【漢方】柴苓湯の効果・副作用を医師が解説！痩せるの？

「吐き気と下痢がひどい…お腹の風邪（胃腸炎）かもしれない」「風邪をこじらせて、微熱とむくみが続いている」「めまいや、口の渇きも気になる」

そんな、「炎症」と「水分の乱れ」が同時に起きているような、つらい症状に、漢方薬の「柴苓湯（さいれいとう）」が処方されることがあります。

今回は、この柴苓湯がどのようなお薬なのか、その効果の仕組みや副作用、そして正しい飲み方について、そして正しい飲み方について、医師がやさしく解説していきます。

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柴苓湯とは？効果は？

柴苓湯は、体の炎症を鎮める働きと、水分のバランスを整える働きを併せ持つ漢方薬です。

有名な漢方薬である「小柴胡湯（しょうさいことう）」と「五苓散（ごれいさん）」という2つの処方を合体させた、非常に優れたお薬です。

【詳しい解説はこちら！】
→【漢方】小柴胡湯の効果・副作用を医師が解説！
→【漢方】五苓散の効果・副作用を医師が解説【二日酔いや天気痛に】

医療用では、主に「ツムラ柴苓湯エキス顆粒（医療用）」のように、製薬会社名がついたエキス剤（粉薬）が処方されます。

柴苓湯の成分

柴苓湯は、以下の12種類の生薬（しょうやく）で構成されています。

柴胡（サイコ）、半夏（ハンゲ）、黄芩（オウゴン）、人参（ニンジン）、大棗（タイソウ）、甘草（カンゾウ）、生姜（ショウキョウ）
　→長引く風邪などでくすぶる炎症を鎮め、吐き気や食欲不振を改善。「小柴胡湯」チーム。
沢瀉（タクシャ）、蒼朮（ソウジュツ）、猪苓（チョレイ）、茯苓（ブクリョウ）、桂皮（ケイヒ）
　→体内の余分な水分を尿として排出し、吐き気、下痢、むくみといった「水の偏り」を是正します。「五苓散」チーム。

漢方では、胃腸炎や腎炎といった病気は、体内で「炎症」が起き、同時に「水」の巡りが悪くなることで起こると考えます。

柴苓湯は、これら2つの専門チームが協力し、「炎症を鎮める働き」と「水分の巡りを良くする働き」を同時に行うことで、吐き気・下痢・むくみといった複雑な症状を効果的に改善していきます。

柴苓湯の効果

吐き気、嘔吐、下痢を改善する効果
むくみ（浮腫）を取り、尿の出を良くする効果
抗炎症作用

どんなときに使う？（適応疾患・部位）

吐き気、食欲不振、のどのかわき、排尿が少ないなどの次の諸症：
- 水瀉性下痢、急性胃腸炎、暑気あたり、むくみ
- （応用として）ネフローゼ、腎炎、肝硬変の腹水など

柴苓湯は痩せるの？

柴苓湯はダイエット薬ではありません。

しかし、このお薬には「五苓散」の働きによる強い利水作用（余分な水分を排出する力）があります。そのため、服用すると体のむくみが取れ、水分の重さの分だけ体重が落ちることがあります。

これは脂肪が燃焼したわけではないため、「痩せる」という表現は正しくありません。

柴苓湯はオンライン診療で出せる？

「急な吐き気と下痢で、病院に行くのがつらい」「急に症状が出たけど、病院に行く時間がない…」

そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。

柴苓湯のような漢方も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。

ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。

ウチカラクリニックでも、
柴苓湯に関するご相談や継続的な処方をオンライン診療にて承っております。

特に、症状が安定している場合の継続処方や、お薬への切り替え相談などに、オンライン診療は便利です。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。

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柴苓湯の使い方（用法・用量）

1日2〜3回、1回1包を食前または食間（食事と食事の間）の空腹時に服用するのが基本です。

水または白湯（さゆ）で服用してください。

メーカーにより1包の量などが異なります。詳細は医師や薬剤師の指示に従ってください。

柴苓湯の副作用

漢方薬は作用が穏やかですが、副作用が全くないわけではありません。

主な副作用

主な副作用として、発疹、かゆみ、食欲不振、胃の不快感、下痢などが報告されています。

まれですが、注意すべき重大な副作用として、間質性肺炎と甘草（カンゾウ）による「偽アルドステロン症」やミオパチー、肝機能障害/黄疸があります。

副作用への対処法

「息切れ」「息苦しさ」「空咳」「発熱」は間質性肺炎、「手足のだるさ」「しびれ」「つっぱり感」「むくみ」「血圧の上昇」などは、偽アルドステロン症の初期症状かもしれません。

