息苦しい、喘鳴(ぜえぜえ)の原因は?治療、発作の対処法まで医師が解説
目次
息苦しさ・喘鳴とは?よくある症状と原因
多くの人を悩ませる呼吸の苦しさ。まずは、その症状と原因について詳しく見ていきましょう。
息苦しさ・喘鳴とは?

「息苦しさ」とは、“十分に空気が吸えない”、”呼吸がしにくい”と感じる主観的な感覚のことです。
一方、「ぜえぜえ」「ヒューヒュー」という音は、医学的には「喘鳴(ぜんめい)」と呼ばれ、空気の通り道である気管支が狭くなることで生じる、呼吸に伴う異常な音を指します。特に、息を吐くときに聞こえやすいのが特徴です。
息苦しさ喘鳴でよくある症状
息苦しさや喘鳴は、以下のような症状を伴うことがよくあります。
- 息を吸う時よりも、吐く時の方が苦しい
- 呼吸に合わせて「ヒューヒュー」「ぜえぜえ」という音がする
- 咳や痰が、特に夜間から早朝にかけて出やすい
- 胸が締め付けられるような感じ、圧迫感がある
- 横になると咳き込んでしまい、座っている方が呼吸が楽
- 軽い運動(階段の上り下りなど)でも息切れがする
これらの症状は、風邪をひいた時や、季節の変わり目、天気が悪い日などに悪化することがあります。

息苦しさ・喘鳴の原因
息苦しさや喘鳴を引き起こす原因は様々ですが、最も代表的なのは気管支喘息です。
気管支喘息
繰り返す息苦しさや喘鳴の最も一般的な原因です。アレルギーなどが原因で気道(空気の通り道)に慢性的な炎症が起こり、非常に敏感になっている状態です。
そのため、ホコリや花粉、ウイルス、ストレスなどのわずかな刺激でも気道が急激に狭くなり、「発作」として息苦しさや咳、喘鳴が起こります。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)
主に長年の喫煙が原因で、肺に炎症が起きて呼吸がしにくくなる病気です。階段を上る時などの息切れから始まり、徐々に進行していきます。
アレルギー
食べ物や薬などによる重いアレルギー反応(アナフィラキシー)では、急激な息苦しさや喘鳴が起こり、命に関わることがあります。
心臓の病気(心不全など)
心臓のポンプ機能が低下すると、肺に水が溜まってしまい(肺うっ血)、横になると苦しくなるなどの症状が出ます。
パニック障害・過換気症候群
強い不安やストレスが原因で、呼吸が速く浅くなり、息苦しさを感じることがあります。
息苦しさ・喘鳴は何科に行く?
息苦しい症状が続く場合は、呼吸器内科やアレルギー科を受診します。
診察では、まず詳しい問診(いつ、どんな時に症状が出るかなど)が行われ、原因を特定するための検査を実施します。
- 聴診:
医師が聴診器を胸に当て、「ヒューヒュー」「ぜえぜえ」という喘鳴の音を確認します。 - 呼吸機能検査(スパイロメトリー):
機械に向かって思い切り息を吐き出し、空気の通り道が狭くなっていないかを調べる、喘息診断の中心となる検査です。 - アレルギー検査:
アレルギーが原因と考えられる場合に、血液検査などで原因物質(アレルゲン)を特定します。 - 胸部レントゲン・CT検査:
肺炎やCOPD、心臓の病気など、喘息以外の病気がないかを確認するために行われます。

息苦しさ・喘鳴の受診目安
息苦しさは、時に命に関わる危険なサインです。特に喘息の発作は、急激に悪化することがあります。
息苦しさ、救急車を呼ぶべき?危険なサインのチェックシート
□横になれず、座らないと呼吸ができない
□呼吸が速く、肩を上下させて必死に息をしている
□会話が途切れ途切れにしかできない
□顔色が悪く、唇や爪の色が青紫色になっている(チアノーゼ)
□意識がもうろうとしている
□発作止めの吸入薬を使っても、症状が全く改善しない、または悪化する
これらの症状は、重度の発作であり、窒息の危険性があります。ためらわずに救急車を呼ぶか、すぐに救急外来を受診してください。

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息苦しさ・喘鳴の治し方/薬
特に気管支喘息の治療は、発作を予防するための日々の治療と、発作が起きてしまった時の治療を、きちんと使い分けることが重要です。
長期管理薬(コントローラー)
症状がない時でも毎日使用し、気道の炎症を抑えて発作が起きにくい状態を保つ薬です。
吸入ステロイド薬/長時間作用性β2刺激薬 配合剤
吸入ステロイド薬(単剤)
ロイコトリエン受容体拮抗薬(飲み薬)

