
「手足や腰がいつも冷えている」 「生理不順や、つらい生理痛に悩んでいる」 「唇がいつもカサカサに乾いている」 「更年期に入って、体の不調が増えた」
そんな、「冷え」と「乾燥」が原因で起こる、女性特有の様々な不調に、漢方薬の「温経湯(うんけいとう)」が処方されることがあります。
今回は、「経(血の巡り)を温める」という名前を持つこの温経湯が、どのようなお薬なのか、その効果の仕組みや副作用、そして正しい飲み方について、医師がやさしく解説していきます。
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温経湯とは?効果は?
温経湯は、体を内側から温め、不足した「血(けつ)」、つまり栄養と潤いを補うことで、ホルモンバランスを整え、血行を促進する漢方薬です。
“冷えて栄養不足”な女性のための、温活漢方です。生理不順や生理痛、更年期障害、そして不妊治療のサポートなど、婦人科領域で非常に広く使われる代表的な処方の一つです。
医療用では、主に「ツムラ温経湯エキス顆粒(医療用)」のように、製薬会社名がついたエキス剤(粉薬)が処方されます。
温経湯の成分
温経湯は、以下の12種類の生薬(しょうやく)で構成されています。
- 桂皮(ケイヒ)、生姜(ショウキョウ)、呉茱萸(ゴシュユ)
→体を温め、巡りを良くするグループ - 当帰(トウキ)、川芎(センキュウ)、芍薬(シャクヤク)、麦門冬(バクモンドウ)、人参(ニンジン)、阿膠(アキョウ)
→栄養と潤い(血)を補うグループ - 牡丹皮(ボタンピ)
→血の滞りを解消するグループ - 甘草(カンゾウ)、半夏(ハンゲ)
→全体の働きを調和させるグループ
漢方では、体が冷えて血行が悪くなり、さらに栄養や潤い(血)が不足すると、子宮や卵巣の働きが低下し、生理不順や生理痛、不妊などの原因になると考えます。また、唇や皮膚がカサカサに乾燥するのも、この「血」の不足が原因です。
温経湯は、これらの生薬が血行をスムーズにすることで、ホルモンバランスを整え、女性特有の様々な不調を根本から改善していきます。
温経湯の効果
- 体を温め、手足や腰の冷えを改善する効果
- 血行を促進し、ホルモンバランスを整える効果
- 生理不順や生理痛、不正出血などを改善する効果
どんなときに使う?(適応疾患・部位)
- 体力中等度以下で、手足がほてり、唇が乾くものの次の諸症:
- 月経不順、月経困難、こしけ(おりもの)、更年期障害、不眠、神経症、足腰の冷え、しもやけ、手あれ
温経湯はオンライン診療で出せる?
「生理不順や更年期障害、妊活の相談をしたい」「急に症状が出たけど、病院に行く時間がない…」
そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。
温経湯のような漢方も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。
ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。
ウチカラクリニックでも、
温経湯に関するご相談や継続的な処方をオンライン診療にて承っております。
特に、症状が安定している場合の継続処方や、お薬への切り替え相談などに、オンライン診療は便利です。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。
温経湯の使い方(用法・用量)
1日2〜3回、1回1包を食前または食間(食事と食事の間)の空腹時に服用するのが基本です。
水または白湯(さゆ)で服用してください。
メーカーにより1包の量などが異なります。詳細は医師や薬剤師の指示に従ってください。

温経湯の副作用
漢方薬は作用が穏やかですが、副作用が全くないわけではありません。
主な副作用
主な副作用として、発疹、かゆみ、食欲不振、胃の不快感、吐き気、下痢などが報告されています。
まれですが、注意すべき重大な副作用として、甘草(カンゾウ)による「偽アルドステロン症」やミオパチーがあります。
副作用への対処法
「手足のだるさ」「しびれ」「つっぱり感」「むくみ」「血圧の上昇」などは、偽アルドステロン症の初期症状かもしれません。
このような症状が現れた場合は、すぐに服用を中止し、速やかに医療機関を受診してください。
温経湯の注意事項(禁忌)
注意が必要な方
- 過去にこの薬の成分でアレルギー症状を起こしたことがある方
- 胃腸が非常に弱い方
- 食欲不振、吐き気・嘔吐のある方
- 高血圧、心臓病、腎臓病のある方
併用に注意が必要な薬
- 甘草(カンゾウ)を含む他の漢方薬や医薬品
使用上の注意
漢方薬は、症状だけでなく、その人の体質(「証」といいます)に合わせて選ばれます。
温経湯は、体力がなく(虚証)、手足や腰が冷え、かつ唇や皮膚が乾燥しているようなタイプの方に適しています。
保管方法
- 直射日光や湿気を避け、涼しい場所に保管してください。
- 子どもの手の届かない場所へ。
飲み忘れたら?
