【漢方】当帰芍薬散の効果・副作用を医師が解説【冷え性・むくみに】

1日2〜3回、1回1包（2.5g）を食前または食間（食事と食事の間）の空腹時に服用するのが基本です。年齢や体重、症状により調整されるので、必ず医師の指示通りに使用してください。

通常、そのまま水や白湯で服用しますが、お湯に溶かして、香りや温かさを感じながら飲むと、より効果的とされることもあります。

当帰芍薬散の副作用

副作用は非常に少なく、安全性が高いことで知られている漢方薬の一つです。

主な副作用

• 発疹、かゆみなどの皮膚症状
• 胃の不快感、食欲不振、吐き気、下痢など（胃腸が非常に弱い方の場合）

副作用が出たときの対処法

何か異常を感じた場合は、服用を中止し、速やかに医師や薬剤師に相談してください。

※多くの漢方薬で注意が必要な「偽アルドステロン症」の原因となる甘草（カンゾウ）は、当帰芍薬散には含まれていません。

当帰芍薬散の注意事項（禁忌）

使ってはいけない方

• 過去にこの薬の成分でアレルギー症状を起こしたことがある方（禁忌）
• 胃腸が非常に弱い方
• 体格が良く、体力充実している方（この薬は、虚弱な方向けの処方です）
• 重い肝障害・腎障害（当帰が代謝に負荷）
• 月経過多・子宮筋腫で出血が多いとき

併用に注意が必要な薬

絶対に使ってはいけないお薬（併用禁忌）はありませんが、以下のような薬には注意が必要です。

• 抗凝固薬ワルファリン→血液凝固の変動報告
• 鉄剤→貧血治療では併用可だが胃もたれ増強に注意
• 利尿系漢方（五苓散など）→脱水ぎみになることも

使用上の注意

漢方薬は、症状だけでなく、その人の体質（「証」といいます）に合わせて選ばれます。

当帰芍薬散は、色白で華奢、疲れやすく、冷え性でむくみやすい「虚証（きょしょう）」「血虚（けっきょ）」タイプの方に適した漢方薬です。

1日3回きちんと続け、2週間経っても変化がなければ医師へ相談しましょう。

保管方法

• 直射日光・高温多湿を避け、室温で保管してください。
• 子どもの手の届かない場所へ。

飲み忘れたら？

気づいた時点で、できるだけ早く1回分を服用してください。

ただし、次に飲む時間が近い場合は、忘れた分はとばして、次の時間に1回分だけ飲みましょう。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。

ウチカラクリニックのオンライン診療でも、当帰芍薬散をはじめとした漢方の処方なども行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

当帰芍薬散に市販薬はある？値段は？

市販薬

「女性の冷え・むくみに」といった目的で、「クラシエ」漢方当帰芍薬散錠など、多くのメーカーから錠剤や顆粒が市販されています。

薬価

時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。

• ツムラ当帰芍薬散エキス顆粒（医療用）：約24.8円/包（3割負担の場合：約7円）
• クラシエ当帰芍薬散エキス細粒（医療用）：約13.2円/包（3割負担の場合：約4円）

※2025年6月4日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。

添付文書

ツムラ当帰芍薬散エキス顆粒（医療用）

よくある質問（FAQ）

Q. 妊婦や授乳中でも使えますか？
妊娠中のむくみや、お腹の張り・痛み（切迫流産の予防）などによく処方される、比較的安全性の高い漢方薬として知られています。ただし、自己判断での服用は絶対にやめて、必ず医師に相談の上で使用してください。

Q. 子供でも使えますか？
主に成人の、特に女性の体質に合わせて作られた漢方薬であり、通常、小児には使用しません。お子さんの症状によっては使用できる場合があります。

Q. いつから効きますか？
漢方薬は、体質をじっくりと改善していくお薬です。即効性は期待できません。個人差はありますが、まずは1ヶ月以上、毎日きちんと飲み続けることで、冷えやむくみ、生理痛の程度などに少しずつ変化が現れてくることが多いです。冷え・むくみは2週、月経痛・周期改善は2～3周期が目安です。

Q. 貧血の薬ですか？
鉄剤とは違います。 鉄分を直接補給するわけではありません。漢方でいう「血（けつ）」は、血液だけでなく、全身に栄養を運ぶものの総称です。当帰芍薬散は、血を補い、その巡りを良くすることで、貧血に伴うめまいや倦怠感などを改善します。

Q.婦人科の三大漢方（桂枝茯苓丸、加味逍遙散）との違いは何ですか？
ターゲットとする体質が違います。

• 当帰芍薬散：色白で華奢、冷え性で貧血ぎみ、疲れやすい虚弱タイプ。
• 桂枝茯苓丸：体力は普通以上で、赤ら顔でのぼせやすく、生理痛が重い体力しっかりタイプ。
• 加味逍遙散：虚弱で、ストレスや不安が強く、イライラしがちな精神不安定タイプ。

まとめ

当帰芍薬散は、「血（けつ）」を補い、体を温め、余分な「水（すい）」を排出することで、冷え症、むくみ、めまい、月経トラブルといった、女性に多い複合的な不調を改善する、婦人科領域で最も代表的な漢方薬の一つです。

特に、体力がなく、貧血ぎみで、冷えやすい方の強い味方となります。 効果を実感するには、毎日コツコツと飲み続けることが大切です。長年のつらい症状にお悩みの方は、一度、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談してみてはいかがでしょうか。