「気分が落ち込むけど、楽しいことがあると少し元気になる。これって、うつ病じゃないの?」 「頭痛やめまいが続くけど、病院で検査しても異常なしと言われる…」 「うつ病だと思っていたら、躁うつ病(双極性障害)と診断された…」
「うつ病」と一言で言っても、実はうつ病の種類は一つではありません。 楽しいことには反応できる「非定型うつ病(新型うつ病)」、体の不調が前面に出る「仮面うつ病」など、症状の現れ方は様々です。
この記事では、「うつ病にはどんな種類があるのか」分かりやすく医師が解説します。
目次
「うつ病」とは?
うつ病は、「心の風邪」と例えられることもありますが、実際はもっと深刻で、脳の機能や働きのバランスが崩れている状態です。
気分が落ち込むだけでなく、意欲や集中力の低下、眠れない、食欲がない、体がだるいといった、心と体の両方に様々な症状が現れます。
決して「気持ちの問題」や「甘え」ではなく、誰にでも起こりうる病気であり、治療には十分な休養と専門的なサポートが必要です。
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「非定型うつ病・新型うつ病」や「仮面うつ病」とは?
「うつ病」は、症状の現れ方によっていくつかのタイプに分類されます。特に誤解されやすい2つのタイプを最初にご紹介します。
非定型うつ病(新型うつ病)
非定型うつ病は、従来のうつ病とは少し異なる特徴(非定型症状)を持つタイプです。
「楽しいことはできる」ため、周りからは「怠けている」「わがまま」と誤解されやすいのが、このタイプの最も辛い点です。
【主な特徴】
- 気分の反応性: 嫌なことがあるとひどく落ち込むが、楽しいことや好きなことがあると気分が一時的に良くなる。(典型的なうつ病は、何があっても気分が晴れません)
- 過食: 特に甘いものや炭水化物を無性に食べたくなる。
- 過眠: いくら寝ても眠い、一日10時間以上寝てしまう。
- 鉛様の倦怠感: 手足が「鉛のように重く」感じ、起き上がるのが困難になる。
- 対人関係への過敏さ: 他人からの批判や拒絶にひどく傷つき、落ち込む。
メディアなどで「新型うつ病」と、この非定型うつ病と近い意味で使われることもありますが、両者は必ずしも同じではありません。「新型うつ病」は、「仕事中だけうつっぽくなる」「若者に多い」といった社会文化的な要素を含む俗称であり、この記事で説明している医学的な「非定型うつ病」とは異なる概念です。

仮面うつ病
仮面うつ病は、現在の診断基準(DSMなど)に登場する正式な病名ではなく、主に日本で使われてきた通称です。「うつ病」がまるで「別の仮面」をかぶっているかのように見えるため名づけられました。
気分の落ち込みといった「精神症状」がほとんど目立たず、以下のような「身体症状(体の不調)」が前面に出るのが特徴です。
主な身体症状

- 頭痛、めまい、耳鳴り
- 肩こり、背中の痛み
- 動悸、息苦しさ
- 胃の不快感、食欲不振
- 原因不明のだるさ など
内科や整形外科などで検査をしても「異常なし」「自律神経失調症ですね」と言われることが多く、ご本人も周囲も、まさかうつ病が原因だとは気づきにくいのが特徴です。
うつ病の種類
非定型うつ病や仮面うつ病といった特徴のほかにも、「抑うつ障害(うつ病)」は、医学的な診断基準(DSM-5など)において、原因や症状の特徴によって以下のように細かく分類されます。
大うつ病性障害(メランコリー型うつ病)

一般的に「うつ病」と言われる典型的なタイプです。気分の落ち込み、何をしても楽しいと感じない(興味・喜びの喪失)といった中核症状に加え、不眠、食欲不振、疲労感、集中力の低下、自分を過度に責める(罪悪感)などが2週間以上続き、日常生活に大きな支障が出ている状態です。
メランコリー型うつ病
この大うつ病性障害の中でも、特に伝統的に「うつ病」と呼ばれてきた典型的なタイプを指します。「朝、特に気分が重い」「食欲が全くない(体重減少)」「過度な罪悪感」「頭が働かない(思考制止)」といった特徴が強く現れます。
持続性抑うつ障害(気分変調症)

大うつ病性障害ほど重くはないものの、気分の落ち込み(抑うつ気分)が2年以上(小児・青年では1年以上)ほぼ毎日続く状態です。
症状が軽いために「元々の性格(ネガティブ、暗いなど)だ」とご本人も周囲も思い込み、病気だと気づかないまま、慢性的な生きづらさや劣等感を抱えていることが少なくありません。
この状態の途中で、さらに大うつ病性障害を併発する(二重うつ病)こともあります。
季節性うつ病(季節性感情障害:SAD)

