【漢方】六味丸の効果・飲み方・副作用を医師が解説！

「年を重ねるにつれて、疲れやすくなった気がする」「夜中に何度もトイレに起きてしまい、ぐっすり眠れない」「手足は冷えるのに、顔や手のひらはほてる感じがする」

そんな、加齢や体質による、じわじわと続く不調に、漢方薬の「六味丸（ろくみがん）」（別名：六味地黄丸（ろくみじおうがん））が処方されることがあります。

今回は、この六味丸がどのようなお薬なのか、その効果の仕組みや副作用、そしてどのような人に合うのかについて、医師がやさしく解説していきます。

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六味丸とは？効果は？

六味丸は、体の根本的な潤い（陰）を補うことで、加齢や体質による様々な不調を改善する漢方薬です。「補腎薬（ほじんやく）」という、漢方でいう「腎（じん）」の働きを補うグループの、最も基本的で有名な処方です。

疲れやすさ、排尿トラブル、ほてり、かすみ目など、年齢と共に現れやすい症状によく使われます。

医療用では、主に「ツムラ六味丸エキス顆粒（医療用）」のように、製薬会社名がついたエキス剤（粉薬）が処方されます。

六味丸の成分

六味丸は、以下の6種類の生薬（しょうやく）で構成されています。

地黄（ジオウ）、山茱萸（サンシュユ）、山薬（サンヤク）
　→潤いを補うグループ（補）
茯苓（ブクリョウ）、沢瀉（タクシャ）、牡丹皮（ボタンピ）
　→余分なものを排出するグループ（瀉）

漢方でいう「腎」は、生命エネルギーの貯蔵庫のようなもので、加齢と共にその力は衰えていきます。
特に、体を潤し、クールダウンさせる力（腎陰）が不足する（腎陰虚）と、体は潤い不足になり、相対的に熱がこもった「空だき」のような状態になります。これが、ほてり、のどの渇き、頻尿、疲れやすさなどの原因と考えます。

六味丸は、これらの生薬により「補いすぎず、排出しすぎず」という絶妙なバランスで、体の潤いの土台を立て直していきます。

六味丸の効果

体の潤いを補い、滋養する効果
排尿トラブル（頻尿、残尿感など）を改善する効果
ほてりやのどの渇きを和らげる効果

どんなときに使う？（適応疾患・部位）

疲れやすくて、尿量減少又は多尿で、ときに口渇があるものの次の諸症：
- 排尿困難、頻尿、むくみ、かゆみ

六味丸はオンライン診療で出せる？

「年齢のせいか、最近不調が続いている」「急に症状が出たけど、病院に行く時間がない…」

そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。

六味丸のような漢方も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。

ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。

ウチカラクリニックでも、
六味丸に関するご相談や継続的な処方をオンライン診療にて承っております。

特に、症状が安定している場合の継続処方や、お薬への切り替え相談などに、オンライン診療は便利です。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。

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六味丸の使い方（用法・用量）

1日2〜3回、1回1包を食前または食間（食事と食事の間）の空腹時に服用するのが基本です。

水または白湯（さゆ）で服用してください。

メーカーにより1包の量などが異なります。詳細は医師や薬剤師の指示に従ってください。

六味丸の副作用

漢方薬は作用が穏やかですが、副作用が全くないわけではありません。

主な副作用

主な副作用として、食欲不振、胃の不快感、吐き気、下痢、腹痛などが報告されています。

副作用への対処法

主成分である地黄（ジオウ）は、栄養価が高い反面、胃にもたれやすい性質があります。

もともと胃腸が弱い方が飲むと、食欲がなくなったり、下痢をしたりすることがあります。

食後に飲むなどの工夫で改善することもありますが、症状が続く場合は医師や薬剤師に相談してください。

六味丸の注意事項（禁忌）

注意が必要な方

過去にこの薬の成分でアレルギー症状を起こしたことがある方
著しく胃腸の弱い方
食欲不振、吐き気・嘔吐のある方
妊娠中またはその可能性がある方

併用に注意が必要な薬

悪い飲み合わせは特に報告されていませんが、他の漢方薬と併用する場合は、成分が重複しないか医師・薬剤師に確認しましょう。

使用上の注意

漢方薬は、症状だけでなく、その人の体質（「証」といいます）に合わせて選ばれます。
六味丸は、疲れやすく（虚証）、体の潤いが不足し、手足のほてりやのどの渇きといった熱症状が見られる（腎陰虚）タイプの方に適しています。

