ドケルバン病(手首の腱鞘炎)とは?原因や治し方、セルフチェックを医師が解説!
「親指の付け根がズキズキ痛む」
「スマホを操作するときに手首に痛みが走る」
手首や親指の付け根に走るその痛み、もしかしたら「ドケルバン病」という腱鞘炎(けんしょうえん)の一種かもしれません。
最近ではスマホの使いすぎで悩む方も増えています。この記事では、ドケルバン病の原因や症状、自分でできる対策から治療法まで、医師が分かりやすく解説します。
目次
ドケルバン病(手首の腱鞘炎)とは?
ドケルバン病とは、親指を動かす「腱(けん)」と、それを包む「腱鞘(けんしょう)」がこすれて炎症を起こし、痛みや腫れが出る病気です。
簡単に言うと、「親指の使いすぎによる手首の炎症」のことです。親指側に特化した腱鞘炎の一種です。

ドケルバン病の原因|なぜ痛くなるの?スマホ腱鞘炎って?
主な原因は、親指の「使いすぎ」です。手首や親指の使いすぎによって起こりやすく、特にスマートフォンの長時間使用や育児(抱っこ)などで発症することがあります。
- スマホやパソコンの長時間操作: 親指を酷使することで、知らず知らずのうちに負担がかかっています。(スマホ腱鞘炎)
- 妊娠・出産期や更年期の女性: ホルモンバランスの変化によって、腱鞘が狭くなりやすく、炎症が起きやすい時期です。
- 育児や家事: 赤ちゃんの抱っこや、重い鍋を持つ動作などは手首に大きな負担を与えます。
- スポーツや楽器の演奏: テニスやゴルフ、ピアノなど、親指をよく使う趣味も原因になります。
スマートフォンの使いすぎによる「スマホ腱鞘炎」として発症することもあります。
ドケルバン病(手首の腱鞘炎)の症状|セルフチェック
以下のような症状がある場合は、ドケルバン病の可能性があります。
- 親指の付け根(手首の親指側)が腫れたり、押すと痛んだりする
- 親指を動かしたり、物をつかんだりするとズキっと痛む
- ひどくなると、何もしていなくても手首がジンジン痛む
- 親指を握り込んで手首を小指側に曲げると、強い痛みが走る(フィンケルシュタインテスト)
フィンケルシュタインテストってなに?
フィンケルシュタインテストとは、ドケルバン病(親指の腱鞘炎)かどうかを確かめるための「セルフチェック法」のことです。

- 親指を中に入れる: 親指を手のひら側に倒し、残りの4本の指で親指を包むように「グー」を握ります。
- 手首を小指側に曲げる: そのまま、手首を小指の方(下の方)へゆっくりと曲げます。
- 痛みを確認: このとき、親指の付け根から手首にかけて「ズキッ!」と強い痛みが走るようであれば、ドケルバン病の可能性が高いと判断されます。
ドケルバン病を放置するとどうなるの?
ドケルバン病(親指側の手首の腱鞘炎)は、「ただの使い痛みだろう」「そのうち治るだろう」と軽く見て放置してしまう人が多い病気です。しかし、無理をして手首を使い続けると、以下のような深刻な状態に悪化する恐れがあります。
安静にしてもズキズキ痛むようになる
初期は「親指を動かした時だけ」の痛みですが、炎症が悪化すると、何もしなくても常に手首がズキズキと痛む(安静時痛)ようになります。
物を落としてしまう・力が入らない
親指に力が入らなくなり、ペットボトルのフタが開けられない、フライパンが持てない、赤ちゃんを抱っこできないなど、日常生活に大きな支障が出ます。痛みをかばって物を落としてしまうことも増えます。
最悪の場合は「手術」が必要になることも
炎症が長期間続くと、腱の通り道(腱鞘)が分厚く硬くなってしまい、親指の筋が完全に引っかかるようになります。ここまで悪化すると、湿布やステロイド注射でも治らなくなり、最終的には局所麻酔をして腱鞘を切り開く「腱鞘切開術(手術)」が必要になるケースもあります。
少しでも違和感や痛みを感じたら絶対に放置せず、まずは親指をしっかり休ませることが重要!
ドケルバン病の主な処方薬
ドケルバン病の治療は、「炎症を抑えること」と「痛みの原因にアプローチすること」を組み合わせて行います。
| 治療薬の種類 | 内容・薬剤例 | 効果のポイント |
|---|---|---|
| 貼り薬(湿布) | ロキソプロフェンテープなど | 腫れている場所に直接作用し、ピンポイントで炎症を鎮めます。 |
| 塗り薬 | ボルタレンゲル・ローションなど | 手首など湿布が剥がれやすい場所でも、しっかり塗り込むことができます。 |
| 飲み薬(鎮痛剤) | ロキソニン、カロナールなど | 内側から全身に作用し、ズキズキする強い痛みを素早く抑えます。 |
| 漢方薬 | 越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)など | 関節の熱や腫れ、水分の滞りを改善し、再発しにくい体質を目指します。 |
症状が強い場合には、炎症を抑えるためのステロイド注射が行われることがあります。
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ドケルバン病(手首の腱鞘炎)は何科を受診するべき?
親指の付け根や手首に痛みを感じたら、まずは「整形外科」を受診するのが最も確実です。骨や腱の専門家として、以下のようなアプローチが可能です。
- 正確な診断: エコーやレントゲンで原因を特定し、「母指CM関節症」など他の病気がないか鑑別します。
- 専門的な治療: 痛みが強い場合は、即効性のある「ステロイド注射」や医療用サポーターの処方が受けられます。
もし近くに整形外科がない場合や、行き慣れたクリニックがある場合は、とりあえず「内科」に相談するのもひとつの方法です。内科でも痛み止めや湿布の処方は可能ですし、必要に応じて適切な整形外科を紹介してもらえます。
「ただの使いすぎ」と放置して悪化させると、最悪の場合は手術が必要になることもあります。痛みが続く場合は無理をせず、まずは受診しやすい医療機関を頼りましょう。