特定の季節にのみ、うつ病の症状が現れるタイプです。「季節型」とも呼ばれます。
最も多いのは、日照時間が短くなる秋から冬にかけて発症し、春から夏になると自然に回復するというパターンです。 これは、日光を浴びる時間が減ることで、脳内のセロトニン(気分に関わる物質)やメラトニン(睡眠に関わるホルモン)のバランスが崩れることが一因と考えられています。
一般的なうつ病と異なり、「過眠(寝すぎる)」「過食(特に炭水化物を好む)」といった非定型うつ病に似た症状が出やすいのも特徴です。
産後うつ病(周産期発症のうつ病)

出産後の数週間から数ヶ月以内に発症するうつ病です。正式には「周産期発症(※出産前から発症するケースも含む)のうつ病」と呼ばれます。
産後の急激なホルモンバランスの変化、育児のプレッシャーや「母親はこうあるべき」という重圧、深刻な睡眠不足、社会からの孤立感などが複合的に絡み合って発症すると考えられています。
出産直後の一時的な気分の落ち込み(マタニティブルー)とは異なり、症状が2週間以上持続します。「赤ちゃんを可愛いと思えない」「自分は母親失格だ」と自分を責めてしまい、適切なサポートが不可欠です。
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重篤気分調節症(DMDD)

主に小児や思春期(6歳〜18歳未満)に診断されるもので、この時期の「双極性障害(躁うつ病)」の過剰診断を防ぐために新設された病名です。
特徴は、「持続的なイライラや不機嫌」がほぼ毎日あり、それに加えて「年齢不相応の激しいかんしゃく(言葉や行動での爆発)」を週に3回以上繰り返す、といった状態が1年以上続いていることです。
月経前不快気分障害(PMDD)

いわゆる「PMS(月経前症候群)」の中でも、特に「精神症状」が非常に重く、日常生活に深刻な支障をきたしている状態を指します。
月経(生理)が始まる1〜2週間前から、強い抑うつ気分、絶望感、不安、イライラ、怒りっぽさ、集中困難などが起こり、月経が始まると数日以内に軽快するのが特徴です。
原因が他にある「抑うつ障害」
これらは、脳機能の不調が主原因の「うつ病」とは異なり、明確な原因があってうつ症状が引き起こされている状態です。
物質・医薬品誘発性抑うつ障害
アルコールや違法薬物の使用・離脱、あるいは治療のために使用している医薬品(例:一部の降圧剤、ステロイド、インターフェロンなど)の副作用が、うつ症状の直接的な原因となっている状態です。

他の医学的疾患による抑うつ障害
甲状腺機能低下症、パーキンソン病、脳卒中後、認知症、がん、慢性的な痛みなど、他の「体の病気」が直接的な原因となり、うつ症状が現れている状態です。この場合、元の病気の治療が最優先されます。

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よくあるご質問(FAQ)
Q. 「非定型うつ病」は甘えや、わがままではないのですか?
決して「甘え」ではありません。非定型うつ病は、脳の機能的な偏りが背景にあると考えられており、本人の意思とは関係なく感情や体調がコントロールできなくなる、治療が必要な病気です。
「楽しいことはできる」ため誤解されがちですが、ご本人は対人関係の過敏さなどで深く苦しんでいます。
Q. 「仮面うつ病」を疑ったら、何科を受診すればいいですか?
まずは内科などで身体的な異常がないかを調べることも大切ですが、検査で「異常なし」と言われた不調が続く場合は、仮面うつ病の可能性も考え、心療内科や精神科への相談をご検討ください。ウチカラクリニックのオンライン診療でも、そういった身体症状のご相談を多くお受けしています。
Q. 「新型うつ病」とは何ですか?
「新型うつ病」は正式な病名ではなく、主にメディアなどで使われる俗称です。多くの場合、この記事で解説した「非定型うつ病」と近い意味で使われます。
Q. 「介護うつ」という種類はないのですか?
「介護うつ」は正式な病名ではありませんが、介護の身体的・精神的な負担やストレスが引き金となって発症するうつ病(大うつ病性障害)や適応障害を指す言葉として広く使われています。 終わりの見えない介護による疲労や責任感、孤立感から発症することは決して珍しくありません。
まとめ
気分が落ち込む原因は、一つではありません。うつ病の種類は様々です。大切なのは、「自分の不調はこういうものだ」と決めつけずに、専門家の客観的な診断を受けることです。
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この記事の監修者

ウチカラクリニック代表医師
森 勇磨
経歴
東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。













