「最近、あの人らしくないな…」 「家族が、休日にずっと寝てるようになった」 「口癖のように『自分が悪い』と自分を責めてばかりいる」
あなた自身や、あなたの大切な人のそんな変化に、戸惑いや不安を感じていませんか?
それは、単なる「疲れ」や「性格の変化」ではなく、「うつ病」のサイン(症状)として現れている行動かもしれません。 うつ病のサインは、「気分が落ち込む」といった心の問題だけでなく、「顔つき」や「飲酒量が増える」といった日々の「行動」にも現れます。
この記事では、うつ病の人がとりがちな行動や、周囲が気づきやすい心身の症状について、医師が分かりやすく解説します。
目次
「うつ病」とは?
うつ病は、「心の風邪」と例えられることもありますが、実際はもっと深刻で、脳の機能や働きのバランスが崩れている状態です。
気分が落ち込むだけでなく、意欲や集中力の低下、眠れない、食欲がない、体がだるいといった、心と体の両方に様々な症状が現れます。
決して「気持ちの問題」や「甘え」ではなく、誰にでも起こりうる病気であり、治療には十分な休養と専門的なサポートが必要です。
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「落ち込む=うつ病」ではない
ここで紹介する症状のうち、抑うつ気分や興味の低下などが中心となって、いくつかの症状が重なり、2週間以上ほぼ毎日続き、仕事や家事・学校生活に支障が出ている場合に、「うつ病」の可能性が高くなります。
最終的な診断は、医師の問診・評価によって行われます。
うつ病の症状【心の変化】
うつ病の中核となる精神症状です。ご自身でも「いつもと違う」と感じやすい部分です。
抑うつ気分

「気分が沈み続ける」「何をしても気持ちが重い」といった状態が、続きます。
興味や喜びの喪失

これまで大好きだった趣味やテレビ、好きだった食べ物など、何に対しても無関心になり、「楽しい」「嬉しい」という感情が湧かなくなります。
意欲の低下

「何もしたくない」「動くのが億劫」と感じ、簡単な家事や仕事に取り掛かることさえ困難になります。
自責感や罪悪感

「すべて自分が悪い」「周りに迷惑をかけている」と、根拠なく自分を責めてばかりいるようになります。
集中力や判断力の低下

考えがまとまらず、本を読んでも内容が頭に入ってきません。「夕飯の献立を決める」といった、日常のささいな決断ができなくなります。
将来への悲観的な見通し

「どうせうまくいかない」「この辛さが永遠に続く」と将来を悲観的に考えてしまいます。
涙もろくなった

感情のコントロールが難しくなり、テレビのニュースやささいな出来事で、理由もなく涙が出てくることがあります。
死にたい気持ち(自殺念慮)

症状が重くなると、「生きていても仕方ない」「消えてしまいたい」といった考えが頭に浮かぶことがあります。
うつ病の判断ポイント
「落ち込んだらすぐうつ病」ではありません。誰でも辛いことがあれば落ち込みます。
しかし、ここで紹介した症状のうち、「抑うつ気分」や「興味の低下」などが中心となって、いくつかの症状が重なり、2週間以上ほぼ毎日続き、仕事や家事・学校生活に支障が出ている場合に、医学的な「うつ病」の可能性が高くなります。
最終的な診断は、医師が問診などを通して総合的に判断します。自己判断は危険です。
うつ病の症状【睡眠の変化】
睡眠のトラブルは、うつ病のサインとして非常に多く見られます。
過眠(かみん)
体が鉛のように重く感じられ、脳や体が強い疲労状態にあるため、休日などに一日中ベッドから起き上がれず、ずっと寝て過ごすことが増えます。
「怠けている」のではなく、脳のエネルギーが枯渇して動けない状態です。特に非定型うつ病や季節性うつ病では、過眠や過食が目立つことがあります。
不眠
逆に、眠りたくても眠れない症状も深刻です。以下の4つのタイプがあります。
- 入眠障害: 布団に入っても、いろいろな考えが巡ってなかなか寝つけない。
- 中途覚醒: 夜中に何度も目が覚めてしまい、その後眠れない。
- 早朝覚醒: 朝4時など、起きる予定の時間より2時間以上早く目が覚めてしまい、二度と眠れない。(うつ病に特徴的な症状です)
- 熟眠障害: 睡眠時間はとれているはずなのに、ぐっすり眠った感じ(熟睡感)が全くない。

