「出産して嬉しいはずなのに、なぜか涙が止まらない」 「赤ちゃんは可愛いのに、心の底から喜べない…」 「『母親なんだからしっかりしなきゃ』と思うほど、不安で押しつぶされそうになる」
出産の喜びと同時に、上記のような辛い気持ちや体の不調に悩んでいませんか?
それは、あなたの心が弱いからでも、母親失格だからでもありません。 もしかしたら、「産後うつ」という病気のサインかもしれません。
産後うつは、出産した女性の10人〜15人に1人が経験する、決して珍しくない病気です。
この記事では、産後うつの具体的な症状や原因、いつまで続くのか、そしてご自身で状態を確認できるセルフチェックについて、医師が分かりやすく解説します。
目次
産後うつとは?(マタニティブルーとの違い)
まず、産後に起こりやすい心の状態として、「マタニティブルー」と「産後うつ」があります。この二つは全く別物です。
マタニティブルー

- 時期: 出産後数日〜1、2週間の一時的なもの。
- 症状: 理由もなく涙が出る、気分が落ち込む、不安になる。
- 特徴: 一過性の気分の波で、自然に治まっていくことが多いです。
産後うつ

- 時期: 医学的な診断基準(DSM-5)では、妊娠中または出産後4週間以内に発症するものを「周産期発症のうつ病」と定義します。
しかし、臨床現場では出産後数週間〜数ヶ月、長い場合は1年以内に発症するものも、広く「産後うつ」として扱います。
- 症状: マタニティブルーよりも深刻な気分の落ち込み、興味の喪失、罪悪感、不眠などが2週間以上続く。
- 特徴: 治療が必要な「病気」です。放置しても自然には治りにくく、症状が長引く(慢性化する)可能性があります。
「そのうち治るはず」と思っていたマタニティブルーのような症状が、2週間以上経っても良くならない、むしろ悪化している場合は、「産後うつ」の可能性を考え、専門家へ相談することが大切です。
産後うつの具体的な症状
産後うつは、心と体の両方に様々な症状が現れます。
心の症状
- 強い気分の落ち込み、憂うつな気分が一日中続く
- 理由もなく涙が出る、涙もろくなる
- 何に対しても興味が持てない、喜びを感じない
- 強い不安感や焦り、イライラ
- 「自分はダメな母親だ」「母親失格だ」という強い罪悪感
- 赤ちゃんのお世話(育児)への自信が極端になくなる
- 「赤ちゃんを傷つけてしまうかもしれない」「この世から消えてしまいたい」と考えてしまう
体の症状
- 寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、または寝すぎる(過眠)
- 食欲が全くない、または食べ過ぎてしまう(過食)
- 体が鉛のように重い、何をしてもすぐに疲れてしまう(極度の疲労感)
- 集中力が続かない、物事を決められない
- 頭痛、めまい、動悸、吐き気
産後うつセルフチェック【エジンバラ産後うつ病質問票】
「もしかして?」と思ったら、ご自身の状態を客観的にチェックしてみましょう。 これは医学的な診断ではありませんが、専門家に相談するかどうかの大切な「目安」になります。
過去7日間のあなたの状態について、
最も当てはまるものを選んでください。
Q1.物事を見て笑うことができた
Q2.物事を楽しみにして待つことができた
Q3.物事がうまくいかない時、自分を不必要に責めた
Q4.はっきりした理由もないのに、不安になったり、心配したりした
Q5.はっきりした理由もないのに、恐怖を感じた
Q6.することが多くて、どうにもならないと感じた
Q7.不幸せで眠れなかった
Q8.気分が沈み、惨めだと感じた
Q9.不幸せで泣いてしまった
Q10.自分自身を傷つけようと思った
<このチェックについて>
- このセルフチェックは、産後うつ病の可能性に気づくための目安であり、医学的な診断に代わるものではありません。
- EPDS(エジンバラ産後うつ病質問票)は、産後の抑うつ状態の評価尺度として世界的に広く用いられています。
- 質問10(「自分自身を傷つけようと思った」)で「まったくない」以外を選んだ方は、合計点に関わらず、できるだけ早く専門の医療機関(精神科、心療内科)や地域の保健師、相談窓口にご相談ください。
- 合計点が9点以上の場合、うつ状態の可能性が考えられます。専門家への相談をご検討ください。
- 点数が低くても、ご自身で「つらい」と感じる状態が続く場合は、無理をせずご相談ください。
産後うつの主な原因
「どうして私が?」と思うかもしれませんが、産後うつは特定の人がなるわけではありません。様々な要因が複雑に絡み合って発症します。
急激なホルモンバランスの変化(身体的要因)
妊娠中は女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)が大量に分泌されていますが、出産と同時に激減します。この急激なホルモンの嵐が、脳の働き(気分を安定させるセロトニンなど)に影響を与え、気分を不安定にさせます。

