
「肌がカサカサに乾燥して、とにかくかゆい…」 「夜、体が温まると、かゆみで眠れなくなる」 「保湿クリームを塗っても、内側からの乾燥感とかゆみが治まらない」
そんな、つらい乾燥とかゆみの悪循環に、漢方薬の「当帰飲子(とうきいんし)」が処方されることがあります。
今回は、この当帰飲子がどのようなお薬なのか、その効果の仕組みや副作用、そしてどのような人に合うのかについて、医師がやさしく解説していきます。
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当帰飲子とは?効果は?
当帰飲子は、体に「血(けつ)」、つまり栄養と潤いを補うことで、皮膚の乾燥を改善し、かゆみを鎮めるために用いられる漢方薬です。
体の内側から乾燥肌とかゆみを治すので特に、高齢の方や、もともと肌が乾燥しやすい方の、慢性的な湿疹や皮膚のかゆみに使われます。
医療用では、主に「ツムラ当帰飲子エキス顆粒(医療用)」のように、製薬会社名がついたエキス剤(粉薬)が処方されます。
当帰飲子の成分
当帰飲子は、以下の10種類の生薬(しょうやく)で構成されています。
- 当帰(トウキ)、芍薬(シャクヤク)、川芎(センキュウ)、地黄(ジオウ)
→栄養と潤い(血)を補い、巡りを良くするグループ - 防風(ボウフウ)、荊芥(ケイガイ)、蒺藜子(シツリシ)
→かゆみの原因となる「風」を取り除くグループ - 黄耆(オウギ)、何首烏(カシュウ)、甘草(カンゾウ)
→体をサポートし、全体を調和させるグループ
漢方では、体の栄養や潤いである「血(けつ)」が不足する(血虚)と、皮膚が栄養失調になり、カサカサに乾燥すると考えます。そして、この乾燥した大地に“風”が吹くように、かゆみ(風燥)が発生します。
当帰飲子は、これらの生薬により、乾燥とかゆみの両方に内側からアプローチし、しつこい皮膚トラブルを改善していきます。
当帰飲子の効果
- 皮膚に栄養と潤いを与え、乾燥を改善する効果
- かゆみを鎮める効果
- 血行を促進する効果
どんなときに使う?(適応疾患・部位)
- 分泌物の少ない慢性湿疹、皮膚掻痒症(ひふそうようしょう)
- 冷え症で、皮膚が乾燥し、色つやの悪い体質で、痒みが強い場合に用いられます
当帰飲子はオンライン診療で出せる?
「長引く皮膚のかゆみの原因を知りたい」「急に症状が出たけど、病院に行く時間がない…」
そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。
当帰飲子のような漢方も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。
ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。
ウチカラクリニックでも、
当帰飲子に関するご相談や継続的な処方をオンライン診療にて承っております。
特に、症状が安定している場合の継続処方や、お薬への切り替え相談などに、オンライン診療は便利です。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。
当帰飲子の使い方(用法・用量)
1日2〜3回、1回1包を食前または食間(食事と食事の間)の空腹時に服用するのが基本です。
水または白湯(さゆ)で服用してください。
メーカーにより1包の量などが異なります。詳細は医師や薬剤師の指示に従ってください。

当帰飲子の副作用
漢方薬は作用が穏やかですが、副作用が全くないわけではありません。
主な副作用
主な副作用として、発疹、かゆみ、食欲不振、胃の不快感、下痢などが報告されています。
まれですが、注意すべき重大な副作用として、配合されている甘草(カンゾウ)による「偽アルドステロン症」やミオパチーがあります。
副作用への対処法
配合されている地黄(ジオウ)の影響で、もともと胃腸が弱い方は胃もたれなどを感じることがあります。
「手足のだるさ」「しびれ」「つっぱり感」「むくみ」「血圧の上昇」などは、偽アルドステロン症の初期症状かもしれません。
このような症状が現れた場合は、すぐに服用を中止し、速やかに医療機関を受診してください。
当帰飲子の注意事項(禁忌)
注意が必要な方
- 過去にこの薬の成分でアレルギー症状を起こしたことがある方
- 胃腸が非常に弱い方
- 食欲不振、吐き気・嘔吐のある方
- 高血圧、心臓病、腎臓病のある方
併用に注意が必要な薬
- 甘草(カンゾウ)を含む他の漢方薬や医薬品
使用上の注意
漢方薬は、症状だけでなく、その人の体質(「証」といいます)に合わせて選ばれます。
当帰飲子は、体力がなく(虚証)、皮膚がカサカサして潤いが足りない(血虚)タイプの方で、特に乾燥によるかゆみが強い方に適しています。
保管方法
- 直射日光や湿気を避け、涼しい場所に保管してください。
- 子どもの手の届かない場所へ。
飲み忘れたら?
