「うつ病だと思って治療していたら、実は『躁うつ病(双極性障害)』だった…」 「適応障害と診断されたけど、うつ病とは何が違うの?」
気分が落ち込む、やる気が出ないといった症状があると、「うつ病かもしれない」と考える方は多いでしょう。 しかし、うつ病と非常に症状が似ているものの、原因や治療法が全く異なる病気や状態がいくつも存在します。
特に、治療法を間違えると症状が悪化する危険性もあるため、ご自身の状態を正しく診断してもらうことは非常に重要です。
この記事では、「うつ病」と間違えられやすい代表的な病気や状態(躁うつ病、適応障害、不安障害など)との違いについて、医師が分かりやすく解説します。
目次
「うつ病」とは?
うつ病は、「心の風邪」と例えられることもありますが、実際はもっと深刻で、脳の機能や働きのバランスが崩れている状態です。
気分が落ち込むだけでなく、意欲や集中力の低下、眠れない、食欲がない、体がだるいといった、心と体の両方に様々な症状が現れます。
決して「気持ちの問題」や「甘え」ではなく、誰にでも起こりうる病気であり、治療には十分な休養と専門的なサポートが必要です。
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躁うつ病(双極性障害)との違い

- うつ病: 気分が落ち込む「うつ状態」だけが起こる病気です。
- 躁うつ病(双極性障害): 気分が落ち込む「うつ状態」と、気分が異常に高揚する「躁(そう)状態」または「軽躁(けいそう)状態」を繰り返す病気です。
【なぜ間違えやすい?】
ほとんどの方が、気分が落ち込んでいる「うつ状態」の時にしか病院を受診しないためです。「躁(軽躁)状態」の時は、むしろ「絶好調だ」と感じており、本人も家族もそれを「病的な興奮」だとは認識していないことが多々あります。
【見分けるためのポイント】
「躁(軽躁)状態」には、単に「ハッピー」なだけでなく、「イライラしやすい」「ほとんど眠らなくても平気」「浪費が激しくなる」「自信に満ち溢れる」といった特徴があります。
【注意点】
診断を間違えることが非常に危険です。うつ病の治療薬(抗うつ薬)を躁うつ病の方に使うと、躁状態を誘発したり(躁転)、気分の波をより激しく不安定にしたりする危険性があるため、診断の区別が絶対に必要です。
適応障害との違い

- 適応障害: 「明確なストレスの原因」(例:職場の異動、人間関係)が特定できます。そのストレスが始まってから不調が出ます。
- うつ病: 明確な原因がなくても発症することがあり、もしストレスが原因だったとしても、その原因から離れても症状が持続します。
【なぜ間違えやすい?】
どちらも「気分が落ち込む」「会社に行けない」といった、「抑うつ状態」が共通して見られるためです。
【見分けるためのポイント】
最も大きな違いは「ストレス源から離れた時の反応」です。
適応障害の場合は、ストレス源(例:職場)から離れている時(例:休日や休暇中)は、比較的気分が落ち着き、趣味などを楽しめることが多いです。
うつ病の場合は、ストレス源から離れても(例:休日でも)、脳のエネルギーが枯渇しているため、気分は晴れず、何に対しても興味や喜びを感じられない(アンヘドニア)状態が持続します。
不安障害との違い

- 不安障害: 主な症状は「未来への過度な不安」や「恐怖」です。(例:パニック発作、人前での過度な緊張)
- うつ病: 主な症状は「過去や現在への気分の落ち込み」や「興味の喪失」「自分を責める気持ち(罪悪感)」です。
【なぜ間違えやすい?】
うつ病の方も強い不安を感じることがあり、両者は非常に併発しやすいためです。「不安でたまらないうちに、気分も落ち込んできた」というケースは非常に多く見られます。
【見分けるためのポイント】
症状の「中心」が異なります。不安障害は急性の発作的な身体症状(動悸、過呼吸など)が目立ちやすく、うつ病は慢性的で重たい身体症状(倦怠感、不眠など)が持続しやすい傾向があります。
自律神経失調症との違い

- 自律神経失調症: これは正式な病名ではなく、ストレスや生活習慣の乱れにより、自律神経(交感神経・副交感神経)のバランスが崩れ、様々な身体症状が出ている「状態」を指します。
- うつ病: 脳のエネルギー不足(セロトニンなど)が原因で、気分や意欲の低下とともに、身体症状も現れる「病気」です。
【なぜ間違えやすい?】
どちらも、頭痛、めまい、動悸、倦怠感、不眠、食欲不振など、現れる身体症状がほぼ同じだからです。内科などで「自律神経失調症ですね」と言われていた方が、実はうつ病(特に仮面うつ病)だった、というケースは非常に多くあります。
【見分けるためのポイント】
「気分の落ち込み」や「興味の喪失」が一時的か、持続的かが見分けるポイントです。自律神経失調症は身体症状が中心ですが、うつ病は(たとえ自覚が薄くても)精神症状が中核にあり、2週間以上持続します。
統合失調症との違い

