【漢方】柴胡桂枝湯のすごい効果・副作用を医師が解説

柴胡桂枝湯

「風邪の熱は下がったのに、微熱や寒気がダラダラ続いている…」 「頭痛や吐き気があって、食欲もわかない」 「お腹がシクシク痛む、いわゆる“お腹にくる風邪”みたい」

そんな、治りきらずに長引いてしまった「こじれた風邪」のような症状に、漢方薬の「柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)」が処方されることがあります。

今回は、この柴胡桂枝湯がどのようなお薬なのか、その効果の仕組みや副作用、そして正しい飲み方について、基本からやさしく解説していきます。

 

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柴胡桂枝湯とは?効果は?

柴胡桂枝湯は、「かぜの中期から後期」にかけての、体の外側と内側の両方でくすぶる症状を和らげるために用いられる漢方薬です。
「体の外に残る風邪の症状と、内側の胃腸の不調を、同時に整える漢方」で、特に、微熱や頭痛といった風邪の症状に加え、腹痛や吐き気など「お腹にくる風邪(感染性胃腸炎)」によく使われます。

医療用では、主に「ツムラ柴胡桂枝湯エキス顆粒(医療用)」のように、製薬会社名がついたエキス剤(粉薬)が処方されます。

柴胡桂枝湯の成分

柴胡桂枝湯は、以下の9種類の生薬(しょうやく)で構成されています。
有名な漢方薬である「小柴胡湯」「桂枝湯」を組み合わせたような構成になっています。

  • 柴胡(サイコ)、黄芩(オウゴン)、半夏(ハンゲ)、人参(ニンジン)、生姜(ショウキョウ)
     →炎症を鎮め、胃腸を整えるグループ(小柴胡湯の要素)。
  • 桂皮(ケイヒ)、芍薬(シャクヤク)
     →体のバランスを整え、痛みを和らげるグループ(桂枝湯の要素)。
  • 大棗(タイソウ)、甘草(カンゾウ)
     →全体を調和させるグループ。

漢方では、かぜの病状が体の表面(皮膚など)と、完全な内側(内臓など)の「中間領域(半表半裏)」でくすぶり、さらに胃腸にも影響が及んだ状態があると考えます。これが、微熱、寒気、頭痛、吐き気、腹痛といった複雑な症状の原因となります。

柴胡桂枝湯は、これらの生薬が協力して、まず体の深部の炎症を鎮め、吐き気を抑えます。同時に、体の表面に残る寒気や頭痛を発散させ、芍薬が腹痛を和らげます。さらに人参などが体力を補うことで、こじれて長引く不調を総合的に改善します。

柴胡桂枝湯の効果

  • 微熱、寒気、頭痛などの風邪症状を和らげる効果
  • 吐き気や食欲不振、腹痛などの胃腸症状を改善する効果

どんなときに使う?(適応疾患・部位)

  • 体力中等度又はやや虚弱で、多くは腹痛を伴い、ときに微熱・寒気・頭痛・吐き気などのあるものの次の諸症:
    • 胃腸炎、かぜの中期から後期の症状

柴胡桂枝湯はオンライン診療で出せる?

「風邪が治りきらずに不調が続いている」「急に症状が出たけど、病院に行く時間がない…」

そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。

柴胡桂枝湯のような漢方も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。

ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。

ウチカラクリニックでも、
柴胡桂枝湯に関するご相談や継続的な処方をオンライン診療にて承っております。

特に、症状が安定している場合の継続処方や、お薬への切り替え相談などに、オンライン診療は便利です。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。

柴胡桂枝湯の使い方(用法・用量)

1日2〜3回、1回1包を食前または食間(食事と食事の間)の空腹時に服用するのが基本です。

メーカーにより1包の量などが異なります。詳細は医師や薬剤師の指示に従ってください。

通常、そのまま水や白湯で服用しますが、お湯に溶かして、香りや温かさを感じながら飲むと、より効果的とされることもあります。

柴胡桂枝湯の副作用

漢方薬は作用が穏やかですが、副作用が全くないわけではありません。

主な副作用

主な副作用として、発疹、かゆみ、食欲不振、胃の不快感などが報告されています。

まれですが、注意すべき重大な副作用として、間質性肺炎、低K血症に伴うミオパチー、肝機能障害・黄疸や配合されている甘草(カンゾウ)による「偽アルドステロン症」があります。

副作用への対処法

  • 間質性肺炎の初期症状: 「息切れ」「息苦しさ」「空咳」「発熱」など。
  • 偽アルドステロン症の初期症状: 「手足のだるさ」「しびれ」「つっぱり感」「むくみ」「血圧の上昇」など。
  • このような症状が現れた場合は、すぐに服用を中止し、速やかに医療機関を受診してください。

柴胡桂枝湯の注意事項(禁忌)

注意が必要な方

  • 過去にこの薬の成分でアレルギー症状を起こしたことがある方(禁忌)
  • 著しく体力が衰えている方
  • 肝硬変、肝がんの方
  • 高血圧、心臓病、腎臓病のある方

併用に注意が必要な薬

  • 甘草(カンゾウ)や柴胡(サイコ)を含む他の漢方薬や医薬品

使用上の注意

漢方薬は、症状だけでなく、その人の体質(「証」といいます)に合わせて選ばれます。

柴胡桂枝湯は、体力が極端に落ちておらず、かといって有り余ってもいない「体力中等度」から「やや虚弱」な体質の方に適しています。

保管方法

  • 直射日光や湿気を避け、涼しい場所に保管してください。
  • 子どもの手の届かない場所へ。

飲み忘れたら?

