血糖値が高いと言われたら?糖尿病の初期症状、原因、治療薬を解説!【医師監修】
自覚症状がなくても、その数値はあなたの体からの重要なサインです。放置すると糖尿病に進行し、様々な合併症のリスクを高める可能性があります。
目次
血糖値とは?なぜ高くなるの?
血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度のことです。
食事で摂った糖質はブドウ糖に分解され、エネルギー源として全身に運ばれますが、この量を調整しているのが膵臓から分泌される「インスリン」というホルモンです。
何らかの原因でインスリンの分泌が減ったり、働きが悪くなったりすると、血液中のブドウ糖が過剰になり、「血糖値が高い」状態になります。

HbA1c(ヘモグロビンA1c)とは
健康診断の結果で血糖値と並んで重要なのが、ヘモグロビンA1c(HbA1c)です。
血糖値が「その瞬間」の数値を表すのに対し、HbA1cは過去1〜2ヶ月間の血糖値の平均を反映します。
そのため、検査当日の食事などに左右されない、より信頼性の高い指標と言えます。

糖尿病の診断基準
「血糖値が高い」状態は、その数値によって「境界型糖尿病(糖尿病予備群)」と「糖尿病」に分けられます。
ご自身の健康診断の結果と見比べて、どの段階にあるのかを確認してみましょう。
| 判定区分 | 空腹時血糖値 | HbA1c(ヘモグロビンA1c) |
|---|---|---|
| 正常型 | 110 mg/dL未満 | 5.6 %未満 |
| 境界型(予備群) | 110~125 mg/dL | 5.6~6.4 % |
| 糖尿病型 | 126 mg/dL以上 | 6.5 %以上 |
※日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド 2024-2025」
一度の検査だけでなく、複数回の検査結果やブドウ糖負荷試験などを踏まえて、医師が総合的に診断します。
糖尿病の原因と種類
糖尿病は、その原因によって主に「1型」と「2型」の2つのタイプに分けられます。
それぞれ、発症のメカニズムが全く異なります。
2型糖尿病:日本人の糖尿病の95%以上
一般的に「糖尿病」と聞いて多くの方がイメージするのが、この2型糖尿病です。
遺伝的に糖尿病になりやすい体質(遺伝的要因)を持っている方が、食べ過ぎや高脂肪食、運動不足、肥満、ストレスといった生活習慣の乱れ(環境要因)が加わることで発症します。
これらの要因によって、インスリンの分泌が減ってしまったり、分泌はされていてもインスリンが効きにくい状態(インスリン抵抗性)になったりすることで、血糖値が下がりにくくなります。
日本の糖尿病患者さんの95%以上がこのタイプです。
主に中高年以降に発症することが多いですが、近年では若い世代にも増えています。
1型糖尿病:生活習慣とは関係なく発症
1型糖尿病は、生活習慣とは一切関係なく発症する、2型とは全く異なるタイプの糖尿病です。
これは自己免疫疾患の一種で、何らかの原因で免疫システムに異常が起こり、インスリンを作り出す膵臓のβ細胞を自ら攻撃し、破壊してしまう病気です。
その結果、体内でインスリンがほとんど、あるいは全く作れなくなってしまいます。
主に子どもや若いうちに発症することが多く、生命を維持するために、体外からインスリンを注射で補う治療が不可欠となります。
その他の原因で起こる糖尿病
1型、2型以外にも、特定の原因によって引き起こされる糖尿病があります。
妊娠糖尿病

妊娠中に初めて発見される糖の代謝異常です。妊娠中は、胎盤から出るホルモンの影響でインスリンが効きにくくなるため、血糖値が上がりやすくなります。
通常は出産後に正常に戻ることが多いですが、妊娠糖尿病になった方は、将来的に本格的な2型糖尿病を発症するリスクが高まるため、産後も定期的な検診が推奨されます。
他の病気や薬剤による糖尿病

膵臓の病気(膵炎や膵臓がんなど)、肝臓の病気、内分泌系の病気(クッシング症候群など)が原因で血糖値が上がることがあります。
また、ステロイド薬の長期使用など、特定の薬剤の副作用として発症することもあります。
糖尿病の症状と合併症
糖尿病は、初期段階では自覚症状がほとんどないことが多いですが、注意していると以下のようなサインが現れることがあります。
- 喉が異常に渇き、トイレの回数が増える
- 食べているのに体重が減る
- 全身がだるく、疲れやすい
- 手足がしびれたり、ピリピリしたりする
これらの症状を放置して高血糖の状態が続くと、全身の血管が傷つき、深刻な「合併症」を引き起こします。
特に、神経障害(手足のしびれ)、網膜症(失明の原因)、腎症(透析の原因)は三大合併症と呼ばれます。
さらに、心筋梗瘍や脳梗塞といった、命に関わる病気のリスクも高めてしまいます。