保管方法

直射日光や湿気を避け、涼しい場所に保管してください。
子どもの手の届かない場所へ。

飲み忘れたら？

気づいた時点で、できるだけ早く1回分を服用してください。

ただし、次に飲む時間が近い場合は、忘れた分はとばして、次の時間に1回分だけ飲みましょう。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。

ウチカラクリニックのオンライン診療でも、六味丸をはじめとした漢方の処方なども行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

六味丸に市販薬はある？値段は？

市販薬

クラシエやJPS製薬などから、具体的な製品名で販売されています。

「クラシエ」漢方六味丸料エキス錠 （クラシエ）
JPS漢方-77 六味丸料エキス錠N （ジェーピーエス製薬）

製品によって顆粒や錠剤といった剤形や、用法・用量が異なりますので、購入の際はパッケージをよく確認し、薬剤師や登録販売者に相談することをおすすめします。

ジェネリック

漢方薬には、西洋薬のような「ジェネリック医薬品」という概念は厳密にはありません。

しかし、ツムラ以外にも、複数のメーカーが同じ「六味丸」という名称で医療用エキス製剤を製造しており、薬価もそれぞれ異なります。

薬価

時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。

ツムラ六味丸エキス顆粒2.5 g（医療用）：約34.5円/包（3割負担の場合：約10円）
クラシエ六味丸料エキス細粒2.0 g（医療用）：約23.4円/包（3割負担の場合：約7円）

※2025年10月3日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。

添付文書

ツムラ六味丸エキス顆粒（医療用）

よくある質問（FAQ）

Q.妊婦・授乳中でも飲めますか？

六味丸は牡丹皮を含むため、妊婦又は妊娠の可能性のある女性には投与しないことが望ましいです。自己判断での服用は避け、必ず医師や薬剤師に相談してください。

Q.子どもでも飲めますか？

はい、お子さんの夜尿症（おねしょ）や、発育が遅いといった場合に処方されることがあります。その場合、年齢や体重に合わせて服用量が調整されます。

Q.飲むと眠くなりますか？運転はできますか？

眠くなる成分は含まれていないため、運転や機械の操作に影響はありません。

Q.お酒（アルコール）との飲み合わせは？

アルコールは体内に「熱」を生み、体の潤いを奪う性質があります。六味丸が目指す「潤いを補い、余分な熱を冷ます」働きとは逆の作用になるため、治療効果を妨げてしまう可能性があります。治療中は控えるのが望ましいです。

Q.いつから効き始めますか？

体の土台となる「腎」を補うお薬なので、即効性はありません。体質をじっくりと整えていくため、効果を実感するまでには1ヶ月以上かかることも珍しくありません。焦らず、継続して服用することが大切です。

Q.「八味地黄丸」との違いは何ですか？

どちらも六味丸をベースにした兄弟のような漢方薬ですが、得意な症状が正反対です。

六味丸: 「ほてり」や「のどの渇き」が気になる方向けの“冷ます”漢方。
八味地黄丸: 六味丸に体を温める生薬を2つ加えたもので、「冷え」や「活力の低下」が気になる方向けの“温める”漢方です。

詳しい解説はこちら！
→【漢方】八味地黄丸の効果・副作用を医師が解説

まとめ

六味丸は、年齢と共に失われがちな体の潤いを補い、頻尿や疲れ、ほてりといった様々な不調を、根本からやさしく整えてくれる漢方薬です。多くの処方のベースとなる、アンチエイジング漢方の基本の一方です。

「最近、年のせいか不調が多い…」
「自分の体質に合った漢方で、じっくり体をメンテナンスしたい」

そんなときは、我慢せずに専門家である医師に相談しましょう。

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通院の手間なく、ご自身の体質や症状に合った漢方薬についてじっくりと相談できます。長引く不調にお悩みの方は、ぜひお気軽にウチカラクリニックにご相談ください。