【漢方】柴胡加竜骨牡蛎湯の効果・副作用を医師が解説

柴胡加竜骨牡蛎湯

「ささいなことで動悸がして、不安でたまらなくなる」「ストレスで眠りが浅く、夜中に何度も目が覚める」

そんな、ストレスやショックが原因で起こる、心と体の過敏な症状にお悩みではありませんか? 「柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)」は、高ぶった神経を鎮め、精神的な動揺を落ち着かせることで、不安感や動悸、不眠といった症状を改善する、代表的な漢方薬です。

この記事では、そんな柴胡加竜骨牡蛎湯について、漢方ならではの効果の仕組みや副作用、そして正しい飲み方を、医師が分かりやすく解説していきます。

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柴胡加竜骨牡蛎湯とは?効果は?

柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)は、ストレスなどによって乱れた「気」の流れを整え、精神的な興奮や動揺を鎮める漢方薬です。「竜骨」や「牡蛎」といった、心を落ち着かせる重鎮安神薬(じゅうちんあんしんやく)が含まれているのが大きな特徴です。

医療用では、主に「ツムラ柴胡加竜骨牡蛎湯エキス顆粒(医療用)」のように、製薬会社名がついたエキス剤(粉薬)が処方されます。

柴胡加竜骨牡蛎湯の成分

柴胡加竜骨牡蛎湯は、以下の11種類の生薬(しょうやく)で構成されています。

  • 柴胡(サイコ)、半夏(ハンゲ)、黄芩(オウゴン)など
     →胸のあたりのつかえ感や熱っぽさを取り、気の巡りを良くする。
  • 桂皮(ケイヒ)、生姜(ショウキョウ)
     →体を温め、のぼせや動悸を和らげる。
  • 茯苓(ブクリョウ)
     →精神を安定させる。
  • 人参(ニンジン)、大棗(タイソウ)
     →胃腸の働きを助け、エネルギーを補う。
  • 大黄(ダイオウ)
     →便通を良くし、体にこもった熱や不要なものを取り除く。
  • 竜骨(リュウコツ)、牡蛎(ボレイ)
     →化石化した哺乳類の骨やカキの殻。心をどっしりと落ち着かせ(安神作用)、不安や動悸、不眠を鎮める中心的な役割を果たす。

漢方では、強いストレスや精神的なショックで「気」が乱れ、胸や頭に突き上げてくると、動悸や不眠、不安感が起こると考えます。柴胡加竜骨牡蛎湯は、気の流れを整えつつ、竜骨・牡蛎の「重し」の力で、浮き足だった心と体をどっしりと安定させる働きをします。

柴胡加竜骨牡蛎湯効果

心身の興奮を鎮め、バランスを整えることで、様々な症状を改善します。

  • 精神神経症状:不安感、イライラ、不眠、動悸、息切れ
  • 身体症状:胸のつかえ感、肩こり、頭重感
  • 高血圧に伴う随伴症状

どんなときに使う?(適応疾患・部位)

  • 体力中等度以上で、精神不安があって、動悸、不眠、便秘などを伴う次の諸症状
    • 高血圧の随伴症状(動悸、不安、不眠)、神経症、更年期神経症、小児夜泣き、便秘

柴胡加竜骨牡蛎湯はオンライン診療で出せる?

「不安や動悸が止まらない…」「急に症状が出たけど、病院に行く時間がない…」

そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。

柴胡加竜骨牡蛎湯のような漢方も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。

ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。

ウチカラクリニックでも、
柴胡加竜骨牡蛎湯に関するご相談や継続的な処方をオンライン診療にて承っております。

特に、症状が安定している場合の継続処方や、お薬への切り替え相談などに、オンライン診療は便利です。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。

柴胡加竜骨牡蛎湯の使い方(用法・用量

1日2〜3回、1回1包(2.5g)を食前または食間(食事と食事の間)の空腹時に服用するのが基本です。年齢や体重、症状により調整されるので、必ず医師の指示通りに使用してください。

通常、そのまま水や白湯で服用しますが、お湯に溶かして、香りや温かさを感じながら飲むと、より効果的とされることもあります。

柴胡加竜骨牡蛎湯の副作用

漢方薬は作用が穏やかですが、副作用が全くないわけではありません。

主な副作用

  • 発疹、かゆみなどの皮膚症状
  • 胃の不快感、食欲不振、下痢などの消化器症状(大黄の作用で便が緩くなることがあります)

一部の製剤には「甘草(カンゾウ)」が含まれており、その長期・大量服用により、偽アルドステロン症という症状がまれに起こることがあります。主な症状は、むくみ、血圧の上昇、手足の脱力感・しびれ、筋肉痛などです。

頻度は極めてまれですが、肝機能障害、間質性肺炎も報告されています。初期症状(だるさ、黄疸、発熱、空咳、息切れなど)に注意が必要です。

副作用が出たときの対処法

何か異常を感じた場合は、服用を中止し、速やかに医師や薬剤師に相談してください。

柴胡加竜骨牡蛎湯の注意事項(禁忌)

