肝硬変・肝臓がんの危険な症状とは?原因や治療法は?【医師解説】

がん肝臓
肝硬変・肝臓がんの危険な症状とは?原因や治療法は?【医師解説】
監修者
森 勇磨

こんにちは。ウチカラクリニック健康メディア「予防医学大辞典」です。

今回は「肝臓病」について、肝硬変、肝臓がんで出現する症状や、原因・治療法などについて医師の視点から徹底解説していきます。

肝臓が「沈黙の臓器」と呼ばれるくらい症状が出にくい臓器なのは有名な話ですが、ずっと沈黙している訳ではありません。

時にあなたにSOSのサインを発信する場合があります。

そしてそのサインは、まさか肝臓の病気が原因とは思いもよらぬようなものが多いんです。

特に肝臓がんは早期発見できるかどうかでできる治療法も変わってくる場合があります。

この記事で肝臓の機能が落ちた時のサインを覚えておいて、あなたや家族がもしもの時すぐ、対応できるようになっておきましょう。

肝臓に関する病気は誰にとっても他人事ではありません。だんだん進行していく場合もあるので、最終的にどのような症状が起こりうるのか、是非勉強しておいて下さい。

そして最後に中高年に絶対に知っておいて欲しい肝臓病の予防法についても紹介していきますので、そちらも併せてご覧ください。

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それでは早速解説に参りましょう。

肝硬変・肝臓がんとは?

まず、そもそも肝硬変・肝臓がんの状態とはどのようなものなのでしょうか?

肝臓の状態が悪くなるのにはいくつか段階があるのですが、代表的なのが「肝硬変」という状態です。

いかにも悪そうな名前ですね。

この状態は、肝臓に様々な原因で炎症が起き、細胞が破壊されてしまいだんだんカチカチになってしまった状態の事なんです。まるでかさぶたや焼け野原のような状態をイメージしてもらえば良いと思います。

例えばひどい脂肪肝を放置しておくと炎症を引き起こしてしまい、この肝硬変の状態になってしまう場合もありますね。

この肝硬変の進行した状態になると、本来仕事をしてくれる肝臓の細胞の多くが、仕事ができないかさぶたのようなものに置き換わってしまっている訳ですから、肝臓の機能がはっきりと落ちます。

そして肝臓の機能が落ちると様々な症状が出現する場合があります。

また、この肝硬変から肝臓がんに進行する場合もありますので、脂肪肝→肝硬変→肝臓がん、この連鎖はできるだけ早く断ち切っておく事が理想なんです。

検査は採血で肝臓に関連した酵素が上がったり(AST、ALT)、超音波の検査やお腹のCT検査で肝臓自体を確認する事で見つかるきっかけになる事がなります。見るからに肝臓の形がぼこぼこしてしまっている事もありますね。

肝臓がんの治療法は?

それでは、肝臓がんの治療法はどのようなものがあるのでしょうか?

肝臓がんの治療は、個人個人の状態、またがんの大きさや個数にもよるのですが、部分的な切除を行ったり、特殊な針を体の外から腫瘍の部分にさして、腫瘍を熱凝固で壊死させたり、肝臓に繋がる動脈から抗がん剤を流し込むなど、様々な方法があります。

症状が出現している場合はこういった肝臓がんの状態まで移行してしまっている事も考えられますし、進行レベルによってできる治療も変わってきますので、怪しい症状がある場合は早めに病院に行った方が良いでしょう。

では、その症状とはどういったものがあるのでしょうか?

肝臓病の具体的な症状について引き続き解説してきます。

肝硬変・肝臓がんの症状とは?

では肝臓からの危険なサインについて紹介していきたいと思います。

まず、肝臓は大きく分けて3つの仕事をしています。

  1. エネルギーの倉庫の仕事
  2. 解毒のお仕事
  3. 体に必要な物質の工場としての仕事

この3つです。

この中で、まず解毒。この機能が落ちると、体に様々ないらない物質が蓄積していく事になります。

これらの物質はどのような症状を引き起こすのでしょうか?