深刻な「睡眠不足」と「疲労」(環境的要因)

出産という大仕事で体はボロボロな上に、数時間おきの授乳やおむつ替えで、まとまった睡眠が一切とれません。
この「慢性的な睡眠不足」は、心と体の判断力を奪う、非常に大きな原因となります。
プレッシャーと孤立感(心理的・社会的要因)

- 「母親なのだから、完璧に育児をこなさないと」という責任感やプレッシャー
- 育児の不安や悩みを相談できる相手がいない
- パートナーや家族のサポートが十分に得られない(ワンオペ育児)
- 以前のうつ病や不安障害の既往歴
これらの要因が重なり、「助けて」と言えない環境が続くと、誰でも産後うつになる可能性があるのです。
産後うつは「いつまで続く」の?
今まさに苦しんでいる方にとって、一番知りたいことかもしれません。
もし放置したら…
「母親ならこれくらい普通」と我慢し続けると、症状は改善せず、数ヶ月から数年と長引いてしまう(慢性化する)危険性があります。
適切に治療すれば…
産後うつは、「適切な治療で回復が期待できる病気」です。 専門家のサポートを受け、まずは「しっかり休む」こと、そして必要に応じてカウンセリングや、授乳中でも安全に使えるお薬の治療を受けることで、回復までの期間をずっと短くすることができます。
「いつまで」かは個人差がありますが、確実に言えるのは「一人で我慢すればするほど長引いてしまう」ということです。
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産後うつの「乗り越え方」【休養と専門的な治療】
産後うつは、ホルモンや脳の不調、極度の疲労が引き起こしている「病気」です。乗り越えるためには、「環境を整えて休むこと」と「専門的な治療を受けること」の両輪が不可欠です。
休養できる環境調整
何よりも優先すべき「治療」です。脳と体を休ませる環境を強制的に作る必要があります。

- 「完璧な母親」を諦める:部屋が汚れていても、食事が手抜きでも、赤ちゃんが元気に生きていれば100点満点です。
- 「一人でやる」ことを諦める:パートナー、ご家族、地域のサポート(一時保育、産後ケア施設、家事代行など)、使えるものは何でも使ってください。
- パートナー・家族の理解:ご家族は「お母さんが一人で眠れる時間」を確保することを最優先に考え、家事や育児を積極的に代わってあげてください。
病院で行う治療
一人で我慢せず、専門家の助けを借りることが、回復への一番の近道です。病院やクリニックでは、主に以下の治療を組み合わせて行います。
精神療法(カウンセリング)

「母親失格だ」といった強い罪悪感や、「完璧にやらなければ」というプレッシャー(認知のゆがみ)を、専門家との対話を通じて、少しずつ和らげていきます。「辛い」と話せる場所があるだけでも、心の負担は大きく軽減されます。
薬物療法