うつ病の症状【食欲の変化】
「食欲」は、生きるエネルギーの大事なバロメーターの一つです。ここに極端な変化が現れます。
食欲不振・体重減少

「砂を噛んでいるようで味がしない」「お腹が空かない」と食欲が低下し、1ヶ月で数キロ単位の体重減少が見られることがあります。
過食・体重増加

逆に、ストレスや不安を紛らわすために、甘いものや炭水化物を無意識に過度に食べ続けてしまう「過食」として現れることもあります。
特に「非定型うつ病」や「季節性うつ病」で見られやすい症状です。
うつ病の症状【恋愛・対人関係の変化】
うつ病によるエネルギー不足は、恋愛や対人関係にも大きな影響を及ぼします。
連絡が途絶える・会いたがらない
パートナーや友人への連絡が億劫になり、既読スルーが増えたり、電話に出なくなったりします。
デートや遊びの誘いも、「疲れるから」と断ることが増えます。これは「嫌いになった」のではなく、「人と関わる元気がない」状態です。

愛情表現ができなくなる
感情が乏しくなるため、パートナーへの愛情表現ができなくなります。
ご本人も「冷たくして申し訳ない」「好きかどうかも分からなくなった」と苦しんでいるケースが多いです。

相手の言動に過敏になる
ささいな言葉に深く傷ついたり、「嫌われたかもしれない」と過剰に不安になったりして、関係を自ら断ち切ろうとすることもあります。

うつ病の症状【身体・行動の変化】
他にも、以下のようなサインが見られます。
疲労感・倦怠感

体がだるい、疲れやすい状態が続きます。特に、朝が一番辛く、体が鉛のように重くて起き上がれない、というのが特徴的な症状の一つです。
反応が遅い・落ち着かない

会話への反応が遅い、ぼーっとしている時間が増える一方で、じっとしていられず貧乏ゆすりをするなど落ち着かない(焦燥感)様子が見られることもあります。
飲酒量が増える

辛い気分や不眠を紛らわすために、お酒の量(飲酒量)が明らかに増えることがあります。アルコールは一時的に気分を紛らわせますが、睡眠の質を下げ、うつ病を悪化させるため注意が必要です。
原因不明の身体症状

頭痛や肩こり、動悸、息苦しさ、胃の不快感、便秘や下痢、めまい、口が渇くなど、内科で検査しても異常が見つからない様々な不調(自律神経症状)が現れます。
性欲の低下・月経不順

性欲がないと感じたり、女性では月経不順が起こったりすることもあります。
これらはうつ病そのものの影響だけでなく、過度なストレスや急激な体重変化、一部のお薬の影響など、様々な要因で起こりうるものです。
他の病気の可能性について
似たような症状は、甲状腺の病気(甲状腺機能低下症)や貧血、睡眠時無呼吸症候群など、体の病気が原因で起こることもあります。
そのため、診断にあたっては必要に応じて血液検査などの身体チェックも含めて評価することが大切です。
【睡眠時無呼吸症候群について詳しい解説はこちら!】
🔗睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?顔つきの特徴はある?症状や原因、対策を解説!【医師監修】
うつ病の症状【顔つき・見た目の変化】
その人の「顔つき」や「表情」にも、うつ病のサインは現れます。
表情が暗い・乏しくなる(仮面様顔貌)
喜怒哀楽の表情が消え、口角が下がり、常に表情が暗い状態が続きます。何をしても反応が乏しく、まるで「仮面」をかぶっているかのように無表情に見えることもあります。

目力がなくなる・視線が合わない
目の輝きがなくなり、ぼんやりと力のない目つきになります。人と視線を合わせるのが辛くなり、うつむきがちになります。

身だしなみへの無頓着
お風呂に入らない、髭を剃らない、化粧をしない、いつも同じ服を着ているなど、外見を構わなくなるのも、意欲低下による大きな変化です。

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年齢や時間帯による症状の違い
日内変動

典型的なうつ病(メランコリー型)では、朝に症状が最も強く(朝が一番辛い)、夕方から夜にかけて少し気分が軽快するという「日内変動」が見られることがあります。
高齢者の場合

「気分が落ち込む」といった精神症状を本人があまり訴えず、「だるい」「眠れない」「食欲がない」「あちこち痛い」といった身体症状が中心となることが多く、うつ病だと気づかれにくい傾向があります。
子どもや若者の場合

