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認知症を予防するための3つの方法とは?絶対にやってはいけない行動とは?

こんにちは。ウチカラクリニック健康メディア「予防医学大辞典」です。

今回は「認知症」について、予防のための対策、やってはいけない行動などについて医師の視点から徹底解説していきます。

実は知らず知らずのうちに、普段の生活で認知症のリスクを上げてしまっている危険な習慣があるんです。

認知症とは、いったんなってしまうと根本的な治療法はない、そんな病気です。

だからこそ、認知症になる前の予防対策をすることが重要なんですが、なかなかなる前から認知症を意識できる人が少ないのが現状ですし、

予防の知識がそもそもないからこそ、全く気付かずに認知症のリスクを上げる危険な行動を選択してしまっている場合があります。

今回はそんな認知症のリスクを上げてしまう危険な習慣を皆さんに知っておいてもらいます。

この知識は中高年は絶対にしっかり覚えて帰って欲しいですし、身近な家族や友人とも共有をして、普段の生活から危険な地雷を踏まないようにみんなで気を付けて日々を送っていきましょう。

認知症予防のためにやっておきたいこと ①交友関係を広げる

「年をとるごとにだんだん人間関係を狭くしてしまうこと」要するに孤独は、認知症のリスクを上げます。

孤独はわざとではなくても年を重ねると知らず知らずのうちに起きていることが多いので、是非一度意識して欲しいんですね。

ここで一つ質問です。

あなたは今定期的に交流のある、家族以外の知人や友人はどのくらいいるでしょうか?

中には、家族以外とはなかなか交流がなくなってしまったな、あるいは今は一人暮らしで、誰とも交流がないんだよ、こういう方だっていらっしゃるでしょう。

このような周囲に関わる人がいない状態、のことをいわゆる「社会的孤立」と呼びます。

社会的孤立は有名な医学論文の中でも、明確な認知症のリスクとされていて、非常に問題視されています。 

例えば、ボストン大学の教授の論文でも、中年期の孤独感は認知症の発症リスクを約2倍にした、という結果になっています。

※Associations of loneliness with risk of Alzheimer’s disease dementia in the Framingham Heart Study,et al.Alzheimers Dement. 2021 Oct;17(10):1619-1627.

うるさい俺は一人の時間が好きなんだ!放っといてくれ。そういう考え方も結構。

孤独感というのは難しいところで、例えば家族で暮らしていても孤独感を感じてしまっている人はいるでしょうし、一人暮らしでも近所の人やネットのつながりで特に孤独感は感じていない人もいるでしょう。

この気の持ちようの部分も大事になってきます。

しかしそうでないなら健康寿命を延ばすためにはこの孤独対策、中高年になってからの人との付き合い方、これは結構切実な問題になってきます。

特に新型コロナウイルスのまん延で、なかなか外に出られない人も増え、このような高齢者の孤立は非常に問題視されているんです。

このように、孤独が病気のリスクである、こういう認識が広まってきて、世界では国として孤独対策に取り組む所も増えてきました。

例えば、イギリスでは、2018年に国として「高齢者の孤独対策」に乗り出したのです。

2018年1月、イギリスのテレサ・メイ首相は、高齢者の孤独対策に乗り出し、「孤独担当大臣」を新設しました。

このきっかけとなったジョー・コックス委員会の報告書では、

「孤独はたばこを1日15本吸うのと同じくらいの健康被害を本人に与える。そして孤独がイギリス国家に与える損失としては年間約320億ポンド、これは日本円で約5兆円相当にあたる」

このように発表されています。

そしてなんと日本でも2021年に世界2カ国目となる、孤独担当大臣の設立がされています。知っていましたか?

ちなみに日本は言い方は悪いですが、人付き合いが悪い国としてちょっと有名。

実際にデータとしても、少し前、2005年のものにはなりますが、経済協力開発機構、OECDの調査でも、日本人の孤独度というものは、海外諸国に比べてダントツで高いものだったのです。

確かに最も国の孤独対策が必要な国かもしれません。

ではちなみに、皆さんは近所付き合いってされてますか?