肝硬変・肝臓がんの症状①皮膚に出現する赤いクモ

まず、皮膚に現れるサインから紹介していきましょう。

実は肝臓の機能が落ちると皮膚に危険なサインが現れる場合があります。

赤いクモのような形の模様が出現する事があります。

これを医学用語で「クモ状血管腫」と呼びます。

クモという事で何か不吉な感じがしますが、このクモ状血管腫自体は無害なんです。

この中で、本来肝臓で解毒される、女性ホルモンの1種であるエストロゲンと呼ばれるホルモンが体に蓄積していくと、このエストロゲンには血管を広げる作用があるので、細い血管を広げてそこがあたかもクモのように見えてしまう、こういう仕組みなんですね。

女性ホルモンとはいえ、男性の精巣でも作られているものなので、男女ともに起こりうる症状にはなります。

このクモ状血管腫は首、腕、あたりに出やすいので、もしこの赤いクモが出現した場合は、肝臓の機能が落ちているかもしれません。

肝臓病以外にも妊婦さんや、ピルを内服されている方にもこの赤いクモが出現する事もあります。

肝硬変・肝臓がんの症状②手のひらが真っ赤になる

また、同じ原理で手のひらの血管が拡張して、手のひらが真っ赤になってしまう事もあるんですよね。

医学用語で「手掌紅斑」と呼びます。なかなか急に手のひらが赤くなったから肝臓が原因だ!とは思いもよらないですよね。

肝硬変・肝臓がんの症状③胸が大きくなってしまう

そしてこのエストロゲンが分解できず、体にたまっていく事に関連していえば、男性の場合は胸が大きくなってしまう、こういう場合もあります。

「女性化乳房」といいます。

男性の体の中では、男性ホルモンと女性ホルモンのバランスを一定に保つ事で男性らしさを保っているのですが、肝臓の機能が落ちて女性ホルモンであるエストロゲンが体に溜まるようになると、ホルモンのバランスがどうしても女性寄りになってしまう事があります。

この女性化乳房は、肝臓の機能が落ちたり、飲んでいる薬の影響で起きる事がありますので、覚えておいて下さい。

肝硬変・肝臓がんの症状④異常な行動をとる

そして解毒機能の低下による弊害はエストロゲンだけではありません。

例えば、アンモニアと呼ばれる成分も肝臓で分解されるのですが、肝臓の機能が落ちてアンモニアが体に溜まっていくと、余分なアンモニアがなんと脳に移行し、脳の正常な働きを邪魔する事があるんですね。

これが医学用語で「肝性脳症」と呼ばれる状態です。

この肝性脳症の状態になると、脳の機能が障害されているので、昏睡状態になってしまったり、異常な行動をとったり、手をバタバタをはためかせたり、様々な症状が出現します。

もともと普通な人が急に暴れ出したり、変な行動をとるようになったと思ったら、原因は肝臓だった、こんな話も起こりうるんですね。

またビリルビンと呼ばれる成分が分解できず体にたまる事で、皮膚や目が黄色くなったり、体がかゆくなる事もあります。

このように、肝臓の機能が落ちて、体に不要な物質(エストロゲン、アンモニア、ビリルビン)が溜まっていく事が、様々な症状を引き起こす、というのがおわかりいただけましたでしょうか。

