【漢方】桂枝茯苓丸の効果・副作用を医師が解説

桂枝茯苓丸

「生理痛がひどくて、毎月つらい…」「更年期のせいか、急にカーッと暑くなるのに足は冷える」 そんな、女性特有のお悩みはありませんか?

「桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)」は、滞った「血(けつ)」の巡りを改善することで、生理痛や月経不順、更年期障害といった婦人科系の不調を和らげる、代表的な漢方薬です。「婦人科三大処方」の一つとして、広く知られています。

この記事では、そんな桂枝茯苓丸について、漢方ならではの効果の仕組みや副作用、そして正しい飲み方を、医師が分かりやすく解説していきます。

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桂枝茯苓丸とは?効果は?

桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)は、漢方でいう「瘀血(おけつ)」の状態を改善するお薬です。
「瘀血」とは、血の巡りが悪くなり、古血が滞ってしまっている状態のことで、様々な痛みや婦人科系のトラブルの原因と考えられています。桂枝茯苓丸は、この血の滞りを解消し、血行を促進することで、不調を改善に導きます。

医療用では、主に「ツムラ桂枝茯苓丸エキス顆粒(医療用)」のように、製薬会社名がついたエキス剤(粉薬)が処方されます。

桂枝茯苓丸の成分

桂枝茯苓丸は、以下の5種類の生薬(しょうやく)で構成されています。

  • 桂皮(ケイヒ)
     →シナモン。体を温め、気や血の巡りを良くする。のぼせを鎮める。
  • 茯苓(ブクリョウ)
     →余分な水分を取り除き、血の巡りを助け、精神を安定させる。
  • 牡丹皮(ボタンピ)
     →血の巡りを良くし、熱を冷ます。瘀血を解消する中心的な生薬。
  • 桃仁(トウニン)
     →モモの種。血の滞りを強力に解消し、生理痛などを和らげる。
  • 芍薬(シャクヤク)
     →血を補い、筋肉のけいれんを鎮めることで痛みを緩和する。

これらの生薬が協力し、滞った血の流れをスムーズにし、痛みや炎症の原因となる「瘀血」を取り除きます。また、のぼせと冷えが同時に起こる「冷えのぼせ」のような、複雑な熱のバランスも整えます。

桂枝茯苓丸効果

血行を促進し、瘀血を改善することで、様々な症状を和らげます。

  • 婦人科系:生理痛、月経不順、月経困難、子宮内膜症、子宮筋腫、更年期障害(のぼせ、冷え、頭痛、肩こりなど)
  • その他:しみ、にきび、しもやけ、打ち身(打撲症)、痔

どんなときに使う?(適応疾患・部位)

  • 比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足は冷えるなどを訴えるものの次の諸症状
    • 月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、血の道症、肩こり、めまい、頭重、打ち身(打撲症)、しもやけ、しみ、湿疹・皮膚炎、にきび

桂枝茯苓丸はオンライン診療で出せる?

「生理痛がつらい…」「急に症状が出たけど、病院に行く時間がない…」

そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。

桂枝茯苓丸のような漢方も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。

ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。

ウチカラクリニックでも、
桂枝茯苓丸に関するご相談や継続的な処方をオンライン診療にて承っております。

特に、症状が安定している場合の継続処方や、お薬への切り替え相談などに、オンライン診療は便利です。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。

桂枝茯苓丸の使い方(用法・用量

1日2〜3回、1回1包(2.5g)を食前または食間(食事と食事の間)の空腹時に服用するのが基本です。年齢や体重、症状により調整されるので、必ず医師の指示通りに使用してください。

通常、そのまま水や白湯で服用しますが、お湯に溶かして、香りや温かさを感じながら飲むと、より効果的とされることもあります。

桂枝茯苓丸の副作用

漢方薬は作用が穏やかですが、副作用が全くないわけではありません。

主な副作用

  • 発疹、かゆみなどの皮膚症状
  • 胃の不快感、食欲不振、吐き気、下痢などの消化器症状
  • 肝機能の異常(体がだるい、皮膚や白目が黄色くなるなど)

副作用が出たときの対処法

何か異常を感じた場合は、服用を中止し、速やかに医師や薬剤師に相談してください。

※多くの漢方薬で注意が必要な「偽アルドステロン症」の原因となる甘草(カンゾウ)は、牛車腎気丸には含まれていません。

桂枝茯苓丸の注意事項(禁忌)

