高血圧の食事。血圧を下げる食べ物とは?食事療法のメニューとは?【医師解説】
こんにちは。ウチカラクリニック健康メディア「予防医学大辞典」です。
今回は「高血圧を下げる食事」について医師の視点から解説していきます。
みなさん、できるだけ薬に頼らずに血圧を下げたいですよね。
「高血圧は放置してはいけないのはわかっているけど、なかなか普段の習慣を変えられない!」
こんな人も多いと思います。
今回は、高血圧の方向けに手軽に始められる、血圧を下げるメニューや、食事療法について解説していきます。
きっとこの記事の中に、今日からのあなたの食事に取り入れられる方法があると思いますので、是非ご覧ください。
INDEX
高血圧を下げる、改善させる食事とは?
高血圧を下げる食事①DASH食
高血圧を下げる食事として研究で効果が証明されているのが「DASH食」というものです。
DASH食とは英語で「高血圧を防ぐ食事」という言葉(Dietary Approaches to Stop Hypertension)の頭文字をとって名付けられているのですが、どういった食生活かというと、
・野菜
・果物
・低脂肪の乳製品
・全粒穀物
・ナッツ類
これらの食べ物を普段の生活の中に多く取り入れていく、という方法です。
ちなみに「全粒穀物」という言葉が聞きなれない方もいるかと思いますが、どういったものかご存じですか?
全粒穀物というのは精製する段階で本当は「ぬか」となる成分をとりのぞいていない穀物のことで、玄米や、全粒粉の小麦を使ったパンやそばの事なんですね。
非常に健康に良い食べ物なので覚えておいて下さい。
ちなみになぜこのDASH食が考案されたかというと、海外の研究で、ミネラルの成分であるカリウムとか、カルシウム、マグネシウムっていったものがそれぞれ単体でもちょっとずつ血圧を下げる事ができるという事がわかってきました。
そして、
「それらの成分をミックスした食生活を送ったらしっかり血圧下げられるんじゃないか?」
という発想のもと生まれたのがDASH食なんです。
野菜や果物にはカリウムというミネラルが豊富に含まれていますし、言わずもがな乳製品にはカルシウム、またナッツ類にはマグネシウムが豊富に含まれています。
カリウムで言えば
、
・果物→バナナ・みかん
・野菜→ほうれんそう・かぼちゃ
・海藻→ひじき・昆布
このあたりに多く含まれています。
例えば、「毎日、または2-3日に1回〇〇を食べる」という習慣を身に着けるのもおススメです。
・朝毎日バナナを1本食べる
・3日に1回ほうれんそうのおひたしを食べる
こういった食習慣は継続しやすいのではないでしょうか。
毎日寿司や焼き肉なんて食べられませんが、カリウムが多い食べ物はそこまで主張のつよくない食べ物が多いので、きっちり日々のルーティンに組み込んであげましょう。
1点、注意点としては、腎臓の機能が落ちている人は、カリウムをおしっことして体の外に出しずらくなっているので、カリウムが体に溜まっていってしまいます。
そうすると「高カリウム血症」という状態になり、「心室細動」という命にかかわる不整脈の原因になったりするので、腎臓の悪い人はカリウムをとるときは注意が必要です。
腎不全の人にはカリウムが豊富に含まれているバナナなどはあまり食べ過ぎないでくださいね、といった食事療法の指導をする事が多いんですね。
腎臓の機能が落ちている人は主治医の先生と相談するようにして下さい。
腎臓の機能に問題がない方はどんどんカリウムを摂取して問題ありません。
また主食をお肉からお魚の頻度を増やしたり、乳製品を低脂肪にするのも効果的とされています。
他にも日本人の生活に合わせて、マグネシウムであれば大豆や海藻に多く含まれているのでそちらの摂取量を増やすのも悪くないでしょう。
そういった流れで考えられたDASH食なんですが、研究の結果として、収縮期血圧=上の血圧がなんと平均して7mmHg程度下がった、という論文もあり、結果として非常に効果が期待できるという事になったんです。嬉しいですね。
原理としては、DASH食を取り入れる事でナトリウムがおしっこから出る量が多くなる事が主な要因ではないか、と言われています。
カリウムを例にとって説明します。
おしっこを作っている腎臓にはナトリウムを管理している「監視員」がいて、この人がやる気になるとどんどんナトリウムを取り込んでリサイクルして、そのせいで体のナトリウムが増えていってしまいます。
しかし、カリウムをいっぱい摂取すると、監視員が尿に多く含まれるカリウムの方に気を取られてしまってナトリウムのリサイクルが行われず、ナトリウムがおしっこから出る量が多くなる、という仕組みなんです。
