「うつ病かもしれないけど、どうやって治すの?」 「治療にはどのくらい時間がかかるの?」 「本当に元の自分に戻れるんだろうか…」
うつ病の治療と聞くと、先が見えない不安や、「辛い治療なのでは?」という恐怖を感じるかもしれません。 しかし、うつ病は決して「心の弱さ」や「甘え」ではなく、適切な治療によって、回復が期待できる「脳の病気」です。
この記事では、「うつ病の治療」の基本的なステップと、回復の過程で見られる「治る兆候」について、医師が分かりやすく解説します。
目次
「うつ病」とは?
うつ病は、「心の風邪」と例えられることもありますが、実際はもっと深刻で、脳の機能や働きのバランスが崩れている状態です。
気分が落ち込むだけでなく、意欲や集中力の低下、眠れない、食欲がない、体がだるいといった、心と体の両方に様々な症状が現れます。
決して「気持ちの問題」や「甘え」ではなく、誰にでも起こりうる病気であり、治療には十分な休養と専門的なサポートが必要です。
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うつ病の治し方|回復の流れは?
「うつ病の治し方」は、やみくもに進めるのではなく、回復の段階に応じた「3つのフェーズ(時期)」があります。それぞれの時期で、治療の目標が異なります。
※ここで示す期間はあくまで目安であり、症状の重さや合併症の有無によっては、これより長くなることもあります。
急性期(〜3ヶ月程度)

【目標】
辛い症状を和らげ、脳と体をしっかり休ませること。
【やること】
この時期は、脳や体の働きがかなり落ちている時期です。
何よりも「休養・環境調整」を最優先します。安心して休むために、医師の判断のもと「薬物治療」も開始し、不眠や不安、気分の落ち込みといった辛い症状を軽減させます。
回復期(〜6ヶ月程度)

【目標】
症状が安定したら、少しずつ活動を再開し、「元の生活」に戻るためのリハビリを行うこと。
【やること】
治る兆候が見え始める時期です。しかし、ここで焦ると症状がぶり返すため、治療は自己判断で中断せず継続します。
並行して、再発予防のために「精神療法(カウンセリング)」を開始し、ストレスへの対処法などを学びます。
維持期(1年以上)

【目標】
回復した状態を維持し、再発を確実に防ぐこと。
【やること】
うつ病は再発しやすい病気です。「治った!」と思っても、脳はまだ不安定な状態です。
医師と相談しながらお薬など治療を継続し、安定した状態を確認しながら、数ヶ月単位でゆっくりとお薬を減らしていきます。
上記の治療フェーズに合わせて、次に紹介する治療法を組み合わせて行います。
うつ病の治療法【休養・環境調整】
十分な休養をとって心と体を休ませることはうつ病治療の第一歩です。職場や学校、家庭などで受けるストレスを軽減できるように環境調整をしてみましょう。

【例えば…】
- 職場での配置転換
- 残業時間を短縮してもらう
- 家事を分担して手伝ってもらう
- 休職・休学でお休み期間を作る
うつ病になる方の性格的な傾向として、生真面目で責任感があり自分に厳しい方が多いので、休養をとったり、環境調整をお願いしたりすることで職場や家族に迷惑をかけてしまうのではないかと考えてしまうかもしれません。
しかし、焦らずに休養をとって、自分のできることを無理なくできる環境を作ることが回復への早道となります。主治医に相談の上、職場の上司や同僚、担任の先生、家族にお願いしてみましょう。
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また、うつ病の症状としてなかなか寝付けない、あるいは早朝に目が覚めてしまうといった「睡眠障害」や「食欲不振」を訴える方が多くみられます。
規則正しい十分な睡眠とバランスのとれた食事は、健康な心と体を取り戻すためには欠かせませんから、そのような症状がある場合には医師に相談してみましょう。

