度は極めてまれですが、肝機能障害、間質性肺炎も報告されています。初期症状（だるさ、黄疸、発熱、空咳、息切れなど）に注意が必要です。
副作用が出たときの対処法
何か異常を感じた場合は、服用を中止し、速やかに医師や薬剤師に相談してください。
補中益気湯の注意事項（禁忌）
使ってはいけない方
- 過去にこの薬の成分でアレルギー症状を起こしたことがある方（禁忌）
- 高熱が出ている、炎症が強いなど、体に「熱」がこもっている状態の方→補う作用が、かえって熱を悪化させることあり
- ご高齢の方
- 高血圧、心臓病、腎臓病で“むくみやすい”体質
併用に注意が必要な薬
- 他の漢方薬（特に「甘草」を含むもの）を服用中の方
- ループ利尿薬→低カリウム血症リスク
- ステロイド薬→偽アルドステロン症リスク↑
- グリチルリチン含有薬→甘草が重複
使用上の注意
漢方薬は、症状だけでなく、その人の体質（「証」といいます）に合わせて選ばれます。
補中益気湯は、体力や気力が落ちている「虚証」タイプの方に適しています。
1日3回きちんと続け、2週間経っても変化がなければ医師へ相談しましょう。
保管方法
- 直射日光・高温多湿を避け、室温で保管してください。
- 子どもの手の届かない場所へ。
飲み忘れたら？
気づいた時点で、できるだけ早く1回分を服用してください。
ただし、次に飲む時間が近い場合は、忘れた分はとばして、次の時間に1回分だけ飲みましょう。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。
ウチカラクリニックのオンライン診療でも、補中益気湯をはじめとした漢方の処方なども行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。
補中益気湯に市販薬はある？値段は？
市販薬
「ツムラ漢方補中益気湯エキス顆粒」や「クラシエ薬品「クラシエ」漢方補中益気湯エキス顆粒」などの名前で、多くのメーカーから市販されています。
ジェネリック
漢方薬には、西洋薬のような「ジェネリック医薬品」という概念は厳密にはありません。
しかし、ツムラ以外にも、クラシエなど、複数のメーカーが同じ「補中益気湯」という名称で医療用エキス製剤を製造しており、薬価もそれぞれ異なります。
薬価
時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。
- ツムラ補中益気湯エキス顆粒（医療用）：約32.1円/包（3割負担の場合：約10円）
- クラシエ補中益気湯エキス細粒（医療用）：約17.7円/包（3割負担の場合：約5円）
※2025年6月4日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。
添付文書
よくある質問（FAQ）
Q. 妊婦や授乳中でも使えますか？
比較的安全に使えるとされていますが、漢方薬も薬です。自己判断で使用せず、必ず医師に相談してください。特に、妊娠中は体質が変化しやすいため、慎重な判断が必要です。
Q. 子供でも使えますか？
はい、虚弱体質のお子様や、食が細い、よく風邪をひくといったお子様にも使われます。 ただし、お子様の場合は、体重や年齢に応じて服用量を細かく調整する必要がありますので、必ず医師の指示に従ってください。
Q. いつから効きますか？
漢方薬は、体質をじっくりと改善していくお薬です。即効性は期待できません。個人差はありますが、まずは2週間〜1ヶ月程度、毎日きちんと飲み続けることで、イライラや不眠などの症状が少しずつ和らいでくるのを感じられることが多いです。早い人で数日、平均1〜2週間で“朝の元気”や食欲が戻る実感があります。
Q. 栄養ドリンクやサプリメントとの違いは何ですか？
栄養ドリンクが一時的に元気を「前借り」するようなものであるのに対し、補中益気湯は、元気を作り出す源である「胃腸」の働きそのものを高めることで、持続的に体の中から元気になることを目指します。
Q. 風邪のひき始めに飲んでもいいですか？
高熱が出ている時や、寒気がするような風邪のひき始めには適していません。 元気を補う作用が、かえってウイルスなどを勢いづかせてしまうことがあるためです。風邪が長引いて体力が落ちた「回復期」に飲むのが適しています。
まとめ
補中益気湯は、「元気の源」である胃腸の働きを高め、エネルギー（気）を補うことで、疲労倦怠感や食欲不振といった「虚弱」からくる不調を根本から改善する、代表的な漢方薬です。
効果を実感するには、毎日コツコツと飲み続けることが大切です。「最近、疲れやすくて元気が出ない」と感じている方は、一度、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談してみてはいかがでしょうか。
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