- 統合失調症: 主な症状は「幻覚(幻聴など)」や「妄想」(陽性症状)、または「意欲の低下」「感情の平板化」(陰性症状)です。
【なぜ間違えやすい?】
統合失調症の「陰性症状(意欲の低下など)」が、うつ病の症状とそっくりに見えるためです。
【見分けるためのポイント】
うつ病の意欲低下は「悲しみ」や「罪悪感」に基づいていることが多い一方、統合失調症の陰性症状は「感情そのものが平らになる(何も感じない)」という特徴があります。専門医による慎重な診断が必要です。
甲状腺機能低下症との違い

- 甲状腺機能低下症: 首にある「甲状腺」の働きが悪くなり、体の新陳代謝を活発にする「甲状腺ホルモン」が不足する、内分泌(ホルモン)の病気です。
【なぜ間違えやすい?】
甲状腺ホルモンが不足すると、「無気力」「疲れやすい(倦怠感)」「集中力の低下」「気分の落ち込み」といった症状が現れ、これがうつ病の症状と酷似しています。
【見分けるためのポイント】
うつ症状に加え、「異常な寒がり」「体重増加(むくみ)」「声のかすれ」「皮膚の乾燥」といった、代謝低下による特有の身体症状を伴うことが多いのが特徴です。 これは血液検査でホルモンの数値を測れば、はっきりと診断できます。
認知症(初期症状)との違い

- 認知症: 脳の神経細胞が壊れ、記憶力や判断力などが低下していく病気です。
- うつ病: 脳の機能が一時的に低下している状態であり、治療による回復が可能です。
【なぜ間違えやすい?】
特に高齢者のうつ病は、「意欲が出ない(引きこもりがちになる)」「ぼーっとしている」「物忘れが増える(集中力低下による)」といった症状が現れます。これが、認知症の初期症状と非常に似ているためです。(これを「仮性認知症」と呼ぶことがあります)
【見分けるためのポイント】
ご本人の「自覚」に違いが出ることがあります。認知症は物忘れの自覚がないことも多いですが、高齢者のうつ病は「物忘れが増えた」「頭が働かない」という変化を本人が強く自覚し、そのことを深く悩んでいるケースが多いです。
「抑うつ状態」と「うつ病」の違い

- 抑うつ状態: これは病名ではありません。「気分が落ち込んでいる」という「症状・状態」を指す言葉です(例:「風邪」に対する「発熱」)。
- うつ病: 上記の「抑うつ状態」を引き起こす、治療が必要な「病名」の一つです。(例:適応障害や躁うつ病、甲状腺機能低下症でも「抑うつ状態」は起こります)
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よくあるご質問(FAQ)
Q. 躁うつ病(双極性障害)なのにうつ病の薬を飲むとどうなりますか?
躁うつ病の方がうつ病の治療薬(抗うつ薬)だけを飲むと、気分が上がりすぎて「躁状態」になったり、気分の波がより激しく不安定になったりする(ラピッドサイクラー化)危険性があります。これが、うつ病と躁うつ病の診断を慎重に行う最大の理由です。
Q. 適応障害が治らないと、うつ病になりますか?
適応障害は、基本的にはストレス源から離れれば改善に向かいます。しかし、ストレス源から離れられない状態が長く続き、症状が悪化・慢性化すると、「大うつ病性障害」の診断基準を満たすようになり、診断が「うつ病」に移行するケースは少なくありません。
Q. 不安障害とうつ病を併発することはありますか?
はい、非常に多くあります。不安障害(パニック障害や社交不安障害など)を抱えている方が、そのストレスや生きづらさから、二次的にうつ病を発症するケースは珍しくありません。
Q.甲状腺機能低下症を疑ったら、どうすればいいですか?
まずは内科、または心療内科にご相談ください。簡単な血液検査で甲状腺ホルモンの数値を調べることができます。ウチカラクリニックのオンライン診療でも、症状から甲状腺機能低下症が疑われる場合は、お近くの検査機関で血液検査を受けていただくようご案内しています。
まとめ
気分が落ち込む原因は、一つではありません。 躁うつ病や適応障害、自律神経失調症、さらには甲状腺機能低下症といった身体の病気など、うつ病と症状は似ていても、全く異なる対応が必要な病気が隠れている可能性があります。
大切なのは、「自分の不調はうつ病だ」と決めつけずに、専門家の客観的な診断を受けることです。
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この記事の監修者

ウチカラクリニック代表医師
森 勇磨
経歴
東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。