うつ病の治療法【薬物治療】
多くの場合、うつ病の治療は休養や環境調整とあわせて薬による治療を組み合わせて行います。

現在、日本で用いられている主なうつ病治療薬はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)と呼ばれる「抗うつ薬」です。
そのほかにも患者さんの症状に合わせて「抗不安薬」「睡眠導入薬」「気分安定薬」「非定型抗精神病薬」などが使用されます。
人によって効果に違いはありますが、うつ病の治療薬は飲んですぐに効果が現れるものではなく、焦らずに服薬を継続する必要があります。 また、勝手に薬の量を増やしたり減したり中断したりすると、副作用が起きる可能性がありますので、かならず主治医の指示に従って服薬するようにしましょう。
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薬物治療における注意点
躁うつ病の方がうつ病の治療薬(抗うつ薬)だけを飲むと、気分が上がりすぎて「躁状態」になったり、気分の波がより激しく不安定になったりする(ラピッドサイクラー化)危険性があります。
過去に気分が異常にハイになったり、活動的になりすぎたりした時期(躁状態)がある方や、ご家族に双極性障害(躁うつ病)の方がいる場合は、使う薬を慎重に選ぶ必要があります。必ず医師に伝えるようにしてください。
うつ病の治療法【精神療法】
十分な休養・環境調整と薬物治療を組み合わせることでうつ病はかなり回復するといわれていますが、うつ病の原因となったストレスを振り返って対処法を学んで調子の良い状態を維持し、再発を防ぐ目的で行われるのが精神療法です。
うつ病になりやすいといわれている生真面目で責任感のある性格は、常識的で社会性があり本来好ましいものですが、言い換えれば、仕事などで手を抜くことができず完璧を求めてしまったり、過度に自分を責めてしまったりするためにストレスを感じやすい性格ということができます。
認知行動療法

なにか困った事にぶつかった時に起こりがちな悲観的な物事の捉え方や考え方のくせを改善することで、マイナス思考がうつ状態を悪化させる悪循環を断ち切る方法を学びます。
対人関係療法

うつ病を引き起こす要因となった対人関係の問題を解消することで、ストレスを軽減させる目的で行われます。
対人関係が改善されると周囲の人にも受け入れられやすくなるので、回復に向けたサポートが受けやすくなるというメリットもあります。
これらの精神療法は薬物治療とあわせて行うことで効果を発揮します。精神療法の実施にあたっては、それぞれの患者さんに応じて実施時期や内容が異なりますから、医師の指示に従いましょう。
うつ病の治療法【その他の治療】
うつ病の治療には上記のほかにも下記のようなさまざまな治療法があります。
運動療法
心臓に負担にならない程度の有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、サイクリングなど)を行う治療法で、薬物治療と組み合わせて行います。

高照度光療法
非常に明るい光(2500ルクス以上)を1日1〜2時間程度照射する治療法です。(※主に季節性うつ病に用いられます)

修正型電気けいれん療法(m-ECT)
全身麻酔と筋肉けいれんを抑える薬を使用して、脳に数秒間の電気刺激を与える治療法です。
重篤な場合や深刻な焦燥感、強い希死念慮(死にたいと思う気持ち)がある場合、副作用などの理由で薬物治療が難しい場合などに用いられます。

経頭蓋磁気刺激法(TMS)
特殊な機械で磁場を発生させ、そこで生じた誘導電流で神経細胞を刺激する方法です。

(※)ECTやTMSは、主に専門の医療機関や大学病院などで行われる治療法であり、すべての医療機関やオンライン診療で受けられるわけではありません。
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うつ病が治る兆候はあるの?
うつ病からの回復は、一直線に右肩上がりで良くなるわけではありません。 「少し良くなった」と思ったら「また悪くなった」というように、小さな波を繰り返しながら、ゆっくりと回復していくのが一般的です。
うつ病が治る具体的な兆候
身体症状が先に改善
心の元気よりも先に、「体の症状」が改善し始めることが多いです。
- 「よく眠れるようになった」(特に、朝までぐっすり眠れた日が増える)
- 「食欲が出てきた」「食べ物を美味しいと感じる」
- 「朝、体が少し動くようになった」
感情・思考の変化
これまで無関心だったことに、少しだけ心が動くようになります。
- 「テレビを見て、少し笑えた」
- 「好きな音楽を聴いてみようかな、と思った」
- 「天気が良いな、と感じた」
- 「自分を責める気持ち(罪悪感)」が少し和らぐ
身だしなみへの関心
生きるエネルギーが回復してくると、外見への関心が戻ってきます。
- 「お風呂に入るのが億劫でなくなった」
- 「髭を剃ろう、化粧をしてみようと思った」
- 「パジャマ以外の服に着替えられた」