使ってはいけない方

  • 過去にこの薬の成分でアレルギー症状を起こしたことがある方(禁忌)
  • 妊婦または妊娠している可能性のある女性→流早産の危険性
  • 体力の著しく衰えている方(この薬は、ある程度体力がある方向けです)
  • 胃腸が非常に弱く、下痢をしやすい方
  • 出血傾向(ワルファリン内服、血小板減少など)
  • 強い月経過多や不正出血

併用に注意が必要な薬

  • ワルファリン・DOAC→桃仁により抗凝固作用変動
  • アスピリンなど抗血小板薬→出血リスク↑
  • 他の駆瘀血(くおけつ)漢方(桃核承気湯など)→作用が重複

使用上の注意

漢方薬は、症状だけでなく、その人の体質(「証」といいます)に合わせて選ばれます。

桂枝茯苓丸は、比較的体力があり、赤ら顔でのぼせやすい「実証(じっしょう)」タイプの方に適した漢方薬です。

1日3回きちんと続け、2週間経っても変化がなければ医師へ相談しましょう。

保管方法

  • 直射日光・高温多湿を避け、室温で保管してください。
  • 子どもの手の届かない場所へ。

飲み忘れたら?

気づいた時点で、できるだけ早く1回分を服用してください。

ただし、次に飲む時間が近い場合は、忘れた分はとばして、次の時間に1回分だけ飲みましょう。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。

ウチカラクリニックのオンライン診療でも、桂枝茯苓丸をはじめとした漢方の処方なども行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

桂枝茯苓丸に市販薬はある?値段は?

市販薬

ツムラ漢方桂枝茯苓丸エキス顆粒クラシエ薬品「クラシエ」漢方桂枝茯苓丸エキス顆粒などの名前で、多くのメーカーから市販されています。

ジェネリック

漢方薬には、西洋薬のような「ジェネリック医薬品」という概念は厳密にはありません。

しかし、ツムラ以外にも、クラシエなど、複数のメーカーが同じ「桂枝茯苓丸」という名称で医療用エキス製剤を製造しており、薬価もそれぞれ異なります。

薬価

時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。

  • ツムラ桂枝茯苓丸エキス顆粒(医療用):約21.7円/包(3割負担の場合:約7円)
  • クラシエ桂枝茯苓丸エキス細粒(医療用):約11.7円/包(3割負担の場合:約4円)

※2025年6月4日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。

添付文書

ツムラ桂枝茯苓丸エキス顆粒(医療用)

よくある質問(FAQ)

Q. 妊婦や授乳中でも使えますか?
妊娠中は出血・流産報告があります。 血の巡りを良くする作用が、妊娠の維持に影響を与える可能性があるためです。また、授乳中も自己判断はせず、必ず医師に相談してください。

Q. 子供でも使えますか?
いいえ、主に中高年以降の成人の体質に合わせて作られた漢方薬であり、通常、小児には使用しません。

Q. いつから効きますか?
漢方薬は、体質をじっくりと改善していくお薬です。即効性は期待しにくいです。個人差はありますが、まずは1ヶ月程度、毎日きちんと飲み続けることで、生理痛の程度や月経周期、のぼせなどの症状に少しずつ変化が現れます。PMSや生理痛は1〜2周期、ほてりや肩こりは2〜4週間で軽減を感じる人が多い。

Q. 同じ婦人科の漢方薬「加味逍遙散」との違いは何ですか?
ターゲットとする体質が違います。 加味逍遙散は、ストレスや不安が強く、イライラしがちな「気滞」がメインの方に適しています。一方、桂枝茯苓丸は、体力は比較的あり、のぼせや生理痛など「血の滞り(瘀血)」がメインの方に適しています。

Q. 男性でも飲めますか?
はい、男性でも飲めます。 女性特有の薬というイメージが強いですが、「体力は中等度以上で、のぼせやすく、ニキビやシミができやすい」といった「瘀血」の体質が合えば、男性の肌トラブルなどにも効果が期待できます。

まとめ

桂枝茯苓丸は、滞った「血」の巡りを改善することで、生理痛、月経不順、更年期障害ののぼせやイライラといった、女性の様々な不調を改善する代表的な漢方薬です。

効果を実感するには、毎日コツコツと飲み続けることが大切です。特に妊娠中の方は使用に注意が必要なため、必ず専門家と相談することが重要です。 長年、生理のトラブルや更年期の症状にお悩みの方は、一度、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談してみてはいかがでしょうか。

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ウチカラクリニック代表医師

経歴

東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。