気づいた時点で、できるだけ早く1回分を服用してください。
ただし、次に飲む時間が近い場合は、忘れた分はとばして、次の時間に1回分だけ飲みましょう。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。
ウチカラクリニックのオンライン診療でも、温経湯をはじめとした漢方の処方なども行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

温経湯に市販薬はある?値段は?
市販薬
クラシエやJPS製薬などから、具体的な製品名で販売されています。
- 「クラシエ」漢方温経湯エキス錠 (クラシエ)
- JPS漢方顆粒- 40号(温経湯) (ジェーピーエス製薬)
製品によって顆粒や錠剤といった剤形や、用法・用量が異なりますので、購入の際はパッケージをよく確認し、薬剤師や登録販売者に相談することをおすすめします。
ジェネリック
漢方薬には、西洋薬のような「ジェネリック医薬品」という概念は厳密にはありません。
ツムラ以外にも複数のメーカーから同じ処方の医療用医薬品が販売されています。
薬価
時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。
- ツムラ温経湯エキス顆粒2.5 g(医療用):約93.0円/包(3割負担の場合:約28円)
- コタロー 温経湯エキス細粒4.0g:約71.6円/包(3割負担の場合:約21円)
※2025年10月4日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。
添付文書
よくある質問(FAQ)
Q.妊婦・授乳中でも飲めますか?
配合されている牡丹皮(ボタンピ)などが、子宮の収縮に影響を与える可能性もゼロではないため、自己判断での服用は絶対に避けてください。必ず医師に相談が必要です。
Q.子どもでも飲めますか?
基本的には成人の、特に女性の不調に使われることが多く、お子さんに使われることはまれです。
Q.飲むと眠くなりますか?運転はできますか?
眠くなる成分は含まれていないため、運転や機械の操作に影響はありません。
Q.お酒(アルコール)との飲み合わせは?
直接的な悪い相互作用はありませんが、ビールなど冷たいアルコールは体を冷やしてしまいます。温経湯は体を温める漢方なので、その働きと逆の作用になり、効果を妨げてしまう可能性があります。治療中は控えるか、温かいお酒を少量にするのが望ましいです。
Q.いつから効き始めますか?
体質をじっくりと整えていく漢方薬なので、即効性はありません。生理周期の乱れや冷えの改善などを実感するまでには、1ヶ月以上、多くの場合2~3ヶ月(生理2~3周期)は継続して服用することが一般的です。
Q.妊活にも良いと聞きましたが、本当ですか?
はい、不妊治療の現場で非常によく使われる漢方薬の一つです。漢方では、子宮が冷えて血行が悪い状態を「畑が凍っている」状態に例えます。温経湯は、その畑を温めて栄養を与えることで、妊娠しやすい体内環境を整える手助けをします。
まとめ
温経湯は、体を芯から温め、栄養と潤いを補うことで、つらい生理トラブルや更年期の不調、妊活のサポートまで、女性の人生の様々なステージに寄り添ってくれる漢方薬です。
「長年の生理不順や冷えを、体質から見直したい」
「自分に合った漢方薬を、専門家に相談したい」
そんなときは、我慢せずに専門家である医師に相談しましょう。
ウチカラクリニックのオンライン診療なら、お忙しい方でもご自宅から気軽に医師の診察を受けることができます。
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- 処方された薬は郵送、またはお近くの薬局で受け取り可能
通院の手間なく、ご自身の体質や症状に合った漢方薬についてじっくりと相談できます。長引く不調にお悩みの方は、ぜひお気軽にウチカラクリニックにご相談ください。
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