「最近は近所の人にあいさつもしなくなってしまったなあ…」 

こういう人結構多いんじゃないでしょうか?

この点については海外の方が、自分の家族以外の人間と親しい人間関係をより築いていく傾向にあると言われています。

日本では、例えば定年退職をしてしまうと、今まで当たり前に顔を合わせていた職場の人々との関わりは、意識してやりとりをしていかないとだんだん疎遠になっていってしまう傾向にあります。

そして近所つきあいもない、趣味の集まりのなあい、こうなると社会的孤立まっしぐら。

少なくとも定年退職の数年前から、ゴルフやワイン、マラソンなど趣味のコミュニティ、あるいは近所づきあい、なんでもいいんですが、家族以外のコミュニティとできるだけ関わっておく事が非常に重要です。

それ難しければ、こんな時代なのでネットでの交流でもよいでしょう。定期的に通うスナックを見つけたりするのも良いかもしれません。

趣味もネットも、何歳になっても始めるのに遅いという事は一切ありませんから、定年を迎えたのをきっかけに、今まで忙しくて取り組めなかったけど、やりたかった、こんな事に0からでもチャレンジするのはとっても良い事です。

また、一方で、家族側の立場で考えると

例えば遠方で、高齢の家族が1人暮らしをしている場合は、家族が定期的に電話などで連絡をとるようにするとか、昼の弁当の宅配サービスを導入するなどして、社会との接点を家族の方から作ってあげることも大事なことですね。

孤独というのは認知症以外にも心臓病や脳卒中など様々な病気のリスクとされていますし、真剣に健康寿命を延ばすため意識しなければならないものだ、ということを覚えておいて下さいね。

認知症予防のためにやっておきたいこと ②耳の聞こえの悪さを放置しない

認知症のリスクを上げる危険行動が、耳の聞こえ辛さを放置してしまうことです。

「年をとったら耳の聞こえが悪くなってもしょうがない」と思っていませんか?

まあ確かに、加齢現象の部分もあるんですが、放置していいものではありません。

実は中年期に聴力が衰えていくと、脳の中で人間の記憶を管理している海馬や側頭葉、という場所がちぢむことに繋がり、認知症のリスクとされています。

孤独の話にも繋がりますが、人間の五感を刺激するのはとても大事なことなんですね。

また、耳の聞こえが悪くなると、会話がとぎれとぎれになったり、聞き返すことが多くなったりして、相手がイライラするようになる。こうなると、だんだん自分自身がコミュニケーションをとるのがおっくうになってきてしまい、最初に紹介した社会的孤立にも繋がってきてしまいます。

ではどうするべきなのかといえば、耳の聞こえが悪くなったな、と少しでも思ったら、耳鼻咽喉科に行って補聴器の相談をする。そして必要そうであれば補聴器をつけた生活をする。これにつきます。

一見単純なことのように聞こえますが、

実は日本の難聴の人の約13%しか補聴器をつけていないとされています。

これはなんとなく、つけるのがめんどくさそう!とか、補聴器をつけて外をであるきたくない!とか、補聴器に対してあまり良くないイメージがあるのかもしれません。

しかし、そんなことはありません。今は補聴器も色んな種類があり、まるでイヤホンのように目立たないものもありますし、そもそも補聴器をつけることは恥ずかしいことでもなんでもありません。