気づいた時点で、できるだけ早く1回分を服用してください。
ただし、次に飲む時間が近い場合は、忘れた分はとばして、次の時間に1回分だけ飲みましょう。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。
ウチカラクリニックのオンライン診療でも、当帰飲子をはじめとした漢方の処方なども行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

当帰飲子に市販薬はある?値段は?
市販薬
クラシエなどから、具体的な製品名で販売されています。
製品によって顆粒や錠剤といった剤形や、用法・用量が異なりますので、購入の際はパッケージをよく確認し、薬剤師や登録販売者に相談することをおすすめします。
ジェネリック
漢方薬には、西洋薬のような「ジェネリック医薬品」という概念は厳密にはありません。
薬価
時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。
- ツムラ当帰飲子エキス顆粒2.5 g(医療用):約52.5円/包(3割負担の場合:約16円)
※2025年10月2日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。
添付文書
よくある質問(FAQ)
Q.妊婦・授乳中でも飲めますか?
自己判断での服用は避け、必ず医師や薬剤師に相談してください。妊娠中は体の状態が大きく変化するため、専門家による慎重な判断が必要です。
Q.子どもでも飲めますか?
はい、お子さんの乾燥性の湿疹やかゆみに処方されることがあります。その場合、年齢や体重に合わせて服用量が調整されます。
Q.飲むと眠くなりますか?運転はできますか?
眠くなる成分は含まれていないため、運転や機械の操作に影響はありません。
Q.お酒(アルコール)との飲み合わせは?
治療中の飲酒は控えるのが望ましいです。アルコールは体内に「熱」を生み、かゆみを悪化させたり、利尿作用によって体の潤いを奪ったりすることがあります。お薬が目指す働きと逆の作用になる可能性があるため、注意が必要です。
Q.いつから効き始めますか?
体質をじっくりと整えていく漢方薬なので、即効性はありません。肌の乾燥や栄養状態を内側から改善していくため、効果を実感するまでには早くても2週間~1ヶ月程度はかかります。焦らず、継続して服用することが大切です。
Q.ジュクジュクした湿疹にも効きますか?
いいえ、当帰飲子は「乾燥」した湿疹やかゆみの専門家です。ジュクジュクして浸出液が出るような「湿潤」タイプの湿疹には、別の漢方薬(例:消風散など)が使われます。
まとめ
当帰飲子は、体の内側から栄養と潤いを補給することで、つらい乾燥肌としつこいかゆみを根本から改善に導く漢方薬です。保湿クリームなどの外からのケアと併用することで、さらに高い効果が期待できます。
「この乾燥とかゆみ、自分の体質に合っているのかな?」
「長引く皮膚の悩みを、漢方でじっくり治したい」
そんなときは、我慢せずに専門家である医師に相談しましょう。
ウチカラクリニックのオンライン診療なら、お忙しい方でもご自宅から気軽に医師の診察を受けることができます。
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通院の手間なく、ご自身の体質や症状に合った漢方薬についてじっくりと相談できます。長引く不調にお悩みの方は、ぜひお気軽にウチカラクリニックにご相談ください。
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