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ドケルバン病のセルフケアと対策
ドケルバン病を早く治すためには、お薬や注射に頼るだけでなく、日常生活の中で「手首を休ませる工夫」を取り入れることが何よりも大切です。
とにかく「親指」を休ませる(使いすぎを防ぐ)
一番の悪化要因は使いすぎです。親指を大きくスワイプするスマホの片手操作は腱鞘炎の大敵ですので、両手で操作するか、音声入力を積極的に活用してください。
また、フライパンや重いカバン、赤ちゃんの抱っこなど、片手や親指の付け根に負担が集中する動作は避け、両手や腕全体で支えるようにしましょう。

サポーターやテーピングで「固定」する
「動かさないようにしよう」と意識していても、日常生活ではついつい親指を使ってしまいます。サポーターやテーピングで物理的に動きを制限することで、炎症部分のこすれを確実にお休みさせることができます。
水仕事中も使えるシリコン製のものや、日常使いしやすい薄手のタイプなど、生活スタイルに合ったものを活用してみてください。
痛みの時期に合わせて「冷やす」「温める」
痛みが出始めで手首が熱を持って腫れている時や、ズキズキ痛む「急性期」は、保冷剤をタオルで包んで10〜15分ほど優しく当て、炎症を鎮めましょう。
一方、お風呂上がりに痛みが和らぐような「長引く痛み」やこわばりがある「慢性期」に入ったら、今度は温めて血流を良くし、筋肉の緊張をほぐすのが効果的です。

手首の負担を減らす「便利グッズ」の活用
生活の中での負担を減らすため、道具に頼るのも賢い選択です。
- スマホリング・スタンド: 指を引っ掛けたり置いたりするだけでスマホが安定し、親指で支える負担がゼロになります。
- 電動調理器具・便利グッズ: 料理中の「切る」「混ぜる」「蓋を開ける」といった手首を酷使する動作は、フードプロセッサーやオープナーなどの便利アイテムに任せて手首を労わりましょう。
ドケルバン病の簡単ストレッチ&マッサージ
痛みが少し和らいできた慢性期や、再発予防としておすすめのケアです。
【※重要なお願い】
手首が熱を持って腫れている時や、何もしなくてもズキズキと痛む「急性期」は、ストレッチをすると逆効果になり炎症が悪化してしまいます。痛みが強い間は絶対にストレッチを行わず、後述する「安静・固定」のセルフケアを優先してください。
腕の筋肉(前腕)をほぐすマッサージ
親指を動かす腱(けん)は、前腕(肘から手首までの腕の筋肉)と繋がっています。痛い手首を直接揉むのではなく、繋がっている腕の筋肉をほぐすのがポイントです。
反対の手を使って、肘から手首にかけての筋肉を優しく揉みほぐすことで、親指の腱にかかる引っ張りの負担を和らげることができます。

親指を優しく引っ張る「指のストレッチ」
手を前方に突き出して、手首を手の甲の方向へ反らします。逆の手で親指を優しくつかみ、そのまま10秒ほど手前に引きましょう。無理に強く引っ張らず、心地よいと感じる強さで行うのがポイントです。

まとめ
ドケルバン病は「ただの使いすぎ」と放っておくと、痛みが慢性化して治りにくくなることがあります。
- まずは「親指を休ませる」ことが第一。
- サポーターや湿布を適切に使うことで、回復を早められる。
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FAQ|ドケルバン病(手首の腱鞘炎)のよくある質問
ドケルバン病は放置しても自然に治りますか?
軽症であれば、親指をしっかり休ませることで自然に治ることもあります。しかし、日常生活で手首を全く使わないことは難しいため、放置すると悪化して慢性化しやすいのが特徴です。痛みが2週間以上続く場合は、無理をせず整形外科を受診しましょう。
湿布や痛み止めを使っていれば治りますか?
湿布や飲み薬は痛みと炎症を和らげてくれますが、根本的な原因である「親指の使いすぎ」を解消しない限り、再発を繰り返してしまいます。薬に頼るだけでなく、サポーターで手首を固定して物理的に「休ませる」ケアを必ずセットで行ってください。
産後に手首が痛むのもドケルバン病の可能性がありますか?
産後は女性ホルモンのバランスが急激に変化して腱の周囲が弱くなるうえに、毎日の抱っこや授乳などで手首を酷使するため、ドケルバン病を発症するお母さんが非常に多くいらっしゃいます。
パソコンやスマホの使いすぎでもなりますか?
はい、近年は「スマホ腱鞘炎」とも呼ばれるほど、スマートフォンの長時間の片手操作(親指でのスワイプ等)や、パソコンのキーボード・マウス操作が原因で発症する方が増えています。こまめに手を休め、両手を使うなどの工夫が大切です。
悪化すると手術が必要になるというのは本当ですか?
本当です。サポーターでの固定やステロイド注射を行っても痛みが取れない場合や、炎症によって腱の通り道(腱鞘)が分厚く硬くなってしまった重症例では、局所麻酔をして腱鞘を少し切り開く「腱鞘切開術」という手術が検討されます(通常は日帰りで行えます)。