回復期の注意点
このように少し元気が出てきた(動けるようになった)時期は、焦って活動を再開しすぎたり、「もう大丈夫だ」と無理をしたりしがちです。
また、判断力が完全に戻っていないうちに、退職や離婚などの大きな決断をしてしまいやすい危険な時期でもあります。治る兆候が見えてきた時こそ油断せず、必ず医師と相談しながら、ゆっくりと社会復帰(リハビリ)を進めていきましょう。
ご家族や周りの方にできること
ご本人と同じくらい、そばにいるご家族も不安で辛い思いをされていることでしょう。うつ病のご本人への接し方には、回復をサポートするための大切なポイントがあります。
「頑張れ」と励まさない
これは最も有名ですが、最も重要です。ご本人は、すでに「頑張りすぎた」結果、脳が不調になっています。
「頑張れ」という言葉は、回復を妨げる最大のプレッシャーになります。「怠けている」と責めるのも厳禁です。
「休むこと」を許可し、環境を整える
必要なのは励ましではなく、「何もせず、ゆっくり休んでいいんだよ」という安心できる環境です。「休んで申し訳ない」という本人の罪悪感を和らげ、「休むのが今のあなたの仕事だよ」と伝えてあげてください。
本人の言葉を「傾聴」する
アドバイスや説教をしようとせず、まずは「そうだね」「辛かったね」と、本人の辛い気持ちを遮らずに聴いてあげる(傾聴する)ことが、何よりの支えになります。
大きな決断をさせない
治療中は判断力が低下しています。もし本人が「会社を辞める」「離婚する」などと言い出しても、「今は大切な決断はしないでおこう。元気になってからもう一度考えよう」と、優しく制止してください。
受診をサポートする
ご本人が「病院に行く元気もない」場合は、代わりに予約を取ったり、オンライン診療の準備を手伝ったりするなど、受診へのハードルを下げてあげることが非常に重要です。

よくあるご質問(FAQ)
Q. うつ病の治療期間は、どれくらいで治りますか?
個人差が非常に大きいため一概には言えませんが、焦らないことが一番大切です。一般的に、お薬などで症状をしっかり抑える「急性期」に数ヶ月、症状が安定してリハビリを行う「回復期」に数ヶ月〜半年、再発を防ぐ「維持期」に1年以上、といった段階的な治療が必要になることが多いです。
Q. 薬は一度始めたら、やめられなくなりますか?
医師の指示通りに服用することが大切です。症状が良くなったからといって自己判断で急にやめると、症状がぶり返すことがあります。症状が安定した後も、再発を防ぐために一定期間飲み続ける必要がありますが、必ず医師と相談しながら安全に減薬・中止していきますので、ご安心ください。
Q. うつ病の治療中、やってはいけないことは何ですか?
「焦ること」「自分を責めること」「大きな決断(退職、離婚、引っ越しなど)をすること」の3つです。治療中は判断力が低下しているため、重要な決断は回復して判断力が戻るまで先延ばしにしましょう。
Q.オンラインではなく、すぐに救急車や病院に行くべきラインは?
以下の場合はオンライン診療では対応できません。 命を守るため、直ちに(夜間休日でも)お近くの精神科救急窓口や救急車(110番)にご連絡ください。
- 「死にたい」という気持ちが具体的で、行動に移しそうな場合。
- 幻聴や妄想など、現実との区別が難しくなっている場合。
- 全く水分や食事がとれず、衰弱している場合。
まとめ
うつ病は、回復に時間がかかり、途中で不安になることもあるかもしれません。 しかし、適切な治療を受ければ、回復が期待できる病気です。
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この記事の監修者

ウチカラクリニック代表医師
森 勇磨
経歴
東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。