気づいた時点で、できるだけ早く1回分を服用してください。

ただし、次に飲む時間が近い場合は、忘れた分はとばして、次の時間に1回分だけ飲みましょう。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。

ウチカラクリニックのオンライン診療でも、柴胡桂枝湯をはじめとした漢方の処方なども行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

柴胡桂枝湯に市販薬はある?値段は?

市販薬

柴胡桂枝湯は、ドラッグストアなどで購入できる市販薬も販売されています。代表的なものには以下のような製品があります。

  • 「クラシエ」漢方柴胡桂枝湯エキス顆粒 (クラシエ)
  • ツムラの漢方 柴胡桂枝湯エキス顆粒 (ツムラ)
  • コタロー 柴胡桂枝湯エキス細粒N (小太郎漢方製薬)

製品によって顆粒や錠剤といった剤形や、用法・用量が異なりますので、購入の際はパッケージをよく確認し、薬剤師や登録販売者に相談することをおすすめします。

ジェネリック

漢方薬には、西洋薬のような「ジェネリック医薬品」という概念は厳密にはありません。

しかし、ツムラ以外にも、クラシエなど、複数のメーカーが同じ「柴胡桂枝湯」という名称で医療用エキス製剤を製造しており、薬価もそれぞれ異なります。

薬価

時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。

  • ツムラ柴胡桂枝湯エキス顆粒(医療用):約60.5円/包(3割負担の場合:約18.2円)
  • クラシエ柴胡桂枝湯エキス細粒2.5g(医療用):約52.25円/包(3割負担の場合:約15.7円)

※2025年9月15日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。

添付文書

ツムラ柴胡桂枝湯エキス顆粒(医療用)

よくある質問(FAQ)

Q.妊婦・授乳中でも飲めますか?

自己判断での服用は避け、必ず医師や薬剤師に相談してください。妊娠中は体の状態が大きく変化するため、専門家による慎重な判断が必要です。

Q.子どもでも飲めますか?

市販薬は2歳以上から使用可能の表記が多いですが、医療用のものは安全性が未確定です。自己判断は避け、医師の指示に従いましょう。

Q.飲むと眠くなりますか?運転はできますか?

眠くなる成分は含まれていないため、運転や機械の操作に影響はありません。

Q.いつから効き始めますか?

精神安定剤のようにすぐに効果が出るお薬ではありません。心と体のバランスをじっくりと整えていくため、効果を実感するまでには2週間~1ヶ月程度かかることがあります。焦らず、継続して服用することが大切です。

Q.お酒(アルコール)との飲み合わせは?

直接的な悪い相互作用はありませんが、アルコールは神経を高ぶらせたり、睡眠の質を下げたりすることがあります。お薬が目指す「心を落ち着かせる」働きとは逆の作用なので、治療中の飲酒は控えるのが望ましいです。

Q.「柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」との違いは何ですか?

どちらも竜骨・牡蛎を含み、精神的な不安などに使われますが、対象となる体質と症状の中心が大きく異なります。

  • 桂枝加竜骨牡蛎湯:
    • 疲れやすく繊細な「虚証(きょしょう)」タイプ向け。
    • 心身が疲労し、ささいなことで不安になったり、動悸がしたりする、比較的症状が穏やかな状態に使われます。
  • 柴胡加竜骨牡蛎湯:
    • 体力があり、がっしりした「実証(じっしょう)」タイプ向け。
    • ストレスが強く、イライラして怒りっぽく、便秘がちで、みぞおちが張って苦しいなど、症状がはっきり激しく出ている状態に使われます。

名前は似ていますが、対象となる人物像は正反対とも言えるため、自己判断で選ぶのは非常に難しく、専門家による見極めが不可欠です。

 

まとめ

柴胡桂枝湯は、熱や痛みが治りきらず、さらに胃腸の不調まで現れてしまった、つらい「こじれた風邪」の状態を、心と体の両面からやさしく整えてくれる漢方薬です。

「かぜ薬を飲んでも、スッキリ治らない…」
「自分の症状に合った漢方薬を、専門家に相談したい」

そんなときは、我慢せずに専門家である医師に相談しましょう。

ウチカラクリニックのオンライン診療なら、お忙しい方でもご自宅から気軽に医師の診察を受けることができます。

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  • お忙しい方でも安心の年中無休で診療
  • 処方された薬は郵送、またはお近くの薬局で受け取り可能

通院の手間なく、ご自身の体質や症状に合った漢方薬についてじっくりと相談できます。長引く不調にお悩みの方は、ぜひお気軽にウチカラクリニックにご相談ください。

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ウチカラクリニック代表医師

経歴

東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。