
「理由もなくイライラしてしまう」「ストレスで眠りが浅い、歯ぎしりをしてしまう」 「子どもの夜泣きやキーキー声(かんしゃく)がひどくて…」
そんな、高ぶった神経が原因の様々な不調に、子どもからお年寄りまで幅広く使われているのが、漢方薬の「抑肝散(ヨクカンサン)」です。
この記事では、そんな抑肝散について、漢方ならではの効果の仕組みや副作用、そして正しい飲み方を、医師が分かりやすく解説していきます。
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抑肝散とは?効果は?
抑肝散は、高ぶった神経を鎮め、心と体のバランスを整えることで、イライラ、不眠、怒りっぽさといった精神症状や、それに伴う筋肉の緊張などを改善する漢方薬です。
もともとは子どもの「ひきつけ」の薬として作られましたが、現在では幅広い年代の神経症状に応用されています。
医療用では、主に「ツムラ抑肝散エキス顆粒(医療用)」のように、製薬会社名がついたエキス剤(粉薬)が処方されます。
胃腸への負担を軽減するために「陳皮」「半夏」を加えた「抑肝散加陳皮半夏」という漢方もあります。
抑肝散の成分
抑肝散は、以下の7種類の生薬(しょうやく)で構成されています。
- 釣藤鈎(チョウトウコウ)、柴胡(サイコ)
→高ぶった神経(漢方でいう「肝」)を鎮める中心的な生薬。 - 当帰(トウキ)、川芎(センキュウ)
→血(けつ)を補い、その巡りを良くして、筋肉のけいれんなどを和らげる。 - 白朮(ビャクジュツ)、茯苓(ブクリョウ)
→胃腸の働きを助け、精神を安定させる。 - 甘草(カンゾウ)
→全体の働きを調和させる。
漢方では、ストレスや加齢で「肝」が高ぶり、神経が過敏になると、イライラや不眠、筋肉のこわばりが起こると考えます。抑肝散は、文字通り「肝」の興奮を「抑」えることで、これらの症状を和らげます。
抑肝散の効果
神経の高ぶりを鎮め、心身の緊張をほぐします。
- イライラ、怒りっぽいなどの神経症状
- 不眠症、歯ぎしり
- 小児の夜泣き、かんしゃく(疳の虫)
- 更年期障害、月経前症候群(PMS)に伴う精神不安
- 認知症に伴う行動・心理症状(BPSD:易怒、興奮、徘徊など)
どんなときに使う?(適応疾患・部位)
- 体力中等度をめやすとして、神経がたかぶり、怒りやすい、イライラなどがあるものの次の諸症状
- 神経症、不眠症、小児夜泣き、小児疳症(かんしょう)、歯ぎしり、更年期障害、血の道症
抑肝散はオンライン診療で出せる?
「イライラが酷い、寝つきの悪さまで出てきた…」「急に症状が出たけど、病院に行く時間がない…」
そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。
抑肝散のような漢方も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。
ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。
ウチカラクリニックでも、
抑肝散に関するご相談や継続的な処方をオンライン診療にて承っております。
特に、症状が安定している場合の継続処方や、お薬への切り替え相談などに、オンライン診療は便利です。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。
抑肝散の使い方(用法・用量)
1日2〜3回、1回1包(2.5g)を食前または食間(食事と食事の間)の空腹時に服用するのが基本です。年齢や体重、症状により調整されるので、必ず医師の指示通りに使用してください。
通常、そのまま水や白湯で服用しますが、お湯に溶かして、香りや温かさを感じながら飲むと、より効果的とされることもあります。
抑肝散の副作用
漢方薬は作用が穏やかですが、副作用が全くないわけではありません。
主な副作用
- 発疹、かゆみなどの皮膚症状
- 胃の不快感、食欲不振、吐き気などの消化器症状
構成生薬の「甘草(カンゾウ)」の長期・大量服用により、偽アルドステロン症がまれに起こることがあります。主な症状は、むくみ、血圧の上昇、手足の脱力感・しびれ、筋肉痛などです。
頻度は極めてまれですが、肝機能障害、間質性肺炎も報告されています。初期症状(だるさ、黄疸、発熱、空咳、息切れなど)に注意が必要です。
副作用が出たときの対処法
何か異常を感じた場合は、服用を中止し、速やかに医師や薬剤師に相談してください。
抑肝散の注意事項(禁忌)
使ってはいけない方
- 過去にこの薬の成分でアレルギー症状を起こしたことがある方(禁忌)
- ご高齢の方
- 胃腸の弱い方(食欲不振や胃部不快感が現れることがある)
- 高血圧、心臓病、腎臓病で“むくみやすい”体質
併用に注意が必要な薬
- 他の漢方薬(特に「甘草」を含むもの)を服用中の方
- ループ利尿薬→低カリウム血症リスク
- ステロイド薬・グリチルリチン含有薬→偽アルドステロン症リスク↑
使用上の注意
漢方薬は、症状だけでなく、その人の体質(「証」といいます)に合わせて選ばれます。
抑肝散は、比較的デリケートで神経質なタイプの方に適しています。
1日3回きちんと続け、2週間経っても変化がなければ医師へ相談しましょう。
保管方法
- 直射日光・高温多湿を避け、室温で保管してください。
- 子どもの手の届かない場所へ。
飲み忘れたら?
