「薬を飲み続けても、鼻詰まりや嫌なニオイが治らない」 「医師から手術を勧められたけど、顔にメスを入れるのは怖いし、痛そう…」 「仕事が忙しくて入院なんてできない。費用も心配」
副鼻腔炎(蓄膿症)の治療が長引くと、「手術」の二文字が頭をよぎります。しかし、失敗のリスクや術後の生活を考えると、なかなか踏み切れないのが現実ではないでしょうか。
この記事では、副鼻腔炎の手術の適応基準(するべき人)、気になる費用、そして検索されることが多い「死亡リスク」や「術後の後悔」といったネガティブな側面についても、医師が解説します。
また、「どうしても手術は怖い」「今は入院できない」という方のために、オススメの選択肢も紹介します。
目次
副鼻腔炎(蓄膿症)とは?
副鼻腔炎とは、鼻の奥にある空洞(副鼻腔)の換気が悪くなり、細菌が繁殖して膿(うみ)が溜まってしまう病気です。いわゆる「蓄膿症(ちくのうしょう)」のことです。
副鼻腔炎の詳しいメカニズムや症状については、以下の記事で詳しく解説しています。

【副鼻腔炎(蓄膿症)について詳しい解説はこちら!】
🔗副鼻腔炎(蓄膿症)とは?正しい知識を医師が徹底解説!
副鼻腔炎の手術はするべきか?適応となる3つの基準
「手術は最終手段」というイメージがありますが、以下の3つの条件のいずれかに当てはまる場合、医学的に手術が推奨される(適応となる)ケースが多いです。
薬物療法で効果が見られない(難治性)

マクロライド系抗菌薬(少量長期投与)や点鼻ステロイド薬などを3ヶ月(12週)程度続けても症状が改善しない場合です。
※ただし、鼻茸(ポリープ)が大きく通り道を塞いでいる場合などは、薬の効果が届きにくいため、早めに手術が検討されることもあります。
鼻茸(鼻ポリープ)が大きく、鼻を塞いでいる

炎症によって鼻の粘膜がキノコ状に腫れ上がったものを「鼻茸(はなたけ)」と呼びます。
これが大きくなり物理的に空気の通り道を塞いでいる場合、薬だけで完全に消すことは難しく、手術での切除が必要です。
骨の構造(鼻中隔湾曲など)に問題がある

鼻の真ん中の仕切り(鼻中隔)が強く曲がっているなど、骨格の構造自体が原因で副鼻腔の換気が妨げられている場合です。骨の形は薬では変えられないため、手術が根本治療となります。
鼻づまりや嗅覚障害によって、仕事や日常生活の質(QOL)が著しく低下しているなら、手術は前向きに検討すべき選択肢です。
手術の内容と痛み|内視鏡下副鼻腔手術(ESS)
現在、副鼻腔炎の手術の主流となっているのは、身体への負担が少ない「内視鏡下副鼻腔手術(ESS)」です。 具体的にどのような手術なのか、痛みや入院の有無について解説します。
顔に傷がつかない「内視鏡手術」

最大の特徴は、顔の皮膚を切開しないことです。 直径数ミリの細い内視鏡(カメラ)を鼻の穴から挿入し、モニターで鼻の中を拡大しながら、専用の器具を使って手術を行います。
具体的に何をする手術?
主な目的は、「膿を出す」「換気ルートを作る」の2点です。
- 副鼻腔の「壁」を開放する: 膿が溜まっている部屋(副鼻腔)と鼻の通り道の間にある薄い骨の壁を取り除き、一つの大きな空間にします。これにより、溜まっていた膿が排出され、常に空気が通る(換気が良い)状態を作ります。
- 鼻茸(ポリープ)の切除: 空気の通り道を塞いでいるポリープを、シェーバーのような器具で吸引しながら細かく切除します。
安全性と痛みについて
多くの病院では、手術中に器具が今どこにあるかをリアルタイムで確認するナビゲーションシステムを導入しており、目や脳に近い危険な部位を避けて安全に手術を行えるようになっています。
手術中は全身麻酔(または深い鎮静)で行うことが多く、痛みや恐怖感はほとんどありません。眠っている間に終わります。
日帰り手術と入院手術の使い分け
日帰り手術
「どうしても仕事を休めない」という方向けです。ただし、術後の出血リスクなどを考慮し、自宅で安静に過ごせる環境が必要です。

入院手術(1泊〜1週間程度)
全身麻酔で完全に眠って行いたい方や、術後の出血や痛みが不安な方に適しています。病院で管理してもらえる安心感があります。

「手術して良かった」と感じるメリット
リスクはありますが、適応症例であれば手術を受けた多くの患者さんが、生活の劇的な変化に満足しています。
劇的な「鼻通り」と「嗅覚」の回復
「空気がスッと吸えるようになった」「数年ぶりに食事の味がわかった」という感動の声が多く聞かれます。

