人参養栄湯のすごい効果とは?自律神経との関係や効果が出るまでを医師が解説!

人参養栄湯

「病気は治ったはずなのに、体のだるさだけが抜けない…」 「食欲がなくて、すっかり痩せてしまった」 「疲れやすくて、手足が冷え、寝つきも悪い」

そんな、病後や日々の疲労で心と体がすっかり弱ってしまった状態に、漢方薬の「人参養栄湯(にんじんようえいとう)」が処方されることがあります。

今回は、この人参養栄湯がどのようなお薬なのか、そのすごい効果の秘密や副作用、そして気になる自律神経や体重との関係について、医師がやさしく解説していきます。

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人参養栄湯とは?効果は?

人参養栄湯は、消耗した「気(エネルギー)」と「血(栄養・潤い)」の両方を強力に補うことで、心と体の回復を助ける漢方薬です。「補剤(ほざい)」という、体力を補うタイプの漢方の代表格の一つです。

弱った心身をじっくりと養う、栄養ドリンクのような漢方で、病後や手術後で体力が落ちている方、慢性的な疲労感に悩む方に用いられます。

医療用では、主に「ツムラ人参養栄湯エキス顆粒(医療用)」のように、製薬会社名がついたエキス剤(粉薬)が処方されます。

人参養栄湯の成分

人参養栄湯は、以下の12種類の生薬(しょうやく)で構成されています。

  • 人参(ニンジン)、黄耆(オウギ)、白朮(ビャクジュツ)、甘草(カンゾウ)
     →消耗したエネルギー(気)を補うグループ
  • 当帰(トウキ)、芍薬(シャクヤク)、地黄(ジオウ)
     →体の栄養や潤い(血)を補うグループ
  • 茯苓(ブクリョウ)、遠志(オンジ)、五味子(ゴミシ)
     →精神を安定させ、咳を鎮めるグループ
  • 桂皮(ケイヒ)、陳皮(チンピ)
     →体を温め、胃腸の働きと巡りを助けるグループ

 

人参養栄湯効果

  • 滋養強壮、虚弱体質の改善
  • 食欲不振、疲労倦怠感、寝汗、手足の冷え、貧血の改善

漢方では、病気や手術、過労などで体力を大きく消耗すると、体を動かすエネルギーである「気(き)」と、全身に栄養と潤いを運ぶ「血(けつ)」の両方が不足した状態(気血両虚)に陥ると考えます。

この状態が、激しい疲労感や食欲不振、貧血、手足の冷え、さらには不安感や不眠といった心身の不調の原因となります。

人参養栄湯は、これらの生薬が協力して、まず「気」と「血」を補う強力なグループが体の土台を立て直します。さらに、弱った胃腸や呼吸器、心をサポートする生薬が加わることで、総合的に体力を回復させ、病後の様々な不快な症状を改善していきます。

 

どんなときに使う?(適応疾患・部位)

  • 病後の体力低下
  • 疲労倦怠
  • 食欲不振
  • 寝汗
  • 手足の冷え
  • 貧血

人参養栄湯で痩せるの?自律神経との関係は?

人参養栄湯に痩せる効果はありません。

この漢方薬は、体力がなく食欲不振で「痩せてしまった」方が、健康的な状態に戻るのを助けるためのものです。
胃腸の働きを整えて食欲を増進させるため、むしろ体力が回復する過程で、適正な体重に戻る(少し増える)ことが期待されます。

「痩せる」というキーワードは、防風通聖散など、別の漢方薬と混同されている可能性が高いです。

【防風通聖散の詳しい解説はこちら!】
【漢方】防風通聖散の効果・副作用を医師が解説【ダイエットに効く?危険?】

 

自律神経の乱れとの関係は?

人参養栄湯が適応となる症状、例えば「疲労感」「手足の冷え」「寝汗」「不安感」「不眠」などは、自律神経の乱れによって引き起こされることがよくあります。

人参養栄湯は、自律神経に直接作用するわけではありません。

しかし、心と体のエネルギー源である「気」と「血」を充実させることで、体全体のバランスを根本から整えます。その結果として、乱れていた自律神経の働きが安定し、精神的な不安が和らいだり、寝つきが良くなったりといった効果が期待できるのです。

 

 

人参養栄湯はオンライン診療で出せる?

「なんだか元気がでない」「急に症状が出たけど、病院に行く時間がない…」

そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。

人参養栄湯のような漢方も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。

ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。

ウチカラクリニックでも、
人参養栄湯に関するご相談や継続的な処方をオンライン診療にて承っております。

特に、症状が安定している場合の継続処方や、お薬への切り替え相談などに、オンライン診療は便利です。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。

人参養栄湯の使い方(用法・用量

1日2〜3回、1回1包を食前または食間(食事と食事の間)の空腹時に服用するのが基本です。

メーカーにより1包の量などが異なります。詳細は医師や薬剤師の指示に従ってください。

通常、そのまま水や白湯で服用しますが、お湯に溶かして、香りや温かさを感じながら飲むと、より効果的とされることもあります。

 

 

効果が出るまでどれくらいかかる?

