氷食症の治し方|氷をバリバリ食べるのは病気?原因やチェック方法を医師が解説

ピル外来・婦人科内科
氷食症の治し方|氷をバリバリ食べるのは病気?原因やチェック方法を医師が解説
監修者
森 勇磨

「無性に氷が食べたくてたまらない」
「寒い日でも氷をバリバリ食べてしまう」
「これってただの癖?それとも何かの病気?」

そんなお悩みはありませんか?
実は、氷を異常に食べてしまうのは氷食症(ひょうしょくしょう)という状態かもしれません。

ただの食感の好みではなく、体からの「あるサイン」である可能性が高いのです。

この記事では、原因から症状、改善するための対策まで、医師がわかりやすく丁寧に解説します。

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氷食症とは?

氷食症とは、栄養のないもの(この場合は氷)を無意識に、かつ大量に食べてしまう状態のことです。
一般的には、1日に製氷皿1枚分以上の氷を毎日食べてしまう場合、氷食症の可能性があると言われています。

氷を食べる習慣が1ヶ月以上続く場合は、氷食症(異食症)の一種と考えられます。

 

氷食症の原因

なぜ氷を食べたくなってしまうのでしょうか。
主な原因は、体内の「栄養不足」です。

  • 鉄分不足鉄欠乏性貧血): 最も多い原因です。鉄分が足りなくなると、脳に酸素が十分届かなくなり、自律神経が乱れて体温調節がうまくできなくなります。その結果、火照った口の中を冷やすために氷を求めてしまうと考えられています。
  • ストレスや精神的な要因 強い不安やストレスを感じている時に、氷を噛む刺激でリフレッシュしようとして癖になることがあります。
  • 妊娠による体質の変化 妊娠中は赤ちゃんに栄養を送るため、お母さんが貧血になりやすく、一時的に氷食症になる方が多いです。

氷食症の症状

次のような場合は、医療機関での相談を検討しましょう。

  • 毎日のように氷を食べてしまう
  • 量が増えている
  • 疲れやすさや息切れがある

氷を食べる以外にも、以下のようなサインに心当たりはありませんか?

  • 疲れやすい・体がだるい: 貧血が進んでいるサインです。
  • 顔色が悪い・めまいがする: 立ちくらみが起きやすくなります。
  • スプーン状の爪: 爪が薄くなり、反り返ってしまうことがあります。

 

放置するリスク:放っておくとどうなる?

「氷を食べているだけなら無害では?」と思われがちですが、放置すると以下のようなリスクがあります。

  • 歯を痛める 硬い氷を噛み続けることで、歯が欠けたり、エナメル質が削れて知覚過敏になったりします。
  • 胃腸の冷え 大量の氷で内臓が冷え、消化不良や下痢を引き起こします。
  • 貧血の悪化 原因である鉄分不足を放置すると、心臓に負担がかかったり、重大な病気(稀に消化管の癌などによる出血)を見逃したりする可能性があります。
  • 体重の変化 氷自体で太ることはありませんが、代謝が落ちて太りやすくなったり、逆に栄養不足でやつれたりすることがあります。

 

氷食症の治療

原因の多くは貧血なので、鉄分を補うことが治療の近道です。

お薬の種類代表的な薬剤名特徴と効果
内服薬(鉄剤)フェロミアフェルムなど体内の鉄分を効率よく補う飲み薬です。氷への欲求を抑えるための第一選択となります。
内服薬(シロップ・粉)インクレミンなど錠剤が飲みにくい方や、お子様に処方されます。甘い味で飲みやすいのが特徴です。
胃腸を整える薬ムコスタセルベックスなど鉄剤を飲むと胃がムカムカする方に、胃の粘膜を守るためにセットで処方されることがあります。

💡 お薬を飲む際のポイント

  • ビタミンCと一緒に 鉄分はビタミンCと一緒に摂ると吸収率が上がります。食事やサプリメントで意識してみるのもおすすめです。
  • 便の色が変わります 鉄剤を飲むと、便が黒っぽくなることがありますが、これはお薬の成分によるものなので心配いりません。
  • 勝手にやめない 氷を食べたい気持ちが収まっても、体内の「鉄分貯金(フェリチン)」が溜まるまでには時間がかかります。医師に言われた期間はしっかり飲み続けましょう。

 