ジャズ界のレジェンドの日野皓正(てるまさ)さんも、補聴器をつけてステージに上がっており、

「補聴器に抵抗のある人は日本では多いけど、ミエや意地をはらずにつけた方ができることは増えて楽しいですよ」

こう話しています。

補聴器もつけずに耳の聞こえにくさを放置しないようにして欲しいですし、しっかりと耳の聞こえる生活の方が彩り鮮やかな人生が待っているのではないでしょうか。

また、人間は大きな音に一定期間さらされると、耳の「有毛細胞」と呼ばれる、音の情報を脳に伝える毛のような細胞が抜け落ちたり、傷ついてしまうとされています。

この有毛細胞は、一度傷ついてしまうと決して元には戻らないのが怖い所。

大きい音には要注意なのです。

ただ大きな音と言われてもどのくらい?という話になると思いますが、これは「85dB」以上とされています。

この85dBというのは、パチンコ屋の店内の騒音や、救急車のサイレンを間近で聞いた時のレベルです。

自分には関係ないと思いがちですが、例えばうるさい場所でイヤホンをつけて作業をしている人や、車で音楽を聞いている人は、知らず知らずのうちに音量が大きくなって、この85dBを超えてしまうことは珍しくありません。

だいたい音楽機器は60%くらいの音量に留めておきましょう。

認知症予防のためにやっておきたいこと ③段差対策

そして、認知症のリスクとなりうるのが、段差の多い家に住むことです。

まあ、勿論、段差の多い家で生活すること自体が、認知症のリスクを上げる訳ではありません。

注意しなければいけないのは「転倒」、転ぶことです。

高齢者の場合は、一度の転倒がその後を大きく変えるきっかけになってしまうことがあります。

例えば転んで頭を打ってしまった場合は、脳内で出血し、血だまりができる「急性硬膜下血腫」という状態になってしまう事もあります。

特に持病の影響で「抗凝固薬」、いわゆる血液をサラサラにする薬を使ってする人はこの血だまりがさらにできやすい状態なんですね。

また、怖いのが、すぐに症状が出ずに、じわじわ出血して、2-3か月くらいで血だまりを作ることがあります。

この状態を医学用語で急性の反対、慢性硬膜下血腫と呼び、2-3か月たってるので、そもそもあの時ころんで頭を打ったことが原因とはなかなか思わず、まるで認知症が始まったような症状が出ることもあります。

病院で頭のCTを撮影して、この血腫があるとわかると、この血だまりを抜いてくる手術を行い、それで元の状態に戻る人もいますが、やはり転んで頭を打つことは絶対に避けたいですね。

他にも、頭だけではなく、股関節の足のつけねの骨、ここ大腿骨の頸部と呼ぶのですが、ここの骨折が非常に多いです。特に高齢の女性は骨粗しょう症が進行していることも多く非常に骨が折れやすい状態。

この骨を折って、手術をした後、車いすや、あるいは寝たきりになって、自分の意志で自由自在に動けなくなってしまうことも認知症のリスクを上げてしまいます。

だからこそ、たった一度の転倒も要注意なのですが、家の中のちょっとした段差もできるだけない方が良いのですが、築年数が古い家は段差は多いですよね。

対策としては、小さい段差でもスロープをつけるとか、手すりを設置する。

もし可能であればリフォームを検討しても良いでしょう。

すぐにはできない対策かもしれませんが、できるだけ早めに準備ができると良いですね。

認知症はある意味加齢現象という側面もありますから、年齢を重ねていけば脳の細胞も減ってきますし、どこかで人の手を借りなければいけない日は来るかもしれません。

今回紹介した内容は、私の書籍「認知症は予防が9割」一部です。

できるだけこの本に書いてある認知症の予防のエッセンスをを一つでも多く身に着け、実践していくことが認知症予防の最短ルートです。

できるだけ読みやすいように丁寧に書きましたので、是非一家に1冊、あるいは両親へのプレゼントとして、一人でも多くの人が認知症予防の正しい知識に触れ、1日でも長く元気はつらつとした生活を送ってもらえることをお祈りしております!

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この記事の監修者

この記事の監修者

ウチカラクリニック
森 勇磨

経歴

内科医/産業医/労働衛生コンサルタント
ウチカラクリニック代表
予防医学ch/医師監修 管理人

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森 勇磨

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