デパス（エチゾラム）の効果・副作用は？効果時間はどのくらい？毎日飲み続けるとどうなるの？【医師監修】

デパスの3大副作用

耐性

まず、飲み続けると起きやすい注意点は「耐性」。というもの。
この耐性というのは薬を飲み続けていると脳がだんだんその薬に慣れていき、今までは効いていた薬がだんだん効かなくなっていってしまう状態のことをいいます。

例えば、デパスでも最初は1錠でぐっすり眠れていたのに、だんだん1錠では効かなくなり、2錠、3錠と量を増やさないと同じ効果が得られなくなることがあります。特にデパスは毎日飲む人が多い薬な為、耐性という現象が起きやすいです。
デパスの最大量は1日3mgなんですが、この量を超えて、用法用量を破って多く飲んでしまう人も中にはいます。

依存性

そしてデパスで耐性の次に注意したいのが「依存性」。

先ほど、デパスは非常に効果が強く切れの良いお薬だと説明しました。
不安感、睡眠、肩こりなど、普段の生活で非常に悩みの種である症状がデパスを使用することで軽減することで「デパスさえ飲んでいれば、何とかやっていける」「デパスがないと、もうダメだ」といった状態に「精神依存」陥りがちです。

デパスの使用によって日常生活が好転する場合もあるため必ずしもデパスに依存することが100%悪であるわけではありません。頭にとどめておきたいのが今お話したようにデパスは「耐性」が起きやすい薬。
デパスに依存して毎日使い続けていることで耐性がつき段々と効果が得られず量を増やしても効果が得ることができないケースがあります。

離脱

デパスに依存し耐性が起きることで、飲む量が増えて薬が効かなくなる事で
「このままではいけない。デパスから脱却しなければ」と薬をやめようとするケースがあります。
このような場合に「離脱症状」が起きます。

デパスを毎日のように内服していると、体がデパスに慣れてしまい、「身体依存」という状態が作られます。
冒頭で説明したGABAがしっかり分泌されているのが当たり前の状態になり、脳も、デパスが作用しているのを見て「これが普通の状態」と認識するようになります。

離脱症状の仕組みは、いきなりデパスをやめてしまうとGABAが分泌されていない状態に戻り「異常事態」が起きた！と脳が警報を出すことで、自律神経の混乱なとから様々な症状が出現します。

お薬をやめたことで症状が跳ね返ってきて、かえって前よりも眠れなくなる、「反跳性不眠」もあります。

このように、デパスは効果も強い、しっかり効く薬なんですが、

• だんだん同じ量では効かなくなる耐性
• デパスなしで過ごせなくなる依存
• やめる時に跳ね返りの症状が起きる離脱

大きく3つの注意点があるので、安易に飲み続けて症状が軽減すれば良いと言う訳ではなく、その先に苦労や辛い思いをする場合もあるのが要注意なポイントです。

デパスのその他の副作用

転倒・せん妄

高齢の方には「筋弛緩作用」が要注意で、足腰の筋肉をゆるめてしまうことで転んだり、倒れたりする転倒のリスクあります。
不眠でデパスを飲み始めたが、ある日ふらついて転倒し骨折してしまうといったエピソードは珍しくありません。
また急に量を減らした時に「せん妄」と呼ばれる、一時的に認知症のような状態になってしまう副作用も知られています。

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デパスは海外でも使われてるの？

こういった弊害もあるため、デパス（エチゾラム）は、世界的に見てもクリニックで処方されている所は非常に少ないです。
世界の主要国の中では実は日本や韓国、スペインなど本当に一部の国でしか処方が認められておらず、例えばアメリカでは処方は禁止、研究用での使用しか認められていません。

ここまでのお話で非常に取り扱いとしてはデリケートなお薬だとおわかりいただけたと思うのですが、日本ではこのデパスの濫用について軽視されてきた部分があり、「向精神薬」と呼ばれる処方日数の制限があるお薬に指定されたのも2016年の9月とかなり最近のこと。

慎重に処方すべきお薬なのですが、それまでの期間は処方日数の制限がなくデパスを処方できており、肩こりなどへの効果のあることから、内科や整形外科などで安易に処方される所もあったようです。

そのため、前々からデパスが処方され飲み続けている。あるいは今回説明した症状に困っているという方もいらっしゃると思います。

デパスとの付き合い方について

デパスとの正しい付き合い方について説明していきます。

短期間で済ませる

まず、デパスを飲み始める場合に必ず心がけておくべきことは、「極力短期間で、できるだけ少ない量で済ませる」こと。

前半でお伝えしたように、デパスは依存性も耐性もある薬なので、ずっと使う前提で使うのがそもそも良くありません。

あくまでずっと飲み続けるのではなく「短期的に使うべき薬」として認識した上で、デパスの使用は必要最小限にとどめましょう。

今は依存性や耐性が弱い睡眠薬や抗不安薬もありますから、そちらに切り替えたり、併用するというのも一つの手です。　

デパス（エチゾラム）を毎日飲み続けると起きる体の変化のまとめ

• デパスは「ベンゾジアゼピン系」という薬の一種
• 抗不安、睡眠、筋弛緩の3つの作用があり、不安や不眠、肩こりや頭痛にも効く薬。
• デパスの特徴は、実感できる効果の強さと切れの良さ。依存してしまったり、耐性がついて効きづらくなったり、やめようにも離脱症状が出たりすることも。
• 最初に使う場合は依存性や耐性の低い薬から試す。
• 副作用がなければ必ずしもやめる必要はないが、やめたい場合は慌てず、少しずつ自分にあったやり方でお薬の量を減らす。

デパスは過去安易な処方が行われていた経緯もあり、助かっている人もいる一方で本当に多くの人がやめたくてもやめられない、辛い依存や離脱の症状に苦しんでいる薬です。

そして昨今では少なくなったとはいえ、安易に処方されるケースは今でもあります。

だからこそ、今回御覧の皆さまには、しっかりと正しい知識を身に着け、そういった処方をされた際に対応できるように、逆に安易な処方を求めないようになり、一人でも多くの人がデパスの正しい医学知識を身に着け、正しく付き合っていきましょう。

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