原因が貧血ではなく、強迫的な行動(癖や依存)、ストレス反応である場合は不安や衝動を抑える薬が処方されます。

お薬の種類薬剤名特徴と効果
抗不安薬リーゼソラナックスなど脳の緊張をほぐし、気持ちをリラックスさせます。イライラや不安からくる「氷への衝動」を和らげるのに効果的です。
SSRI(抗うつ薬)ジェイゾロフトレクサプロなど脳内のセロトニンを整えます。「どうしても氷を食べずにはいられない」という強いこだわり(強迫的な思考)を薄める助けになります。
睡眠導入剤ベルソムラなど質の良い睡眠をサポートします。寝不足による自律神経の乱れが原因の場合、しっかり眠ることで日中の氷への欲求が落ち着くことがあります。

※オンライン“初診”では麻薬・向精神薬は処方対象外となります。
対面診療(他院)で診療情報を把握した再診以降に処方が可能となります。

 

何科に受診すればいい?

  • まずは「内科」へ: 血液検査で鉄分が足りているかすぐに確認できます。
  • 女性の場合は「婦人科」: 生理が重いことが原因であれば、婦人科でのケアが有効です。
  • 精神的な場合は「心療内科」へ:血液検査をして「貧血ではない(鉄分は足りている)」のに、どうしても氷を食べるのがやめられない場合、それは強迫的な行動(癖や依存)やストレス反応である可能性が高まります。

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氷食症のセルフケア・対策

お家でできる「鉄分貯金」の方法です。

  • 食事で鉄分を摂る レバー、ほうれん草、赤身の肉や魚などを積極的に食べましょう。ビタミンC(レモンなど)と一緒に摂ると吸収率がアップします。
  • 体を冷やさない 氷が食べたくなったら、温かい飲み物をゆっくり飲んで口の中と胃を落ち着かせましょう。
  • 十分な休息 ストレスを溜めないよう、リラックスする時間を作ってください。

 

まとめ

氷食症は、決して「ただの癖」ではありません。体が「鉄分が足りないよ!」と叫んでいるサインかもしれません。

  • 氷を1日中食べてしまうなら、一度血液検査を。
  • 鉄分を補えば、驚くほどスッキリ治ることが多い。

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FAQ|氷食症に関するよくある質問

なぜ鉄分が不足すると氷を食べたくなるのですか?

はっきりとした理由は解明されていませんが、鉄欠乏性貧血になると自律神経が乱れて体温調節がうまくいかなくなったり、口の中が炎症(舌炎など)を起こして熱を持ったりするため、冷たい氷で冷やしたくなるのではないかと考えられています。

自宅の冷凍庫の氷をどれくらい食べたら「氷食症」ですか?

明確な基準はありませんが、目安として「毎日製氷皿1皿分(約10〜12個)以上の氷を、無性に食べたくなり、それが1ヶ月以上続いている」場合は、氷食症の可能性が極めて高いです。

病院は何科を受診すればいいですか?

まずは「内科」を受診してください。血液検査を行えば、貧血や体内の鉄分不足(貯蔵鉄の減少)がすぐに分かります。女性で月経(生理)の経血量が多いことが原因と疑われる場合は、「婦人科」への受診もおすすめです。

氷を食べるのをやめられない時、体にどんな悪影響がありますか?

体を内側から冷やすため、冷え性、胃腸の機能低下(下痢や便秘)、基礎代謝の低下を招きます。また、固い氷をガリガリと噛み続けることで、歯が欠けたりエナメル質が傷ついたりして、知覚過敏を引き起こす原因にもなります。

氷を食べたい欲求を今すぐ抑える対策はありますか?

根本的な解決にはなりませんが、一時的な紛らわせ方として「冷たいお水や炭酸水を少しずつ飲む」「ガムを噛む」「飴を舐める」などが有効です。また、口の中の乾燥や熱感を和らげるために、こまめにうがいをするのもおすすめです。

鉄分のサプリメントを飲めば、氷食症は治りますか?

原因が鉄欠乏性貧血であれば、医療機関で処方される鉄剤や市販の鉄分サプリメントを摂取することで、驚くほど自然に氷への欲求が消えていきます。ただし、サプリの自己判断での過剰摂取は胃腸障害を起こすことがあるため、まずは一度病院で血液検査を受けるのが一番の近道です。

監修者情報
森 勇磨

森 勇磨

ウチカラクリニック代表医師

東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。

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