「産後のホルモンバランスの乱れなどで不調になっている脳の働き(セロトニンなど)を、お薬の力で助け、症状を和らげる治療です。
「授乳中だから薬は飲めない」と心配される方が非常に多いですが、医師にご相談ください。 お母さんの状態やご希望を伺いながら、多くの場合で授乳中でも安全に使えるお薬(抗うつ薬や漢方薬など)を選択します。 ただし、お薬の種類や赤ちゃんの状態によっては、授乳方法について調整(例:授乳のタイミングをずらす、一時的に中断する など)をご提案する場合もあります。
必ず医師と相談しながら、最適な方法を見つけましょう。
【うつ病の治療について詳しい解説はこちら!】
🔗うつ病の治し方|「治療の方法」と「治る兆候」を医師が解説!
産後うつの正しい「乗り越え方」は、「一人で我慢せず、利用できるサポートをすべて利用し、専門家(医師)の助けを借りる」ことです。
よくあるご質問(FAQ)
Q. 赤ちゃんを可愛いと思えません。母親失格でしょうか?
決して、母親失格ではありません。それは産後うつの症状(興味・関心の喪失、感情の麻痺)が、そう感じさせているだけです。あなた自身の気持ちとは関係ありません。自分を責めないでください。まずは治療を受け、心が回復すれば、自然と感情も戻ってきます。
Q. 薬を飲むと、母乳(授乳)は絶対にやめないといけませんか?
いいえ、そんなことはありません。お薬の中には、授乳中でも安全に使えるものがいくつもあります(漢方薬も選択肢の一つです)。赤ちゃんとお母さんにとって何がベストか、医師がご希望を伺いながら一緒に考えますので、ご安心ください。
Q. 夫が原因で産後うつになることはありますか?
夫(パートナー)だけが原因であることは稀ですが、その言動が強力な引き金や悪化要因になることは非常に多くあります。
例えば、「育児に非協力的(ワンオペ育児)」「妻の不調を『甘え』と決めつける」といったサポートのない言動は、ギリギリの状態にあるお母さんを産後うつへと追い詰める大きな要因になります。
Q.産後うつになりやすい人はいますか?
産後うつは「誰でもなる可能性」があります。その上で、「完璧主義で責任感が強い人」「過去にうつ病などの既往歴がある人」「周囲のサポートが得られにくい(ワンオペ)環境の人」などは、リスクが少し高い傾向があると言われています。ただし、これらに当てはまらなくても発症します。
Q.産後うつは治りますか?
産後うつは、ホルモンバランスや極度の疲労が原因で誰にでも起こりうる「脳の不調」です。適切な休養と治療(カウンセリング、薬物療法など)によって、元の元気なあなたに戻れる可能性は高いです。
Q.夫(パートナー)や家族にできることは何ですか?
まずは、お母さんの話を否定せずに「そうだね、辛いね」と聞いてあげることです。そして、「母親失格だ」などと責める言動は絶対にしないでください。
具体的には、夜中の授乳や沐浴、家事などを積極的に代わり、「お母さんが一人でゆっくり眠れる時間」を作ってあげることが、何よりのサポートになります。
Q.オンライン診療ではなく、すぐに病院に行くべきですか?
ほとんどの産後うつのご相談はオンライン診療で対応可能です。しかし、中には緊急で対面診療や入院が必要になる“産後の急性のこころの病気(産褥期精神病など)”もあります。
「赤ちゃんを傷つけてしまいそうな具体的な考えが消えない」「(誰もいないのに)声が聞こえる(幻聴)」「誰かに狙われていると感じる(妄想)」「急にハイになってしゃべり続ける」 このような、いつもと様子が明らかに違う、現実感がないと感じる場合は、オンライン診療ではなく、迷わずお近くの医療機関や自治体の相談窓口にすぐに連絡してください。
まとめ
産後うつは、あなたのせいではありません。 ホルモンと、過酷な育児環境が引き起こす「病気」です。
今、あなたが感じている辛さ、苦しさ、不安は、「助けて」という心のSOSサインです。 そのサインに気づいたら、決して一人で抱え込まず、我慢しないでください。
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この記事の監修者

ウチカラクリニック代表医師
森 勇磨
経歴
東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。