使ってはいけない方

  • 過去にこの薬の成分でアレルギー症状を起こしたことがある方(禁忌)
  • 体力の著しく衰えている方(この薬は、ある程度体力がある方向けです)
  • 胃腸が非常に弱く、下痢をしやすい方
  • 妊婦または妊娠している可能性のある女性
  • 重い肝機能障害(黄芩で肝数値が変動する例あり)
  • 高カルシウム血症(牡蛎・竜骨にカルシウム含有)

併用に注意が必要な薬

  • 他の漢方薬(特に「甘草」や「大黄」を含むもの)→効果が重複
  • 他の下剤→「大黄」が含まれているため、作用が強く出すぎる可能性
  • バルビツール系・ベンゾジアゼピン→過度の鎮静リスク
  • 抗凝固薬ワルファリン→黄芩で血液凝固の変動報告あり
  • カルシウム製剤→高Ca血症リスク

使用上の注意

漢方薬は、症状だけでなく、その人の体質(「証」といいます)に合わせて選ばれます。

柴胡加竜骨牡蛎湯は、比較的体力があり、がっしりした体格の方(「実証」タイプ)に適しています。体力が著しく衰えている「虚証」の方が服用すると、かえって体調を崩す可能性があります。

1日3回きちんと続け、2週間経っても変化がなければ医師へ相談しましょう。

保管方法

  • 直射日光・高温多湿を避け、室温で保管してください。
  • 子どもの手の届かない場所へ。

飲み忘れたら?

気づいた時点で、できるだけ早く1回分を服用してください。

ただし、次に飲む時間が近い場合は、忘れた分はとばして、次の時間に1回分だけ飲みましょう。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。

ウチカラクリニックのオンライン診療でも、柴胡加竜骨牡蛎湯をはじめとした漢方の処方なども行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

柴胡加竜骨牡蛎湯に市販薬はある?値段は?

市販薬

ツムラ漢方柴胡加竜骨牡蛎湯エキス顆粒クラシエ薬品「クラシエ」漢方柴胡加竜骨牡蛎湯エキス顆粒などの名前で、多くのメーカーから市販されています。

ジェネリック

漢方薬には、西洋薬のような「ジェネリック医薬品」という概念は厳密にはありません。

しかし、ツムラ以外にも、クラシエなど、複数のメーカーが同じ「柴胡加竜骨牡蛎湯」という名称で医療用エキス製剤を製造しており、薬価もそれぞれ異なります。

薬価

時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。

  • ツムラ柴胡加竜骨牡蛎湯エキス顆粒(医療用):約37.3円/包(3割負担の場合:約11円)
  • クラシエ柴胡加竜骨牡蛎湯エキス細粒(医療用):約20.3円/包(3割負担の場合:約6円)

※2025年6月4日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。

添付文書

ツムラ柴胡加竜骨牡蛎湯エキス顆粒(医療用)

よくある質問(FAQ)

Q. 妊婦や授乳中でも使えますか?
「大黄」「牡丹皮」といった、妊娠中の使用には注意が必要な生薬が含まれています。自己判断での服用は絶対にやめて、必ず医師に相談してください。

Q. 子供でも使えますか?
主に成人に使われる漢方薬ですが、神経過敏で興奮しやすいお子様の夜泣きや夜驚症などに、医師が慎重に判断して処方することがあります。ただし、自己判断での使用は絶対に避けてください。

Q. いつから効きますか?
漢方薬は、体質をじっくりと改善していくお薬です。即効性は期待しにくいです。個人差はありますが、まずは2週間〜1ヶ月程度、毎日きちんと飲み続けることで、不安感や動悸、眠りの質などに少しずつ変化が現れます。不眠・焦燥は1〜2週間、イライラや動悸は2〜4週間で落ち着くことが多いです。

Q. 抑肝散との違いは何ですか?
どちらも神経の高ぶりを鎮めますが、ターゲットが少し違います。抑肝散は「イライラして怒りっぽい」という「肝の高ぶり」がメインです。一方、柴胡加竜骨牡蛎湯は、「不安感や動悸、胸のつかえ感」といった、よりパニックに近いような「気の混乱」状態に適しています。体力がある方向けなのも特徴です。

Q. 抗不安薬や睡眠薬とは違うのですか?
全く違います。 西洋薬が脳に直接作用して不安や不眠を強制的に抑えるのに対し、この薬は、不安や不眠の原因となっている体と心のバランスの乱れ(気の混乱)を全体的に整えることで、症状を和らげます。

まとめ

柴胡加竜骨牡蛎湯は、ストレスや精神的なショックなどによる、不安感、動悸、不眠といった、高ぶった神経症状を強力に鎮める漢方薬です。

「竜骨」「牡蛎」というユニークな生薬が、浮き足だった心をどっしりと落ち着かせてくれるのが大きな特徴です。 効果を実感するには、毎日コツコツと飲み続けることが大切です。市販の精神安定薬とは違う、漢方ならではのアプローチに興味のある方は、一度、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談してみてはいかがでしょうか。

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ウチカラクリニック代表医師

経歴

東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。