【糖尿病の症状や合併症について、詳しい解説はこちら!】
→糖尿病の「足」の初期症状。かゆみ・しびれ..意外な症状を医師が徹底解説【写真あり】
→糖尿病の放置厳禁な初期症状・合併症をチェック!原因や予防法は?医師が解説!
糖尿病は何科に行く?検査は?
健康診断などで「血糖値が高い」と指摘されたら、何科に相談すればよいのでしょうか?
また、病院ではどのような検査が行われるのかを解説します。
まずは内科へ相談を
健康診断で血糖値の高さを指摘された場合や、「もしかして糖尿病かも?」と不安な場合は、まずはかかりつけの内科に相談するのが一般的です。
内科では、生活習慣の指導からお薬の処方まで、基本的な管理を行ってもらえます。
より専門的な血糖コントロールや、合併症の管理が必要な場合は、糖尿病内科や内分泌内科が専門となります。
糖尿病の主な検査
診察では、糖尿病の確定診断や、血糖コントロールの状態を把握するために、以下のような検査が行われます。
- 血液検査:
最も基本となる検査で、その時点での血糖値と、過去1~2ヶ月の平均血糖値を反映するヘモグロビンA1c(HbA1c)を測定します。また、合併症のリスクを評価するため、腎機能やコレステロール値なども同時に調べることが一般的です。
- 尿検査:
尿の中に糖が漏れ出ていないか(尿糖)を調べます。尿糖が陽性の場合、血糖値がかなり高い状態であることが推測されます。
- その他の検査:
糖尿病との境界線上にいるかなどを詳しく調べるために、ブドウ糖負荷試験(OGTT)を行うことがあります。これは、ブドウ糖液を飲んだ後の血糖値の変動を測定する検査です。

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糖尿病の薬/治療
食事・運動療法で血糖コントロールが不十分な場合、お薬による治療を開始します。お薬には様々な種類があり、患者さんの状態に合わせて組み合わせて使われます。
インスリンの働きを良くする薬(インスリン抵抗性改善薬)
インスリンは出ているものの、効きが悪くなっている状態(インスリン抵抗性)を改善する、2型糖尿病治療の基本となるお薬です。
ビグアナイド薬
チアゾリジン薬
インスリンの分泌を促す薬
膵臓に働きかけて、インスリンの分泌をサポートするお薬です。
DPP-4阻害薬

血糖値が高い時にだけインスリン分泌を促すため、単独では低血糖を起こしにくいのが大きな特徴です。
特にトラゼンタは、主に腎臓ではなく肝臓から排泄されるため、腎機能が低下した方にも使いやすいとされています。
【代表的なお薬】
→トラゼンタ(リナグリプチン)
→ジャヌビア(シタグリプチン)
SU薬(スルホニル尿素薬)
糖の吸収や排泄を調整する薬
食事からの糖の吸収を遅らせたり、尿への糖の排出を促したりするお薬です。
SGLT2阻害薬

腎臓で一度ろ過された糖が再吸収されるのをブロックし、余分な糖を尿と一緒に排出させる新しいタイプのお薬です。
血糖値を下げるだけでなく、心臓や腎臓を保護する効果も証明されており、近年注目されています。
【代表的なお薬】
→ジャディアンス(エンパグリフロジン)
→スーグラ(イプラグリフロジン)
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糖尿病の予防とセルフケア
2型糖尿病は、日々の生活習慣と深く関わっているため、セルフケアが非常に重要です。これは、すでに治療中の方だけでなく、発症を予防したい「糖尿病予備群」の方にも共通する基本となります。
運動療法