このような症状が現れた場合は、すぐに服用を中止し、速やかに医療機関を受診してください。

柴苓湯の注意事項（禁忌）

注意が必要な方

過去にこの薬の成分でアレルギー症状を起こしたことがある方
著しく体力が衰えている方
高血圧、心臓病、腎臓病のある方

併用に注意が必要な薬

甘草（カンゾウ）やグリチルリチン酸を含む他の漢方薬や医薬品

使用上の注意

漢方薬は、症状だけでなく、その人の体質（「証」といいます）に合わせて選ばれます。
柴苓湯は、体力が普通くらい（中等度）の方で、炎症症状と水分の乱れが同時に見られる方に適しています。

保管方法

直射日光や湿気を避け、涼しい場所に保管してください。
子どもの手の届かない場所へ。

飲み忘れたら？

気づいた時点で、できるだけ早く1回分を服用してください。

ただし、次に飲む時間が近い場合は、忘れた分はとばして、次の時間に1回分だけ飲みましょう。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。

ウチカラクリニックのオンライン診療でも、柴苓湯をはじめとした漢方の処方なども行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

柴苓湯に市販薬はある？値段は？

市販薬

クラシエなどから、具体的な製品名で販売されています。

製品によって顆粒や錠剤といった剤形や、用法・用量が異なりますので、購入の際はパッケージをよく確認し、薬剤師や登録販売者に相談することをおすすめします。

ジェネリック

漢方薬には、西洋薬のような「ジェネリック医薬品」という概念は厳密にはありません。

ツムラ以外にも複数のメーカーから同じ処方の医療用医薬品が販売されています。

薬価

時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。

ツムラ柴苓湯エキス顆粒2.5 g（医療用）：約135.0円/包（3割負担の場合：約41円）
クラシエ柴苓湯エキス細粒4.05 g：約189.54円/包（3割負担の場合：約57円）

※2025年10月4日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。

添付文書

ツムラ柴苓湯エキス顆粒（医療用）

よくある質問（FAQ）

Q.妊婦・授乳中でも飲めますか？

自己判断での服用は避け、必ず医師や薬剤師に相談してください。妊娠中は体の状態が大きく変化するため、専門家による慎重な判断が必要です。

Q.子どもでも飲めますか？

はい、お子さんの胃腸炎や、むくみを伴う症状などに処方されることがあります。その場合、年齢や体重に合わせて服用量が調整されます。

Q.飲むと眠くなりますか？運転はできますか？

眠くなる成分は含まれていないため、運転や機械の操作に影響はありません。

Q.お酒（アルコール）との飲み合わせは？

治療中の飲酒は絶対に避けてください。アルコールは胃腸の粘膜を刺激し、脱水も招きます。お薬が目指す「炎症を鎮め、水の巡りを整える」働きとは全く逆の作用であり、症状を悪化させる原因になります。

Q.いつから効き始めますか？

胃腸炎などの急な症状に対しては、比較的速やかに効果が期待できます。体質に合っていれば、1～3日の服用で、吐き気や下痢が和らいでくることが多いです。

Q.「五苓散」との違いは何ですか？

どちらも水の巡りを整えますが、得意な症状が違います。

五苓散: 「水」の乱れの専門家。二日酔いや乗り物酔い、単純な吐き気・下痢・むくみなど。
柴苓湯: 「水」の乱れに加えて、「炎症」も伴う場合に。胃腸炎やネフローゼなど、炎症とむくみが同時にある状態に適しています。

【詳しい解説はこちら！】
→【漢方】五苓散の効果・副作用を医師が解説【二日酔いや天気痛に】

まとめ

柴苓湯は、「小柴胡湯」と「五苓散」という２つの名処方を組み合わせることで、つらい吐き気・下痢・むくみといった症状に、力強く、そして多角的にアプローチする漢方薬です。

「急な胃腸炎で、何も食べられない…」
「むくみがひどくて、体が重だるい」

そんなときは、我慢せずに専門家である医師に相談しましょう。

ウチカラクリニックのオンライン診療なら、お忙しい方でもご自宅から気軽に医師の診察を受けることができます。

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