「抑うつ気分」よりも、「イライラ」「怒りっぽい」「反抗的」といった形で現れることがあります。不登校や成績の急激な低下、家庭内暴力などが、うつ病のサインである可能性もあります。
「元気そう」でもうつ病?
「うつ病の人は、いつも暗くて落ち込んでいる」とは限りません。 中には、「人前では明るく振る舞える」「楽しいことはできる」といったタイプもあり、周囲だけでなくご本人でさえ「病気ではないかも?」と誤解してしまうことがあります。
しかし、「元気そうに見える=うつ病ではない」とは限りません。注意が必要な3つのタイプをご紹介します。
微笑みうつ病

責任感が強く、「周りに心配をかけたくない」「しっかり者だと思われたい」という思いが強い方に見られる状態です。
「微笑みうつ病」は正式な診断名ではなく、笑顔の裏でつらさを抱えている状態を分かりやすく指す言葉です。
特徴
職場や友人の前では、辛さを隠して無理に笑顔を作り、普段通りに明るく振る舞います。周りからは「いつも元気だね」と思われていることさえあります。
その裏では必死に耐えており、一人になった途端(車の中やトイレの個室など)、どっと疲れ果てて深い落ち込みと自己嫌悪に苦しんでいます。
リスク
エネルギーのすべてを「演技」に使い果たしてしまうため、限界に達するまで誰にも相談できず、突然深刻な状態に陥ることがあります。
非定型うつ病(いわゆる「新型うつ」)

従来のうつ病とは異なり、気分の変動が激しいのが特徴です。 「新型うつ病」は正式な診断名ではなく、ここでは医学的な「非定型うつ病」の特徴を分かりやすく説明するために用いています。
特徴
嫌なこと(仕事など)があると体が動かなくなるほど落ち込みますが、自分の好きなことや楽しいイベントの時だけは、気分が明るくなり元気に活動できます(気分の反応性)。
「都合のいい時だけ元気」に見えるため、周囲からは「怠け」「甘え」と誤解されやすいですが、ご本人は激しい気分の波や、鉛のような体の重さ、過食・過眠といった症状に苦しんでいる「治療が必要な病気」です。
躁うつ病(双極性障害)

「最近すごく元気で、活動的になった」という変化が、実は回復ではなく「躁(そう)状態」という別の病気の症状である可能性があります。
特徴
以前よりおしゃべりになった、眠らなくても平気で動き回る、自信満々で次々と新しいことを始める、など「異常に元気すぎる」状態です。
リスク
これはうつ病ではなく「双極性障害」という別の病気です。 双極性障害では、気分安定薬などを中心に治療を行う必要があり、抗うつ薬は躁状態が悪化する恐れがあるため慎重に使う必要があります。専門医による見極めが不可欠です。
よくあるご質問(FAQ)
Q. うつ病の人は、本当に「ずっと寝てる」のですか?
全員ではありませんが、非常に多い症状です。「過眠(かみん)」と呼ばれ、脳が休息を求めているサインとも言えます。逆に、夜全く眠れなくなったり、朝早く目が覚めてしまったりする「不眠」に悩まされる方も同じくらい多くいらっしゃいます。
Q. うつ病の「顔つき」とは、具体的にどんな感じですか?
表情が乏しく(暗く)なり、目の輝きが失われたように見えることが多いです。周りからは「疲れている顔」「ぼーっとしている顔」と認識されることもあります。本人は辛くても笑顔を作ろうとしますが、どこか不自然で、すぐに元の無表情に戻ってしまうのが特徴です。
Q. うつ病が治った後、性格が変わることはありますか?
うつ病そのものが性格を変えるわけではありません。しかし、うつ病という辛い経験を乗り越え、治療(カウンセリングなど)を経ることで、考え方や価値観が変化することはよくあります。 例えば、「完璧主義が和らいだ」「人に頼ることを覚えた」「無理をしなくなった」といった変化は、再発を防ぐための「成長」とも言えます。
Q.オンラインではなく、すぐに救急車や病院に行くべきラインは?
以下の場合はオンライン診療では対応できません。 命を守るため、直ちに(夜間休日でも)お近くの精神科救急窓口や救急車(119番)にご連絡ください。
- 「死にたい」という気持ちが具体的で、行動に移しそうな場合。
- 幻聴や妄想など、現実との区別が難しくなっている場合。
- 全く水分や食事がとれず、衰弱している場合。
電話で気持ちを聞いてもらえる公的な相談窓口としては、厚生労働省の「こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)」や、「#いのちSOS(0120-061-338)」なども利用できます。
まとめ
うつ病のサインは、気分の落ち込みだけでなく、睡眠や顔つきの変化、飲酒量が増える、人前では明るいのに一人で苦しんでいる状態など、様々な形で現れます。
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この記事の監修者

ウチカラクリニック代表医師
森 勇磨
経歴
東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。