運動は、血糖コントロールにおける最も有効な手段の一つです。
運動には、筋肉が血液中の糖を直接消費して血糖値を下げる短期的な効果と、インスリンが効きやすい体質に改善する長期的な効果があります。
- どんな運動がいい?
ウォーキング、軽いジョギング、サイクリング、水泳といった有酸素運動が特におすすめです。
- どのくらいやればいい?
まずは1回20分~30分、週に3~5日を目標に始めてみましょう。「ややきつい」と感じるくらいの強度が効果的です。
- いつやるのが効果的?
血糖値が上がりやすい食後30分~1時間後のタイミングで運動を行うと、食後の高血糖を抑えやすくなります。
食事療法
食事は、血糖コントロールの土台です。
基本は、総摂取カロリーを守りながら、栄養バランスの取れた食事を規則正しく摂ることです。
甘いジュースやお菓子、早食いや食べ過ぎを避け、野菜から先に食べる「ベジタブルファースト」などを意識するだけでも効果が期待できます。
【糖尿病の食事療法について詳しい解説はこちら!】
→血糖値を下げる食べ物とは?糖尿病を食事で改善させるには?医師が完全解説!

その他の生活習慣
禁煙する

喫煙はインスリンの働きを悪くすることが分かっており、糖尿病の発症リスクを高めます。
禁煙は、糖尿病だけでなく、がんや心筋梗塞、脳梗塞のリスクを下げるためにも非常に重要です。
ストレスを管理する
強いストレスは、血糖値を上げるホルモンの分泌につながります。
趣味の時間を作る、ゆっくり入浴するなど、自分なりのリラックス方法を見つけて、上手にストレスと付き合っていくことも大切です。

糖尿病のよくある質問
高尿酸血症について、よくあるご質問にお答えします。
ご自身の状況と照らし合わせて、解決のヒントを見つけてください。
糖尿病は一度なったら、もう治らないのですか?
現在の医療で糖尿病を「完治」させることはできません。しかし、適切な治療と生活習慣の改善で血糖値を良好にコントロールすれば、健康な人とほとんど変わらない生活を送ることは十分に可能です。
薬を飲み始めたら、一生やめられないのでしょうか?

必ずしもそうとは限りません。
食事や運動によって血糖コントロールが大きく改善すれば、医師の判断のもとでお薬を減らしたり、やめたりできるケースもあります。自己判断で中断せず、まずは主治医に相談しましょう。
甘いものを控えれば、好きなものを食べてもいいですか?
「甘いものだけが悪者」という訳ではありません。
糖尿病の食事でより重要なのは「総カロリー」と「栄養バランス」であり、ご飯やパンなどの炭水化物や脂っこい食事の摂りすぎも血糖値を上げる大きな原因です。
家族に糖尿病の人がいると、自分もなりますか?

ご家族にいる場合、糖尿病になりやすい「体質」を受け継いでいる可能性はありますが、必ず発症する訳ではありません。
バランスの取れた食事や運動習慣を心がけることで、発症を予防したり、遅らせたりすることが可能です。
どんな人が糖尿病になりやすいですか?
ご家族に糖尿病の方がいる、肥満(特に内臓脂肪)、高血圧や脂質異常症がある方はリスクが高いです。
また、運動不足、食べ過ぎ、喫煙といった生活習慣も、発症の大きな引き金となります。
受診や治療の費用はどのくらいかかりますか?
治療は公的医療保険が適用され、自己負担は1割〜3割です。
3割負担の場合、初診で基本的な血液検査を行うと診察・検査で3,000円~5,000円程度、お薬代が院外薬局で別途1ヶ月あたり1,500円~が目安です。

血糖値が高いと言われたけれど、自覚症状がないので放置してもいいですか?
絶対に放置してはいけません。自覚症状がないまま血管へのダメージが静かに進行し、失明や腎不全、心筋梗塞や脳梗塞といった深刻な合併症に繋がるため、糖尿病は「サイレントキラー」と呼ばれています
何科を受診したらいいですか?

健康診断などで初めて指摘された場合は、まずはお近くの内科やかかりつけ医を受診してください。
より専門的な治療が必要な場合は、そこから「糖尿病内科」などを紹介してもらうのが一般的な流れです。
オンライン診療でも診察できますか?
はい、可能です。特に定期的な通院が必要な糖尿病の治療において、オンライン診療は便利な選択肢です。
自宅から診察を受けてお薬を処方してもらうことで、忙しい方でも治療を継続しやすくなります
血糖値が気になる場合はウチカラクリニックに相談を!
糖尿病の改善には、この記事でご紹介した食事や運動といったセルフケアが基本となります。しかし、それだけでは血糖コントロールが難しい場合には、医師が処方する様々なお薬が頼りになります。血糖値が高い状態を放置すると、深刻な合併症につながるため、早期の対応が何よりも大切です。
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