頭重感の消失と集中力アップ
常に頭がボーッとする感じや頭痛がなくなり、仕事や勉強のパフォーマンスが上がります。

薬を飲み続ける生活からの解放
毎日の服薬や、頻繁な通院の手間から解放されることも大きなメリットです。

手術で「顔が変わる」という噂は本当?
「手術すると顔が変わる」「鼻がへこむ」といった噂を耳にして、不安を感じている方もいるかもしれません。 結論から言うと、現在の内視鏡手術(ESS)で顔の形が変わったり、外から見える傷跡が残ったりすることは基本的にありません。
なぜ「顔が変わる」と言われるの?
それは、昭和の時代に行われていた「根本手術(上顎洞根治術)」のイメージが残っているためだと考えられます。
かつては、歯茎を切開して頬の骨を削る手術が行われており、術後に頬が大きく腫れたり、しびれが残ったりすることがありました。 しかし、現在の内視鏡手術では顔にメスを入れないため、そのような外見上の変化は起こりません。
※手術の影響で、術後に一時的な腫れや内出血が出ることが稀にありますが、通常は時間とともに治まります。
むしろ「良い方向」に顔つきが変わることも
顔の骨格自体は変わりませんが、手術によって鼻呼吸ができるようになることで、表情や印象が良い方向に変化することはよくあります。
- 口元が引き締まる: 慢性的な鼻詰まりによる「ポカンと開いた口(口呼吸)」が改善され、口元が閉じるようになります。
- 顔のむくみが取れる: 副鼻腔の炎症による頬の重苦しさや、睡眠不足による顔色の悪さが解消され、スッキリとした表情になる方が多いです。

手術の失敗やリスク|「死亡」や「後悔」の真実
ネットで検索すると「副鼻腔炎 手術 死亡」「後悔」といった怖いワードが出てきます。手術である以上リスクはゼロではありません。正しい情報を知っておきましょう。
「死亡」のリスクはあるのか?
副鼻腔炎の手術そのもので死亡するケースは極めて稀ですが、ゼロではありません。副鼻腔は目(眼窩)や脳(頭蓋底)に隣接しているため、ごく稀に以下のような重い合併症が起こる可能性があります。
- 眼窩内損傷: 目の周りの骨が傷つき、視力障害や目の動きに影響が出る。
- 髄液漏(ずいえきろう): 頭蓋底の骨が傷つき、脳の水分が鼻に漏れ出る(髄膜炎のリスク)。
- 術後出血: 稀に大量出血が起こる。
現在は「ナビゲーションシステム(手術中に器具の位置をリアルタイムで確認する装置)」の導入により安全性は飛躍的に向上していますが、個人の鼻の形状や重症度によってリスクは異なります。
必ず主治医から「あなたのケースのリスク」について説明を受けましょう。
手術して「後悔」するケースとは?

「手術なんてやらなければよかった」と後悔するパターンには、主に以下の3つがあります。
再発した(難病指定のタイプ)
一般的な副鼻腔炎の再発率は低いですが、喘息を合併しやすい「好酸球性副鼻腔炎」(国の指定難病)は、手術をしてもポリープが再発しやすい特徴があります。
事前に「完治を目指すのか、コントロールを目指すのか」のゴールを共有できていないと、後悔につながります。
術後の処置が痛い
手術直後、止血のために鼻の中に詰め物をします。これを抜く際などに痛みを感じることがあり、一時的に「辛い」と感じる方がいます。
エンプティノーズ(空鼻症候群)
鼻の中を広げすぎた結果、空気抵抗がなくなりすぎて逆に「鼻が詰まっている感じ」や「乾燥」に悩まされる状態です。これは主に「下鼻甲介(鼻の横のふくらみ)」を過度に切除した場合などに起こり得ると言われています。
鼻通りを良くするために鼻甲介の手術も同時に行う場合は、どの程度切除するかなどを確認しておくと安心です。
副鼻腔炎手術の費用相場
手術費用は保険適用となります。以下は3割負担の場合の目安です。
3割負担での費用目安
- 片側の手術: 約10万円〜20万円
- 両側の手術: 約20万円〜30万円
※手術の難易度や、日帰りか入院(食事代・ベッド代が追加)かによって変動します。
費用を抑える「高額療養費制度」
日本の公的保険には、所得に応じて1ヶ月の医療費の支払い上限が決まる「高額療養費制度」があります。 例えば、70歳未満で年収約370万〜770万円の方であれば、窓口で30万円を支払っても、申請すれば上限を超えた分が戻ってくるため、実質の自己負担額は8万〜9万円程度+食事代などで済むケースがほとんどです。 (※年収区分によって上限額は異なります)
また、民間の医療保険(生命保険)に加入している場合、手術給付金の対象になることが多いので、契約内容を確認してみましょう。