アレルギー反応を抑え、特に鼻づまりを伴う喘息に効果的な飲み薬です。
【代表的な薬】
モンテルカスト錠など
長時間作用性β2刺激薬(貼り薬)

気道を広げる効果が長く続く貼り薬で、主に夜間の咳や喘息症状の予防に使われます。
【代表的な薬】
ホクナリンテープなど
発作治療薬(リリーバー)
発作時に狭くなった気道をすばやく広げ、苦しい呼吸を楽にする、発作が起きたときに使うお薬です。
短時間作用性β2刺激薬(吸入薬)

発作時に狭くなった気道を数分で広げ、苦しい呼吸を楽にします。
【代表的な薬】
メプチンエアーなど
抗ヒスタミン薬(飲み薬)
アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎などを合併しており、それが喘息の引き金になっている場合に処方されます。
抗ヒスタミン薬
喘息を直接治療する薬ではありませんが、アレルギー症状を抑えることで、気道への刺激を減らし、発作を予防する効果が期待できます。
お子さん向けのお薬
お子さんの喘息治療には、吸入を補助する器具を使ったり、飲みやすいように作られたお薬(レボセチリジン塩酸塩ドライシロップ、アレロック顆粒、キプレス細粒・チュアブル錠など)が年齢に合わせて処方されます。

市販薬で治療する場合の注意点
ドラッグストアでも、咳や「ぜえぜえ」を鎮めるための市販薬(飲み薬や吸入薬)が販売されています。
しかし、気管支喘息は、医師の診断のもとで、日々の炎症を抑える「長期管理薬(コントローラー)」を継続することが治療の基本です。
市販の発作止めだけに頼っていると、気道の根本的な炎症は改善せず、かえって大きな発作を引き起こすリスクが高まります。自己判断での治療は非常に危険ですので、必ず専門医に相談してください。
息苦しさ・喘鳴の対処法・予防
薬による治療と合わせて、発作が起きた時の適切な対処法を知っておくこと、そして日々の生活で発作を予防することが、喘息などの呼吸器疾患をコントロールする上で非常に重要です。
発作が起きた時の対処法
息苦しさの発作が起きたら、まずは慌てず、落ち着いて行動することが大切です。パニックになると、さらに呼吸が苦しくなってしまいます。
慌てず、楽な姿勢をとる
まずは安全な場所に座りましょう。横になるよりも、少し前かがみになってテーブルや自分の膝に手をつく姿勢(起坐呼吸)をとると、息が楽になります。
衣服のベルトやネクタイなども緩めて、体をリラックスさせましょう。
発作治療薬(リリーバー)を使う
医師から処方されている発作止めの吸入薬(リリーバー)を、指示された通りに使いましょう。
吸入器の使い方の詳しい解説はこちら⇩
【保存版】吸入器の正しい使い方・管理方法を医師が解説
ゆっくりとした呼吸を意識
息を吐くことに集中しましょう。「口すぼめ呼吸」が効果的です。鼻からゆっくり息を吸い、口をろうそくの火を吹き消すようにすぼめて、吸うときの2倍くらいの時間をかけるつもりで、ゆっくりと長く息を吐き出します。これにより、狭くなった気道が広がりやすくなります。
改善しない場合はためらわずに助けを呼ぶ
発作止めの吸入薬を10〜15分経ってもう一度使っても良くならない場合や、唇の色が紫色になる、意識がもうろうとするなど、「受診目安のチェックリスト」に当てはまる症状が出た場合は、命に関わる危険なサインです。迷わず救急車(119番)を呼んでください。
発作を予防するための日常生活
症状がない時でも、日々の生活習慣を見直すことが、発作のない安定した状態を保つための鍵となります。
処方された薬を正しく続ける
喘息は、症状がない時でも気道に「火事の火種」のようなくすぶる炎症が常にあります。毎日使う長期管理薬(コントローラー)は、この火種を消し続けるための非常に重要な薬です。
症状がないからと自己判断でやめてしまうと、火種が再燃し、風邪などをきっかけに大きな発作に繋がってしまいます。
アレルゲンを徹底的に避ける
アレルギーが原因の場合、その原因物質を生活環境から遠ざけることが大切です。ハウスダストが原因であれば、こまめな掃除機がけ、寝具へのアレルギー対策カバーの使用、空気清浄機の活用などが有効です。
花粉症の場合は、シーズン中はマスクやメガネを着用し、帰宅時には衣服や髪についた花粉を払い落としましょう。
体調管理と環境の変化に注意
風邪やインフルエンザは、喘息発作の最大の引き金です。手洗いやうがいを徹底し、ワクチン接種も検討しましょう。また、急激な温度変化や気圧の変化も気道を刺激します。
冬場はマスクやマフラーで冷たい空気を直接吸わないようにする、季節の変わり目は服装で上手に体温調節するなどの工夫が大切です。
禁煙と受動喫煙の回避
タバコの煙は、喘息患者にとって「最悪の刺激物」の一つです。煙に含まれる有害物質は、気道の炎症を直接悪化させ、薬の効果を弱めてしまいます。
ご自身の禁煙はもちろん、ご家族にも協力してもらい、受動喫煙のない環境を作ることが治療の前提となります。
息苦しさを和らげるツボ
咳や息苦しさが少し気になるときに、症状を和らげる助けとなるツボをご紹介します。
天突(てんとつ)