気づいた時点で、できるだけ早く1回分を服用してください。
ただし、次に飲む時間が近い場合は、忘れた分はとばして、次の時間に1回分だけ飲みましょう。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。
ウチカラクリニックのオンライン診療でも、抑肝散をはじめとした漢方の処方なども行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

抑肝散に市販薬はある?値段は?
市販薬
「ツムラ漢方抑肝散エキス顆粒」や「クラシエ薬品「クラシエ」漢方抑肝散エキス顆粒」などの名前で、多くのメーカーから市販されています。
ジェネリック
漢方薬には、西洋薬のような「ジェネリック医薬品」という概念は厳密にはありません。
しかし、ツムラ以外にも、クラシエなど、複数のメーカーが同じ「抑肝散」という名称で医療用エキス製剤を製造しており、薬価もそれぞれ異なります。
薬価
時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。
- ツムラ抑肝散エキス顆粒(医療用):約32.1円/包(3割負担の場合:約10円)
- クラシエ抑肝散エキス細粒(医療用):約17.7円/包(3割負担の場合:約5円)
※2025年6月4日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。
添付文書
よくある質問(FAQ)
Q. 妊婦や授乳中でも使えますか?
比較的安全に使えるとされていますが、漢方薬も薬です。自己判断で使用せず、必ず医師に相談してください。特に、妊娠中は体質が変化しやすいため、慎重な判断が必要です。
Q. 子供でも使えますか?
抑肝散は「小児の夜泣き・かんしゃく」に非常に良く使われる代表的な漢方薬です。ただし、お子様の場合は、体重や年齢に応じて服用量を細かく調整する必要がありますので、必ず医師の指示に従ってください。
Q. いつから効きますか?
漢方薬は、体質をじっくりと改善していくお薬です。即効性は期待できません。個人差はありますが、まずは2週間〜1ヶ月程度、毎日きちんと飲み続けることで、イライラや不眠などの症状が少しずつ和らいでくるのを感じられることが多いです。
Q. 睡眠薬とは違うのですか?
全く違います。 睡眠薬が脳に直接作用して強制的に眠気を引き起こすのに対し、抑肝散は、眠りを妨げている神経の高ぶりや不安を鎮めることで、自然な眠りに入りやすくするお薬です。
Q. 認知症の周辺症状(BPSD)に本当に効くのですか?
はい、近年、認知症に伴う興奮、攻撃性、徘徊といった症状(BPSD)を穏やかにする効果が注目され、老年内科や精神科で広く使われています。攻撃的な言動が減り、介護がしやすくなったという報告も多くあります。
まとめ
抑肝散は、高ぶった神経を鎮め、心身のバランスを整えることで、イライラや不眠、怒りっぽさといった幅広い精神神経症状に対応する漢方薬です。
子どもの夜泣きからご高齢の方の認知症周辺症状まで、様々な年代で使われるのが大きな特徴です。 効果を実感するには、毎日コツコツと飲み続けることが大切です。原因のわからないイライラや不眠にお悩みの方は、一度、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談してみてはいかがでしょうか。
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