「手術は怖い…」そんな時は、ウチカラクリニックへ
ここまで読んでも、「やっぱり手術は怖い」「今はどうしても仕事が休めない」という方もいるでしょう。
その場合、最も危険なのは「治療を中断して放置すること」です。 放置すれば、ポリープは大きくなり、炎症が目や脳に波及する(視力障害や激しい頭痛など)リスクもゼロではありません。
手術をしない(できない)のであれば、症状をコントロールするために、粘り気を取る薬(去痰薬)や炎症を抑える薬などを根気よく使い続ける必要があります。しかし、「薬をもらうためだけに、混んでいる耳鼻科に毎月通うのが大変」という理由で、通院が途絶えてしまう方が少なくありません。
そんなあなたのための新しい選択肢が「オンライン診療」です。
オンライン診療なら、お手持ちのスマートフォンやパソコンを使って、自宅にいながら医師の診察を受け、処方薬を受け取ることができます。
保険適応可能で、システム利用料も0円!診察料は対面の病院とほぼ同じです!
(心療内科ではシステム手数料をいただいております。)
\ オンライン診療の3つのメリット /
①自宅で完結、待ち時間ゼロ
予約から診察、決済まで全てオンライン。病院での長い待ち時間や、通院の手間がありません。
24時間365日いつでも予約可能で、早朝/夜間や土日も診療中!

②薬は近くの薬局or自宅への郵送で!
診察後、ご希望の近くの薬局でお薬受け取れます。
薬局に行けない場合でも、お薬は郵送可能!最短で当日中に処方薬が発送され、ご自宅のポストに届きます。

③感染リスクなし
病院の待合室などで、他の病気に感染する心配がありません。体調が悪い時だからこそ、安心して利用できます。

一人で抱え込まず、まずはあなたの今の気持ちや状況を、私たちにお聞かせください。専門医が、あなたに合った解決策を一緒に考えます。

※心療内科ではシステム手数料をいただいております。
FAQ|副鼻腔炎の手術に関するよくある質問
Q. 副鼻腔炎の手術は痛いですか?
手術中は全身麻酔(または深い鎮静)で行うことが多いため、痛みや恐怖感はほとんどありません。術後は鼻の奥の痛みや頭痛が出ることがありますが、痛み止めでコントロールできる範囲です。
Q. 日帰り手術と入院手術、どっちが良い?
ライフスタイルによります。「どうしても仕事を休めない」なら日帰りですが、「術後の出血や痛みが不安」「全身麻酔で完全に眠ってやりたい」という場合は、1泊〜数日の入院手術が安心です。医師と相談して決めましょう。
Q. 仕事にはいつから復帰できますか?
デスクワークであれば、退院翌日〜数日後から復帰可能な場合が多いです。ただし、術後1〜2週間は出血リスクがあるため、力仕事や激しい運動、長風呂、飲酒は控える必要があります。
Q. 手術時間はどれくらいかかりますか?
重症度や、片側か両側かによって異なりますが、1時間〜3時間程度が目安です。鼻中隔湾曲症の手術などを同時に行う場合は、もう少し時間がかかることもあります。
Q. 民間の生命保険(手術給付金)の対象になりますか?
多くの場合、対象になります。 内視鏡下副鼻腔手術は公的医療保険の対象手術(Kコード手術)です。ご自身が加入している生命保険や医療保険から「手術給付金」が受け取れる可能性が高いため、事前に保険会社へ確認することをお勧めします。
まとめ
現代の副鼻腔炎手術(内視鏡手術)は、顔に傷がつかず、ナビゲーションシステム等により安全性も高まっています。鼻づまりで日々の生活に支障が出ているなら、CT検査を受けて自分の鼻の状態を正確に把握し、医師と相談することをお勧めします。
もし「今はまだ手術する決心がつかない」という場合でも、決して放置はせず、ウチカラクリニックのオンライン診療で相談してください。
- スマホやPCがあれば、全国どこからでも受診可能
- 対面診療と料金は変わらず、安心してご利用いただけます
- お忙しい方でも安心の年中無休で診療
- 処方された薬は郵送、またはお近くの薬局で受け取り可能
ウチカラクリニックのオンライン診療は、あなたの「治したい」という気持ちに、全力で寄り添います。
オンライン診療なら
ウチカラクリニックで!
- 夜間・土日も診療
- 全国から自宅で受診可能
- 診療時間:07:00-22:00
診察相談する 24時間
受付
※医師の判断で希望のお薬が処方できない場合があります。
無料かんたんチェック!
主な診療科目
- 一般内科
- 皮膚科
- 小児科
- 耳鼻咽喉科
- 婦人科
- 泌尿器科
- 心療内科
- 発熱外来
- ピル外来
- 生活習慣病
- アレルギー外来
- AGA・ED
- 肥満症外来
この記事の監修者

ウチカラクリニック代表医師
森 勇磨
経歴
東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。