左右の鎖骨の真ん中にある、くぼんだ部分です。
指の腹を当て、息を吐きながら、喉の奥に向かって気持ちいいと感じる程度の強さでゆっくり押します。
咳を鎮め、痰を切りやすくする効果が期待できます。
中府(ちゅうふ)

鎖骨の外側の端から、指1本分ほど下にある、押すと少し痛みを感じるくぼみです。
指で円を描くように優しくマッサージすると、胸のつかえが和らぎ、呼吸が楽になると言われています。
これらのツボ押しは、あくまで症状を和らげるための補助的なケアです。
発作が起きた際は、まず処方された薬を使い、症状が改善しない場合は速やかに医療機関を受診してください。
息苦しさ・喘鳴のよくある質問
息苦しさや喘鳴について、よくあるご質問にお答えします。
ご自身の状況と照らし合わせて、解決のヒントを見つけてください。
どんな人が喘息になりやすいですか?
ご自身やご家族に、アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎、食物アレルギーなどがある「アレルギー体質」の方は、喘息を発症しやすい傾向があります。
小児期に発症することが多いですが、大人になってから初めて発症することも珍しくありません。
受診や治療にかかる費用はどのくらいですか?
健康保険(3割負担)の場合、初診料と呼吸機能検査などで3,000円~6,000円程度が目安です。喘息は継続的な治療が必要なため、毎月のお薬代(吸入薬1〜2種類で3,000円~5,000円程度)がかかります。各種医療費助成制度の対象となることもあります。

放置しても大丈夫?自然に治ることはありますか?
喘息の放置は危険です。治療せずに発作を繰り返していると、気道が硬く狭いまま元に戻らなくなってしまい(リモデリング)、呼吸機能が徐々に低下していきます。
そして何より、大きな発作は命に関わります。小児喘息は、成長と共に症状が出なくなることもありますが、気道の過敏性は残ることが多いため、自己判断で治療を中断してはいけません。
喘息の薬はネットやドラッグストアで買えますか?
一部、咳や喘鳴を和らげる市販薬はありますが、喘息治療の基本となる吸入ステロイド薬などは、医師の処方箋が必要です。市販薬だけに頼った治療は、重症化のリスクを高めるため非常に危険です。
治療期間はどのくらいですか?

気管支喘息は、高血圧や糖尿病と同じように、症状をコントロールしながら長く付き合っていく必要のある慢性的な病気です。症状がない時でも、自己判断で薬をやめず、定期的に通院して状態を管理していくことが重要です。
何科を受診すればよいですか?
大人の場合は呼吸器内科が最も専門的です。アレルギー科でも相談できます。お子さんの場合は、まずはかかりつけの小児科で相談しましょう。緊急時は、救急外来を受診してください。
息苦しさはオンライン診療でも診察できますか?
はい、オンライン診療でも診察が可能です。特に、すでに喘息と診断されていて、症状が安定している方の継続的な処方には非常に適しています。
発作の頻度などを医師に伝え、お薬の調整や処方箋の発行をしてもらうことができます。ただし、初めての診断や、呼吸機能検査が必要な場合は、対面での受診が勧められます。
息苦しさが気になる場合はウチカラクリニックに相談を
「ぜえぜえ」という呼吸の音や、息苦しさは、体からの重要なSOSサインです。特に気管支喘息は、正しい診断のもと、発作を予防する薬(コントローラー)を毎日きちんと続けることで、発作のない健康な人と変わらない日常生活を送ることができます。
「この息苦しさ、ただの風邪じゃないかも…」 「吸入薬がもうすぐ無くなるけど、忙しくて病院に行けない」
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