肝硬変・肝臓がんの症状⑤体がむくむ

そして次に、肝臓の機能がおちてしまうと、工場としての機能も当然落ちてしまいます。

すると今度は、体に必要な成分が生産されなくなってしまい、様々な弊害が生じてきます。

特に重要なのがアルブミンと呼ばれるたんぱく質です。

このアルブミンの非常に重要なお仕事として、血液の中にぷかぷか浮かびながら、血管の小さな穴から水分を引っ張ってくるというものがあります。

このアルブミンの量が少なくなってしまうと、血管の中に水分量をキープできず、血管の外に水が漏れていってしまい、その分体のむくみとなってあらわるんです。

肝臓病になり、工場でアルブミンの製造量が落ちてしまった人は、例外なくむくみの症状が出現する事があります。

このむくみは足に出現する事もあれば、お腹に溜まって、一見太ったように見えてしまう事もあります。

このお腹に溜まった水の事を医学用語で「腹水」と呼び、あまりに量が多いとお腹に針を刺して定期的に水を抜く事もあるんですね。

このように体に必要なたんぱく質が上手に作れなくなるので、肝臓病の進行した人にとっては肝臓をサポートする為の栄養療法が非常に重要になってくるんです。

肝硬変・肝臓がんの症状⑥吐血する

また、保にも肝臓病が原因でなんと吐血してしまう事もあります。

肝臓は門脈と呼ばれる血管から栄養を受けているのですが、肝硬変の状態になり肝臓がかたくなってしまうと、この門脈から肝臓に血液を送り込むのにものすごく抵抗がかかるようになります。

そして最終的には抵抗に跳ね返され、血液が逆流するようになり、この血液は食道の血管に流れ込むと、食道の血管にいくつものこぶを作ってしまうんです。これを医学用語で「食道静脈瘤」と呼びます。

この静脈瘤がふとしたタイミングで破裂してしまうと吐血してしまったり、一気に血圧が下がって命に関わる場合もあり本当に危険なんですね。

このように肝臓からのサインは、お腹が痛くなる事もありますが、一見すると肝臓が原因とはすぐには気づかないような症状ばかりなんです。

肝硬変・肝臓がんの原因は?予防法は?

ではこのような恐ろしい肝臓病、予防する手段はあるのでしょうか?

はい、予防方法はあります。

肝硬変・肝臓がんの原因と予防法①肝炎ウイルス検診

まず一つ、中高年に絶対知っておいて欲しいのが「肝炎ウイルス検診」です。

実は肝臓がんのおよそ9割がこのB型、C型の肝炎ウイルスの感染なのです。

肝炎ウイルスは性行為などを通じて感染し、10-20年は無症状の期間が続きますが、その間に肝臓で炎症を引き起こし、細胞を破壊するという最悪の行為を繰り返し、最終的に肝臓を「かさぶた化」させてしまい、先ほど説明した肝硬変、ひいては肝臓がんの状態にさせてしまう事がある本当に厄介なウイルスなんです。

しかし、治療法は存在しますし、例えばc型肝炎なら飲み薬だけで治療できる場合もありますので、是非一生に1度は検診を受ける事を強くおススメします。

しかし、残念ながら現在は対象者の3割程度しか受診をされていないのが現状で、受けていない7割の中にも、知らず知らずのうちに肝炎ウイルスが肝臓を荒らしてしまい、とり返しのつかない事になる場合もある訳です。

特に中高年にとっては、基本的に40歳から無料で受けられます。採血するだけの簡単な検査なので是非ご検討下さい。

お近くの自治体や保健所に問い合わせてみて下さいね。

ライフスタイルによる部分はありますが、概ね無料で受けられるタイミングで一度受けておけば、その後は安心して良いでしょう。

肝硬変・肝臓がんの原因と予防法②脂肪肝対策

そして、肝炎ウイルスの対策と並行して大事なのが、脂肪肝の対策です。

脂肪肝は最初に説明したように炎症を引き起こし肝硬変、肝臓がんのきっかけになる場合もあります。

飲酒量の多い人もなりやすいですし、飲酒量が少なくてもなる場合があります。

肝炎ウイルス検診と、脂肪肝の対策を両輪で行う事で、しっかり自分の肝臓を守っていきましょう。

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監修者情報
森 勇磨

森 勇磨

ウチカラクリニック代表医師

東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。

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