人参養栄湯は、痛み止めのようにすぐに効果が出るお薬ではありません。弱ってしまった体を、土台からじっくりと作り直していくイメージです。

体質や症状の重さによりますが、早い方でも効果を感じ始めるまでに2週間~1ヶ月程度はかかります。

本来の効果を得るためには、数ヶ月単位で継続して服用することが一般的です。

焦らず、じっくりと体と向き合うことが大切です。

人参養栄湯の副作用

主な副作用

主な副作用として、発疹、かゆみ、食欲不振、胃の不快感、下痢などが報告されています。

また、甘草(カンゾウ)による「偽アルドステロン症」(むくみ、血圧上昇など)にも注意が必要です。

重大な副作用として、ミオパチー肝機能障害/黄疸も頻度不明ですが報告されています。

副作用への対処法

配合されている地黄(ジオウ)という生薬の影響で、もともと胃腸が弱い方は胃もたれなどを感じることがあります。また、まれに甘草(カンゾウ)による副作用として、「偽アルドステロン症」の初期症状であるむくみや手足のだるさが現れることもありますので注意が必要です。

このような気になる症状が出た場合は、服用を続けずに医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

人参養栄湯の注意事項(禁忌)

使用に注意が必要な方

  • 体力があり、暑がりで、食欲旺盛な「実証」タイプの方
    ※栄養過多になり、症状が悪化することがあります。
  • 高血圧、心臓病、腎臓病のある方

併用に注意が必要な薬

  • 甘草(カンゾウ)を含む他の漢方薬や医薬品

使用上の注意

漢方薬は、症状だけでなく、その人の体質(「証」といいます)に合わせて選ばれます。

人参養栄湯は、病後や日々の疲労で、顔色が悪く、食欲がなく、手足が冷えやすい「虚証(きょしょう)」タイプの方に最も適しています。

 

保管方法

  • 直射日光や湿気を避け、涼しい場所で保管してください。
  • 子どもの手の届かない場所へ。

飲み忘れたら?

気づいた時点で、できるだけ早く1回分を服用してください。

ただし、次に飲む時間が近い場合は、忘れた分はとばして、次の時間に1回分だけ飲みましょう。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。

ウチカラクリニックのオンライン診療でも、人参養栄湯をはじめとした漢方の処方なども行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

人参養栄湯に市販薬はある?値段は?

市販薬

【第2類医薬品】人参養栄湯エキス顆粒クラシエ第2類医薬品】ツムラ漢方人参養栄湯エキス顆粒など多数販売されています。

ジェネリック

漢方薬には、西洋薬のような「ジェネリック医薬品」という概念は厳密にはありません。

しかし、ツムラ以外にも、クラシエなど、複数のメーカーが同じ「人参養栄湯」という名称で医療用エキス製剤を製造しており、薬価もそれぞれ異なります。

薬価

時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。

  • ツムラ人参養栄湯エキス顆粒(医療用):約50.3円/包(3割負担の場合:約15円)
  • クラシエ人参養栄湯エキス細粒3.0g(医療用):約66.9円/包(3割負担の場合:約20円)

※2025年8月24日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。

添付文書

ツムラ人参養栄湯エキス顆粒(医療用)

よくある質問(FAQ)

Q.妊婦・授乳中でも飲めますか?

自己判断での服用は避け、必ず医師に相談してください。妊娠中は体の状態が大きく変化するため、専門家による慎重な判断が必要です。

Q.子どもでも飲めますか?

はい、お子さんの虚弱体質や食欲不振、寝汗などに処方されることがあります。その場合、年齢や体重に合わせて服用量が細かく調整されます。

Q.飲むと眠くなりますか?運転はできますか?

眠くなる成分は含まれていないため、運転や機械の操作に影響はありません。

Q.お酒(アルコール)との飲み合わせは?

直接的な悪い相互作用はありませんが、人参養栄湯は弱った体を回復させるための漢方です。アルコールは体に負担をかけるため、治療中は飲酒を控えるのが望ましいです。

 

人参養栄湯の処方はウチカラクリニックオンライン診療で!

人参養栄湯は、病気や日々の疲れで消耗してしまった心と体を、エネルギーと栄養の両面から補ってくれる、とてもやさしく、そして頼りになる漢方薬です。

「何をしても疲れが取れない」
「体だけでなく、気分も落ち込みがち」

そんなときは、一人で抱え込まずに専門家である医師に相談してみましょう。

ウチカラクリニックのオンライン診療なら、お忙しい方でもご自宅から気軽に医師の診察を受けることができます。

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通院の手間なく、ご自身の症状に合った適切なお薬の処方や、漢方薬に関する相談が可能です。つらい症状にお悩みの方は、ぜひお気軽にウチカラクリニックにご相談ください。

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ウチカラクリニック代表医師

経歴

東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。