まあほんとはもうちょっと難しい話なんですけど、とりあえずカリウムを摂取するとナトリウムを体の外に出しやすくなると思ってもらえれば大丈夫です。
高血圧の方はDASH食を取り入れていくことでもしかしたら薬いらずの生活をゲットできるかもしれませんので是非お試しください。
高血圧を下げる食事②チョコレート
また、かなり意外かもしれませんが、チョコレートにも血圧を下げる効果が期待できます。
チョコレートに含まれる、ポリフェノールの仲間の「フラボノール」という成分や、カカオの成分が効果があるのではないかとされています。
これらの成分はホワイトチョコレートよりダークチョコレートに含まれているので、黒いチョコレートがおすすめです。
特にハイカカオチョコレートであれば、罪悪感を感じず食べてもらって良いでしょう。
1点注意事項としては、チョコの甘い成分は砂糖なので、砂糖の成分が高血圧に良い訳ではありません。
なので甘すぎるチョコはやめておきましょう。
そういった観点からも、砂糖の成分が多いホワイトチョコはちょっと微妙です。
また同じ成分の入っているココアも血圧を下げる効果が期待できますのでおススメです。
勿論個人差はありますが、3時のおやつにはポテチやアイスではなく、チョコレートに変えるだけで、血圧の改善が期待できます。
高血圧を下げる食事③柑橘類・香辛料
次に紹介するのが、柑橘類・香辛料です。
こちらは、そのものの成分が血圧に良い作用をするという訳ではなく、「減塩」に役立ちます。
ご存じの方も多いかと思いますが、高血圧の天敵は「塩」です。
具体的には塩に含まれる「ナトリウム」を過剰に摂取すると、血圧に影響してきます。
ナトリウムと関係の深い臓器、腎臓においては、塩の中の余分なナトリウムをおしっことして体の外に出す非常に重要な仕事をしています。
しかし、塩分をとりすぎると、腎臓でもナトリウムを外に出しきれない為、だんだん体に溜まっていってしまう訳です。
そしてナトリウムが血圧を上げる大きな理由は、「水を引き込む作用」があるからです。
血液の中のナトリウムの量が増えれば増えるほど、血管に空いた小さな穴から水を引き込み、血管の中の血液の量がどんどん増えていきます。
例えば大雨で水位が増したダムが決壊するのは水量が増えて圧力が増しているからでしょう。
ダムの場合と同じように血圧も上がってしまい、血管の壁にダメージを与えてしまうんですね。
こういった現象が起こらないようにするために、日常生活の中で塩分の摂取量を調整する必要があります。
実は日本人の平均塩分摂取量って実は平均12gと言われていて、これは世界平均の10g、アメリカの9gと比較してかなり多いです。
原因としては日本食が関係しているかもしれない、と言われています。(味噌汁は塩分が多く含まれている場合がありますよね。)
日本高血圧学会は、なんと「塩の量を半分にして6gにするべきだ」という指針も出しているんです。
確かに理想としてはこの程度の数値を目指していきたい所ではあるんですが、単純に塩分の量を減らしただけでは、継続できる人は少ないでしょう。
塩の量を半分にしたら当然薄味になってしまって、濃い味が好きな人にとってはなかなか辛くて続かないですよね。
そこで最も大事な考え方が、「何かを減らしたらその分何かを足してあげる」というものです。
自分の食生活を継続していくために、必ず代わりの調味料で味つけをつけてあげましょう。
でも代わりの調味料が血圧に悪さをしては本末転倒なので、血圧に悪さをしない調味料を紹介します。
まず、こしょう、とうがらしといった香辛料です。
香辛料は血圧に悪さをしないし、味付けもしっかりつけられるので非常に重宝します。
また、レモンやゆずなどの酸味のある果物も便利ですね。当然血圧に悪さはしません。
ちなみに自分はチキンをレモンやハーブで炒めるのが大好きです。塩分の量を1日3g減らす事が血圧を下げる薬を内服するのと同じくらいの効果が出た、という論文もあります。
皆さんも自分に合った減塩メニューを考えてみて下さい。
とにかくストレスの溜まる事をしてもなかなか続かないので、ストレスのかかる事はしないようにしましょう。
そして高血圧は一瞬下げても意味がないので、無理のない食事を習慣づけて、血圧を下げて血管の負担を減らしてあげましょう。
まとめ
最終的に高血圧を下げる食事についてまとめると、
①DASH食を意識して取り入れよう!
②おやつはポテチやアイスよりハイカカオチョコレートを!
③基本の「減塩」を達成させるために、柑橘類・香辛料・減塩醤油などを活用しよう!
このようになります。
部分的でもいいので、是非今日からの食事習慣に取り入れてみて下さい。
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